韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!セリフを題材にした文法解説も

テバク2話あらすじ&日本語訳vol.1

   

チャン・グンソク、ヨ・ジング出演SBSドラマ「テバク(대박)」2話です。

調子よく勝っていたものの、思わぬ失敗に正気を失い、一番大切なものに手を付けてしまったマングク。
有頂天になり、焦り、引き返せなくなり… 。人間の脆さがうまく表現されていましたね。

さっそく続きへ~♪

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次々と盃に注がれた酒は、ちょうど6杯で尽きた。

マングム「そんなはずが!確かに7杯だったのに…」

思わず酒瓶を掴み、逆さに振ってみるものの、小さな雫がぽたぽたと散るだけだ。
呆然と放り出した瓶が鈍い音を立てて砕けた。

粛宗「二人で飲んだ酒瓶の中身を数えたのであろう。だが、これは新しい酒じゃない。さっき向こうで残った酒瓶だ」
マングム「!!!」
粛宗「約束通り、君の妻は今この瞬間から私のものだ」

「…。」頭の中が真っ白だった。
マングムはふらふらとその場にへたり込む。「ポクスン… ポクスン…」

粛宗が背を向けると、マングムは這いつくばって彼の上着の裾を掴む。「旦那!!!」

粛宗「何の真似だ」
マングム「こんな男に会っちまって苦労ばかりしてきた女なんです!このまま売られちまったら、あまりに可哀想じゃないですか!旦那さん!」
粛宗「はて…。君の妻にしてみれば、賭博師の君よりは私の方がましだと思うが」

「!」マングムは返す言葉もない。

粛宗「そうではないか?」

床にこすりつけたマングムの手を、誰かがぎゅっと踏みつけた。
ホンメだ。
彼女は蔑んだ目でマングムをひと睨みすると、くるりと顔を上げて粛宗に微笑みかける。「旦那さん、お楽しみになられました?」

粛宗「あぁ、お陰でね」

階段をあがる粛宗の背中に、マングムはそれでも叫ぶ。「旦那!旦那!もう一度!もう一度だけ!!!」

ホンメ「どうしようもないね。お膳立てしてやったのに、カモ一匹まともに引っ掛けられずに、すっからかんになっちまうなんてさ」
マングム「女将、何かの間違いだ!」
ホンメ「何の間違いだってんだい!」

「懲らしめてやらないとね」ホンメの合図で、手下の男たちが一斉にマングムの腕を掴んだ。

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散々痛めつけられて自宅へ帰り着いたマングムは、開いたままの扉を見つめた。
帰りを待っていてくれる妻は、もういない。
「ポクスン…」手に握っていた指輪が転がり落ちる。
彼は愕然と膝を折った。

そこへ後ろから静かに近づいてきた人影が、地面の指輪をつまみ上げる。
「泣いても君の妻は帰ってこないぞ」インジャだ。

マングム「…?」

インジャは柔らかく微笑むと、小袋の中から葉銭を数枚取り出し、マングムの前に放り投げた。

インジャ「君をペテンに賭けたあの男、誰だと思う?」
マングム「…商売人だって」

そう言ってから、マングムはハッと目を見開いた。「ペ、ペ、ペ、ペテン?!」

マングム「あのカモ、私をペテンに賭けたってことですかい?!」
インジャ「ふふふ、そのカモこそ我が国の王その人だ」
マングム「王だなんて、そんな馬鹿なこと…!」
インジャ「美しい雑仕女がひょんなことで王の目に留まった… そういうわけだ」

指先で弄っていた指輪を、インジャは地面に転がす。「全ては君の妻を奪うため、王が謀ったことだ」

マングム「!!!」

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マングムは宮廷の門を無我夢中で叩き続けた。「殿下!!!」

マングム「私の妻をお返しくださいませ!!!」

彼の叫び声が虚しくこだまする中、殿下はポクスンが連れて来られた別殿へと足を踏み入れる。

011

#「美賊イルジメ伝」でも印象的だったんけど、
ユン・ジンソさんて、こういう艶やかなシチュエーションで急にドキッとする美しさを発揮するのよね(笑

【もはやそなたは私のもの。王の女だ】

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衛兵に捕まり、縄で縛られて朦朧としていたマングムの元へ現れたのは、王の側近だ。
「民として誠意を尽くすように」彼は淡々とそう告げ、マングムを連れ出した。

縄を解かれ、不気味な宮中を進むと、彼は粛宗の前へ通された。
「殿下」マングムは床に額をこすりつける。

粛宗「二言はないと言ったではないか」
マングム「ですが殿下、あれは間違いなく不正な賭けでした」
粛宗「不正?」

マングムは手に握った葉銭を一枚、床の上を滑らせた。

粛宗「この場でそなたを殺すこともできる」
マングム「女房がいなけりゃ死んだも同然です!」

「つまり…」粛宗は立ち上がった。「余が王だと知った上で賭けを申し込むと?」

粛宗「そなたの些々たる命を賭けて」
マングム「はい、殿下。私と妻の命、それに男としての誇り。全てをこの一勝負に賭けましょう」
粛宗「ならばこれが最後の勝負になろう」

マングムが頷く。

粛宗「忘れるでない。今度勝敗を認めなければそなたの些々たる命はひっそり消えることになろうぞ」
マングム「肝に銘じます、殿下」

「よかろう」粛宗は身を乗り出した。「どう勝負する?」

マングム「今夜の天気を当てるのです。雨が降るか、それとも晴れるか。確率は半々ですから、公正な賭けだと存じます、殿下」

「今夜の天気か」粛宗はしばし考えを巡らせると、身を起こした。「先手を取るがいい」

マングム「ならば私は… 雨が降る方へ賭けます」

ここへ連れて来られる途中で見た、落ち着かない小さな生物たちの様子、不気味な空の色をマングムは思い浮かべた。

粛宗「幸い選択が分かれたな。余は反対側へ賭けよう。今夜はいかなる夜よりよく晴れるであろうぞ」

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外へ出たマングムは祈るように空を見上げた。

マングム(心の声)「ポクスン、待っていろよ。今度こそ俺が勝つからな。ペク・マングムが朝鮮の王に勝つんだ!」

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「今夜は間違いなく雨が降ります」そう訴えるキム・イスの前で、粛宗は不敵な笑みを湛えていた。

イス「観象監でもそう予報しておりますし、空には只ならぬ黒雲が立ち込めております。今からでも賭けを下りられるべきです」

「男兒一言重千金」粛宗が口を開く。

粛宗「一度口にしたことを撤回などできぬ」

※男兒一言重千金=男の一言は千金の重さに値する。日本語では「武士に二言なし」が近そうですね^^

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陽が空を一周し、また夜が来た。

008

「雨だ!!!」空を見上げ、マングムは全身に雨を浴びる。
ずぶ濡れになるのも厭わず、彼は勝った喜びを爆発させた。「殿下に勝ったぞ!!!このマングムが!俺が勝ったんだ!!!」

そこへ現れたのはポクスンだ。「そんなに嬉しいですか」

マングム「ポクスン!そこにいたのか!」

※この建物、「在徳堂」は南漢山城にある祠堂のようですね。

マングムは立ち上がり、まるで子どものようにポクスンに駆け寄る。

マングム「ポクスン、俺が勝ったぞ!王との賭けに勝ったんだ!」

「それで?」ポクスンは冷め切った顔で夫を見下ろした。「何を手に入れたんです?」

マングム「何を手に入れたって… 何でそんな言い方するんだ?俺が勝ったんだぞ」
ポクスン「私の言い方がどうだって言うんですか。宮中に相応しい礼儀法度を守らなくては」
マングム「あぁ…とにかくだ、ポクスン!もうここにいる必要はないぞ。自由の身になったんだ」

笑うマングムに、ポクスンは溜息のように呟いた。「自由…」

ポクスン「両手両足を足鎖に繋がれて今まで耐えてきた私が… 自由ですって?」
マングム「?!」
ポクスン「よくもそんなことが言えますね」
マングム「ポクスン、何言ってるんだよ!俺、お前を賭けて王と勝負したんだ!」

ポクスンは呆れた顔で首を横に振る。

マングム「いやいや、あの旦那… 王様が俺にペテンを賭けてだな」

マングムは混乱したように手で頭を押さえた。「あぁ、そうだ!」

マングム「ここでやり合ってないでウチへ帰ろう!帰って詳しく話すからさ、ポクスン」

マングムが伸ばした手を、ポクスンは振り払った。「一人でお帰りを」

ポクスン「私は行かないわ」
マングム「!…お前」
ポクスン「言ったでしょ!あなたと暮らしていて自由だったことなんてないわ!あなたと知り合ったこと自体が足鎖だったのよ!わからないの?」

「…。」マングムはただ呆然と妻を見つめる。

ポクスン「無責任な賭博師の夫の尻拭い。疲弊したまま、ただ生きながらえている人生…。そんなぼろぼろの暮らしに一緒に戻ろうって言うの?!帰るもんですか!」
マングム「…。」
ポクスン「私を賭けたことを知らずにいたならまだしも、もう遅いわ」

マングムは愕然と膝を折った。「ポクスン!」

マングム「君を賭けたことはすまなかった。とりあえず家に帰って…」

ポクスンは夫からぷいと顔をそらした。「お帰りを」

ポクスン「もう私はあなたの知っているポクスンではありません。賭博師ペク・マングムの妻ではないのです!」
マングム「ポクスン… 何でそんなことを…。何かの… 間違いだろう?ポ、ポクスン」
ポクスン「いいえ。何一つ間違ってはいません。今この場で一つ間違いがあるとすれば、あなたがここにいること、ただそれだけです」

「…。」マングムの手から指輪が転がり落ちる。(←何回落とすねん
彼を残して立ち去るポクスンに、控えていた下女が傘を差し掛けた。

マングム「…。」

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インジャは静かに雨を見上げた。「全てはイス、そなたが王を動かしてくれたお陰だ」
「あの…」イスがもどかしそうに口を開く。「主君に一つだけお尋ねします」

インジャ「何だ」
イス「お望みが王の首でないなら、主君は何を成されるおつもりですか?」
インジャ「私は…」

インジャは心の中で誓った。「この朝鮮国に新しい天を開く」

インジャ(心の声)「眩しいほど青く澄んだ天を!朝鮮の全ての民に開かれている、そんな天を開くのだ!」

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6ヶ月後。
1693年10月。

宮中に元気な赤ん坊の泣き声が響く。
「お慶び申し上げます、媽媽」お付きの尚宮に見守られ、ポクスンは産んだばかりの子をその手に抱いた。

009

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「殿下、王子でいらっしゃいます」ポクスン出産の知らせは、粛宗の元にもすぐ届いた。

粛宗「…。」

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マングムの暮らしは腐りきっていた。
市場へ出掛けると、躊躇いもなく他人の食べ物に勝手に手を伸ばし、殴られる。
彼にはもはや一欠片の尊厳も残っていないように見えた。

ぼろぼろになって自宅へ帰り、縁側に座り込む。「…。」
「雑仕女だった淑媛媽媽が男の子を産んだってさ」町で耳にした言葉が頭の中をめぐる。

※淑媛(スグォン)=側室の称号の一つ。品階は従四品で一番低い。

町人(声)「あぁ、例の”六月赤子”?」

※六月赤子=十分な妊娠期間を経ず、六ヶ月で生まれてしまった赤ん坊

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「六ヶ月で産まれるなんて」雑仕女たちが仕事をしながら口々に噂する。

雑仕女「六月赤子にしては丈夫すぎない?」
雑仕女「知らないの?殿下の子じゃないらしいわ」

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腕の中でスヤスヤと眠る赤ん坊を見つめる淑媛崔氏の表情は曇っていた。
そこへたらいのお湯を持ってきたのは、昔から仲の良かった雑仕女だ。

雑仕女「媽媽、手洗い水にございます」

彼女はそう言ってじっとうつむく。

淑媛崔氏「どうしたの?六月赤子だって皆噂してるから?」
雑仕女「!」
淑媛崔氏「外で身籠った子だ、殿下の子ではないと…」
雑仕女「そうではなくて」
淑媛崔氏「わかっているわ。私も…殿下も」

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朝廷では断固として淑媛崔氏の子を非難する声が上がった。

役人「殿下!六月赤子など聞いたことも見たこともございません!ましてやあのように丈夫なわけがございましょうか!」

そう訴えるのは、張禧嬪の兄チャン・ヒジェだ。

#おおー、宮根さん久しぶり!(笑)また憎たらしいヒジェになりそうですなぁ

粛宗「…。」
チャン・ヒジェ「恐れながら申し上げます。雑仕女出身の淑媛媽媽はもともと自由に宮廷を出入りできる身であり、婚姻していたという噂もありますので…」

「摠戎士」黙っていた粛宗が、ヒジェの言葉を遮った。

※摠戎士=郊外の防衛を担っていた部隊、摠戎丁(チョンユンチョン)の責任者

ヒジェ「…。」
粛宗「余の目を見るのだ」

「!」ヒジェは深く頭を下げた。「恐れ多きことにございます!」

粛宗「本日以降、淑媛と永寿王子に言及した者は、地位を問わず厳罰に処す」

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ここで区切ります。

マングムの脆さがすごく心に残りました。
ポクスンを愛しているし、苦労を掛けて申し訳ないと思っているのに、彼女を喜ばせようと思ってやったことで逆に悲しませてしまう矛盾。
いけないと思っていても、欲にめがくらんで理性を失ってしまう弱さ。

この人は極端だけど、人間誰もが持っている部分ですよね。

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