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テバク11話あらすじ&日本語訳vol.2

   

チョン・グァンリョル、チェ・ミンス出演SBSドラマ「テバク(대박)」11話、中盤です。

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通りを歩いているうちに、テギルの耳に聞き慣れた声が飛び込んできた。「どこからいらしたんです?」

テギル「?」

トッケビ爺だ。
自ら営む生地屋の店先で、買い物客と気さくに話すその姿は、ちっとも変わらなかった。

ゆっくり近づいていくと、テギルは扇子を広げ、顔を隠す。「この絹はいくらかね?」
「あぁ…」トッケビは素早く彼の上等な服装を確かめる。「中に清国から入ってきた素晴らしい絹がありますよ」
「こちらのは?」テギルはさらに上品な声色で隣の反物を指す。

トッケビ「?」

トッケビは扇子の向こうの顔をそっと覗きこみ、今度は確信を持って扇子を退けた。

トッケビ「テギル!!!生きて帰ってきたんだな!!!」

そこへ、不意に見知らぬ男がやって来て声を荒げる。「亂廛はとうの昔に禁止になったのに!」

男「ここで絹なんか売りやがって!」
テギル「…?」
トッケビ「見たところ賤民のようだが、何をそうカッカしてるんだ?」

男が手招きすると、急に数人の官軍がやって来た。
「!」テギルがさっと官軍を制する。

男がこれみよがしに出したのは『禁亂廛權』の紋章だ。

男「国法だ。都城から十里以内、許可のない商人は商売できないのを知らないのか」

男の合図で、官軍たちが店の品物を一斉に没収し、あっという間に去っていった。
禁亂廛權…。テギルは今聞いた言葉を頭のなかで反芻する。

トッケビ「なんてことだ!苦労して手に入れたのに!泥棒め!!!」
テギル「禁亂廛權なのも知らなかったのか?品物はいくらでもあるのに、よりによって反物屋を開くなんて」
トッケビ「誰のためだと思ってるんだ?」
テギル「?」
トッケビ「お前に会うためじゃないか!お前がそんなふうに言っちゃ寂しいぞ」

テギルは手に持った扇子でポンとトッケビの肩を叩く。「元気でやってたんだな」
トッケビはこの上なく嬉しそうに笑った。「元気でいないとお前に会えないだろ」

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テギル「ははっ」
トッケビ「お前を待ってたんだ。はははっ」

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二人はさっそく水入らずの食事だ。

トッケビ「それで、どんな具合だ?」
テギル「?」
トッケビ「白面書生の真似して回ってみてどうなんだよ?」

トッケビは手のひらを差し出す。

テギル「何だ?」
トッケビ「出してみろ。随分稼いだんだろ」
テギル「ない」
トッケビ「ないだと?何て恩知らずな奴なんだ。赤ん坊のときから今までどれだけ金が掛かったと思ってんだ?少なくとも…」
テギル「少なくとも?」
トッケビ「少なくとも… 全部合わせりゃ重すぎて背負うことも出来んわ」
テギル「…。」

テギルは足元の布袋を掴み、無造作にトッケビへ放り投げた。

テギル「要るだけ使えよ」

トッケビは実に嬉しそうにグフフと笑い、ずっしりとした袋の重みを味わう。

トッケビ「会わないうちに大人になったなぁ」
テギル「タダじゃないぞ」
トッケビ「?」
テギル「金を受け取ったら働かないと」
トッケビ「だな♪」

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「俺が用意した地図だ」トッケビが蔵の中で広げたのは、都城の地図だった。

トッケビ「気に入ったか?」

テギルは素早く地図全体を眺めると、用意した駒を置き始めた。

テギル「(無印の駒を置き)ここが俺たちの位置、(『洪』の駒を置き)ホンメの賭場」

#ホンメの賭場、漢城府とか議政府とかにめっちゃ囲まれてますね。光化門前の大通りなのか…。

テギル「(『鬼』の駒を置き)西小門、(『犬』の駒を置き)鍾路、(『骨』の駒を置き)麻浦。これからこの3つの賭場をやる」

※前話、三傑の紹介があったときに、暗行御使に扮して米を騙しとった詐欺師を「脳師』と書いていましたが、正しくは「骨師」でした。前話の訳は訂正済みです。情報ありがとうございました。

トッケビ「賭場はたくさんあるのに、何でこの3つなんだ?」
テギル「爺ちゃん、今まで俺が苦労してる間、何してたんだよ?」
トッケビ「…。」
テギル「朝廷の大臣たちさえ意のままにするイ・インジャの資金源。一つ目がイ・インジャの右腕、六曹街ホンメの賭場だ。二つ目はイ・インジャの左腕とも言えるファングの月香閣。それから西小門の六鬼神、鍾路の犬斫刀、麻浦の骨師。この三人がイ・インジャの足だ。まずは足から斬らないとな」
トッケビ「この三人のうち、どいつからやる?」
テギル「西小門の六鬼神」
トッケビ「!!!」

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六鬼神を倒す理由はもう一つあった。
餓鬼の元で出会ったソリムは、六鬼神のせいで両親を失い、地獄のような奴隷生活に耐えていたのだ。
両親の仇を討つまでは絶対に死ねないと、彼女はそう語った。

テギル「六鬼神。こいつから仕留める」

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議事を終えると、世子は延礽君だけをその場に残した。

世子「一体何の真似だ」
延礽君「邸下、その日暮らしをしている亂廛の小さな商人が稼ぐのを禁じ、豪商ばかり儲けさせる禁亂廛權は、果たして民のための法だと言えるのでしょうか」
世子「父上自ら制定なさった法だ」
延礽君「しかし、弊害が多いのです」
世子「だが、その税収で国庫が安定しているのだ」
延礽君「それでも民は飢えていくばかりです」

「…。」一歩も引かぬ延礽君を前に、世子は提出された帳簿を手に立ち上がった。

世子「この帳簿は半分しかない。賄賂を贈った商人の名前はあれど、受け取った者の名前と金額がないではないか」
延礽君「帳簿を作った者がおりますし、証人もおりますので、残りの半分もすぐ手に入るはずです」

#何だよ、帳簿の内容が半分しかないなんて聞いてないぞー

世子「約束したではないか。私の目となり耳となると」
延礽君「そのつもりです。しかし、その前にイ・インジャ… あやつを退けていただきませんと」
世子「…。」
延礽君「市廛の商人と朝廷の大臣の結託は、イ・インジャの魂胆によるものです」
世子「言ったはずだ。イ・インジャは私の…」
延礽君「友だとおっしゃいましたね。ですが、問題のある友を遠ざけるのもまた、君主の道理ではありませんか」
世子「…。」
延礽君「邸下にそのおつもりがないなら、私がやりましょう。イ・インジャ、あやつは私が捕らえます」

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不穏な朝廷とは裏腹に、イ・インジャは平穏そのものであった。

ムミョン「主君、なぜそう穏やかでいられるのですか」
インジャ「禁亂廛權の撤廃か。延礽君は一方しかわかっていない」
ムミョン「?」
インジャ「禁亂廛權で市場を独占した市廛の商人たちが、まさか少論だけを儲けさせていたわけではあるまい」

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外へ出た延礽君を待ち受けていたのは、揃って怖い顔をした老論の大臣たちだ。

領議政「延礽君様、なぜ私どもにさえ黙っていらしたのですか」
延礽君「話していたら?そなたがたは賛成しただろうか」
大臣たち「…。」
延礽君「どうしたのです?これまで公然の秘密にしてきた恥ずべき素顔が明るみに出るのが怖いのですか」
大臣「延礽君様、一を得るために十を失うわけにはまいりません」
延礽君「大監、諦めてください。手放すときが来たのです」
大臣「!」
延礽君「皆、これまで随分利益を貪ってきたでしょう」

延礽君は硬い表情で老論の大臣たちの前を立ち去った。

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「単に老論たちを説得して解決することではない」インジャは笑った。

インジャ「禁亂廛權を廃止するためには、小商人たちがすぐにでも税を納める必要があるが、彼らはすでに六鬼神の策略に身動きできなくなっている。それに何より、王もまた市廛の商人たちが納める莫大な税収を諦められないはずだ」

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延礽君が訪ねたとき、淑嬪は医員を呼び薬を飲んでいた。

延礽君「母上、どこか具合でもお悪いのですか」
淑嬪「延礽君」
延礽君「はい、母上」
淑嬪「大臣たちが誰一人賛成するはずのない法案を推進するのは何故ですか」
延礽君「イ・インジャを捕らえるつもりです」
淑嬪「!」
延礽君「私に考えがありますので、母上はあまり心配なさらないでください。それより、お身体は大丈夫なのですか?」

淑嬪は静かに微笑んだ。「母の心配は無用です」

延礽君「…はい」

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少論の大臣たちが集まっていた。

大臣「禁亂廛權の廃止など、とんでもない!」
大臣「禁亂廛權を廃止すれば、税収は何で補うと言うんです?」
大臣「それだけではありませんよ。毎回きっちり受け取っていた市廛商人の場代はどうなるんです?」

そこへ、扉が突然開いた。

大臣たち「?」

現れたのは、延礽君だ!

延礽君(心の声)「資金源を揺さぶられて、焦っている様子だな」

※↑心の声なのに、原語では見事にエッジの効いた韻を踏んでいます(笑)

延礽君は空いた席に腰を下ろした。

延礽君「禁亂廛權を廃止するためなら、私は何だってする。あなた方もよく知っている通り、雑仕女の息子が無鉄砲に暴れているのだから、私を恐れることもあるまい」

延礽君は微笑んで見せ、手元の盃に酒を注いだ。「ゆえに鶏を追っていた犬になりたくなければ…」
一気に酒を飲み干し、力強く盃を置く。

延礽君「イ・インジャを退けるのです」

※「鶏を追っていた犬が屋根を見つめる」=夢中で追いかけていた鶏が屋根の上に飛び乗ってしまうと、犬は何も出来ずに屋根を見上げることしか出来ません。このように、何かに熱中していて失敗し、どうすることもできなくなる状態をいいます。

延礽君「あやつと縁を切れということです。そうすれば、譲歩するつもりはある」

「だが」延礽君の反対側に座っているチョ・イルスが口を開く。「イ・インジャは…」

そのときだ。
「遅くなりました」部屋の入口でニッコリ微笑んでいたのは、イ・インジャその人だった。

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「大監、そうなさいませ」延礽君がいなくなると、インジャはそう言った。

イルス「…。」
インジャ「私を退けるのです。延礽君の望み通りに。それに加え、これまで丹精込めて蓄えたものを民にお分けください」
イルス「…。」
インジャ「大監、ただ私の言うとおりになさればよろしいのです。延礽君一人、私の手に負えぬとお思いですか?」

#結局黙ってるだけなら、イルスさんをそう何度も映さなくていいって(笑

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大勢の軍官たちが見張る中、妓生たちをはべらせて遊んでいる男がいた。
延礽君に帳簿を提供した、あの老人だ。

物陰からそっと…その老人を窺う影が一人。

ムミョンだ。

インジャ(声)「延礽君に帳簿を渡した男を…殺せ」

ムミョンは周囲にいる見張りに視線を移す。
護衛は合わせて10名。それに、サンギルの姿もあった。

帳簿を提供した老人に酒を注いでいる妓生は…ホンメではないか!

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ひとしきり騒いだ後、妓生たちが帰ると、帳簿の老人は別人のように顔を曇らせた。

老人「…。」

~~~~

彼は少し前に、インジャに会っていた。
インジャは金を投げて寄越し、怯える老人に言ったのだ。「帳簿を持って来い」

インジャ「忘れるな。度を越した欲望は、災いを招く」

~~~~

不安でたまらず、老人は酒を一気に流しこんだ。
むせた彼を、サンギルがじろりと見る。

老人「酒はたっぷり残ってるんだから、一杯どうだ?」

サンギルは呆れて鼻で笑う。「結構」
酒瓶を持ってよろよろと立ち上がった老人は、そこで突然胸を押さえ、バタリと倒れた。

サンギル「旦那!」

慌てて呼んでも揺すっても、それっきり老人は動かない。
「…。」サンギルは男が持っていた酒瓶を見つめた。

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「私がこんな汚れ仕事までしなきゃいけないんですかい?」インジャの元へ戻ってくると、ホンメは不満そうに口をとがらせた。

インジャ「私との約束、もう忘れたか?」
ホンメ「…。」

~~~~

随分前のことだ。
「今後、そなたの賭場は私のものだ」インジャはそう宣言した。

インジャ「だが、気落ちすることはない。3度だけ私のために働いてくれれば、この賭場はそなたに返そう」

~~~~

「そんなら残りはあと2回だよ」そう言って、ホンメは納得して帰っていく。
「風楽でも鳴らしてくれ」インジャはファングに依頼した。

インジャ「不意打ちを食らった延礽君が黙っているはずはなかろう」

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老人の遺体を見つめ、延礽君は怒りに震えた。

延礽君「一体どういうことだ」
サンギル「毒殺です」
延礽君「格別に警戒しろと念を押したではないか!」

遺体の前で泣いていた男が立ち上がり、延礽君の襟首を掴む。「父を殺したのはあんただろ!」

老人の息子「あんたが唆したせいで死んだんじゃないか!生き返らせろ!父を返せ!!!」
延礽君「済まない。心から詫びる」

「!」息子は掴んでいた襟首を乱暴に突き放す。「消えろ!二度と現れるな!」

小さく頭を下げ、延礽君はそこを後にした。
と、その途端、老人の息子は表情を一変させ、冷たい眼差しで延礽君の背中を見送ったのだ。「…。」

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風楽が奏でられ、妓生が舞を披露する。
インジャがゆっくり酒を飲みながら待ち構えているところへ、案の定、延礽君が乗り込んできた。「よくも酒など飲んでいられるものだ!」

インジャ「…。」
延礽君「人の家に火をつけておいて酒とは」
インジャ「延礽君様が先に私の物に手をお出しになったのではありませんか」
延礽君「それで… 人を殺して後腐れを絶つのがそなたのやり方か」

「ならば」延礽君は回りにいるファングやムミョン、ジンギたちに視線を移す。「こやつらもいつか殺すのであろうな」

延礽君「部下を大事とは思わぬのだから。そうではないか?」

「…。」場が妙な緊迫に包まれる中、インジャはゆっくりと立ち上がった。

インジャ「それで、何を得ようといらしたのです?」
延礽君「得るためではない。返しに来たのだ」
インジャ「ふふふ。刀でも抜くおつもりで?」
延礽君「いや。もっと良いものがある」
インジャ「?」

と、次の瞬間、延礽君はその拳でインジャの頬を思い切り殴り飛ばした。

#ごめん。ちょっとワロタ

すかさず剣を抜いたムミョンを、インジャが制する。「やめよ」
延礽君に向き直ると、インジャは歯を見せて笑った。

延礽君「どうだ?痛いか」
インジャ「失望しましたよ。もう少しマシな反応を期待していたんですがね」
延礽君「本番はゆっくり見せてやることにしよう」
インジャ「…。」
延礽君「期待するがよい」

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帰り道。サンギルがたまらず口を開いた。「延礽君様」

サンギル「要らぬ騒ぎを起こしてしまったのではないでしょうか」

延礽君はけしからんとばかりに舌打ちをする。「私が前後の見境もつかない愚か者に見えるか」

サンギル「…。」
延礽君「ついて来い」

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延礽君は、老人が死んだあの家へ再び戻ってきた。
老人の家族があれほど嘆き悲しんでいたのに、今はもう誰の姿もなく、静まり返っている。

延礽君「葬儀もなしか」

延礽君はサンギルを振り返った。「老人の息子だというあの男、今すぐ調べるのだ」

サンギル「えっ?」
延礽君「あやつが鍵を握っている」

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ここで区切ります。

そうそう、こんなふうに「息子だとか言ってる男は何者だろう?」って、登場人物と一緒に考えたいのよ、うん♪
ただし、老人はあっさり殺されすぎ。サンギルはちょっと抜けてる感じが魅力でもあるんだけどね~。

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