韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

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テバク1話あらすじ&日本語訳vol.3

   

ユン・ジンソ、イ・ムンシク出演「テバク」、1話の終盤です。

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今夜も大賑わいの賭場に、見るからに上等な身なりをした男が一人、足を踏み入れた。
粛宗だ!
すぐに女将のホンメが彼に気づき、満面の笑みで階段を駆け上がる。「お待ちしてましたよ」

ホンメ「清国と大きな貿易をなさってる旦那さんでしょう?」

ホンメの言葉には答えず、粛宗はゆっくりと目下を眺めた。

ホンメ「どうぞこちらへ」

奥の空間へと進むと、さきほどの喧騒とは打って変わり、殊のほか静かだった。
びっしり客で埋まったそこは、卓ごとに簡単に仕切られており、息を呑む真剣勝負が繰り広げられている。

その一角にいたイスは、そばを通り過ぎる粛宗の姿をチラリと確かめると、何事もなかったように勝負に戻った。

ホンメは粛宗を奥の個室へ案内する。
そこにはまだ誰の姿もなかった。

ホンメ「普段どんな賭け事をお楽しみで?」
粛宗「特にはないが」
ホンメ「それなら闘牋になさいましよ。お相手を呼んでいますから」

粛宗はわずかにソワソワした様子で辺りを見渡す。

ホンメ「私の取り分はたった一割でいいですから」

ホンメが部屋を出ようとすると、粛宗は卓上にドンと金束を投げて寄越した。

ホンメ「?」
粛宗「取り分だ。持って行きなさい」

「お帰りの時でよろしいのに」そう言って笑いながら、ホンメは遠慮なく金を掴む。「ではお楽しみを」

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登場したマングムは、精一杯の余裕を見せ、粛宗の向かいに腰を下ろした。
手に持った金束を机の上にドンと置く。

マングム「賭博師には見えんが、何者です?」
粛宗「商売をね。清国を行き来して」
マングム「闘牋は?」
粛宗「まぁ、どうにか」

粛宗は盃を並べ、酒を注いだ。「こうして出会ったのも縁だ。まずは喉を潤すのはどうかね?」

マングム「いや。腹の具合がよくないから酒は遠慮しましょう」
粛宗「そうか」

「では楽しく遊ぼうではないか」粛宗は盃を掲げた。

マングム「あぁ。そろそろ始めよう」

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勝負が始まった。
賭博に慣れているマングムは順調に勝ち続け、彼の手元に銭がみるみるうちに集まっていた。

従者に扮した内官が箱を持ってくる。
蓋を開けると、そこには金がぎっしり詰まっていた。

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粛宗は予めキム・イスの助言を得ていた。

イス「殿下、まずは金に目をくらませるのです」
粛宗「目をくらませる?」
イス「ペク・マングムは自身の手に負えない負け金を抱えております。ある程度の金を掴ませてやれば、あっさり餌に飛びつくでしょう」

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粛宗「金はたっぷりあるが、実のところ闘牋は初めてでね」

そう言いながら粛宗は箱の中の銀貨を無造作に弄ぶ。

マングム「出来もしないのに闘牋房へ?」
粛宗「溢れた金の使い途がなくてね」
マングム「…。」

「趣味とでもいおうか」粛宗は微笑んだ。

マングム「なんともありがたい趣味をお持ちだ」

にやけるマングムをチラリと見ると、粛宗は静かに酒を注ぎ足す。

007

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イスの次の助言はこうだ。

イス「二つ目。正常心を失わせるのです。ある程度の金を獲らせるのは餌に過ぎません。ペク・マングムの判断を鈍らせるために、根気強く酒を勧めてください」

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「それにしても」粛宗は努めて自然に盃を手に取る。「こうして一人で飲むのも実にもどかしい」

粛宗「そう言わずに一杯飲んではどうかね?」

「いいでしょう」マングムは頭の上の笠を外し、盃に手を伸ばした。

マングム「たいそうお負けになったようだから、酒の相手くらいして差し上げないと」
粛宗「最初からそうなさればよかったものを」

二人は改めて酒を酌み交わす。
マングムが酒を飲み干すのを、粛宗は慎重に見守った。

マングム「闘牋ができないなら… ”チョギ”はご存知で?」
粛宗「知らぬ」
マングム「それなら、骨牌は?」
粛宗「初めて聞いたな」

「やれやれ」マングムは驚いたように目を丸くした。

マングム「そうだ!双六!双六もご存じないので?」
粛宗「それも初耳だ」
マングム「知ってる賭け事は一つもないのか」
粛宗「投壺なら知っているが」
マングム「空の壷に矢を投げ入れる?私みたいな賤しい人間はそんな両班の遊びなどやったこともない。やり方も知らないし」

「あれもこれも駄目なら、ここで終わりにするしか」粛宗は思わせぶりに箱の金を手で覆う。

マングム「!」

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粛宗はイスの描いた脚本に忠実に従っていた。

イス「たやすく勝てる賭けで、殿下に賭け事の才能がないことをはっきり見せるのです」

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粛宗「いいことを思いついた」
マングム「何です?」
粛宗「この酒で賭けをしないかね?」
マングム「!」
粛宗「酒と水を同じ瓶に注ぎ、一瓶ずつ注文する。酒の入った瓶を当てた者が勝ちだ。勝つか負けるかは五分五分だから、これほど公平な賭けはなかろう」

「はて…」マングムは考えを巡らせた。「公平なのは確かだが」

粛宗「応じてくれるなら君に先に選ばせよう」
マングム「先に?」
粛宗「それに次の賭けはまた君が決めればいい」

「どうかね?」粛宗は静かに笑みを湛えた。
「…。」箱の金をチラリと見ると、マングムは粛宗に視線を戻す。

マングム「確率は半々なんだし…」
粛宗「…。」
マングム「どうせならやろう」

粛宗は黙って手に持った銀貨を二つ、卓上に転がした。
マングムは思わず息を呑む。

マングム「銀貨が二つで100両。一勝負に100両賭けるって?」
粛宗「ならぬか?」
マングム「いや、駄目ってわけじゃ…」

「ここへ酒を一瓶、水を一瓶頼む」粛宗が部屋の外へ声を掛けた。

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ほどなくホンメ女将の部下の男が瓶を二本持ってくると、卓上に並べた。

粛宗「君が先手だから、先に選ばれよ」

マングムは慎重に二本の瓶口を見つめる。
瓶口には布をかませた上に木の蓋が差し込んであった。

マングム(心の声)「そうだ、あっちの湿っているのが水。長く寝かせて干からびているのが酒だ。ポクスン、お前との約束、ようやく叶いそうだぞ!」

マングムは手前にある口の乾いた瓶を手に取った。「こいつが酒だ」
蓋を取り、自ら盃に注ぐ。
白く濁ったマッコリが盃を満たすと、マングムは嬉々としてそれを飲み干した。「美味い!」

マングム「一杯どうです?」

粛宗はそれには答えず、ゆっくりと身を乗り出す。「君は実に運がいい」
マングムは満足気に金を手元へかき寄せた。

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賭場の喧騒を抜け、ポクスンは別室へ通された。
そこにいたのはイ・インジャだ。

「決心はついたか」背を向けたままインジャが言う。
「…。」ポクスンの瞳から涙がこぼれた。

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「一つも勝てないとは面白くもない」上機嫌なマングムを前に、粛宗はぼやいてみせた。

マングム「いやぁ、そうガッカリしなさんな」

「喉でも潤して」マングムは酒を勧める余裕をみせる。「こういうこともあるさ」

粛宗「それでは最後に」

粛宗はゆっくりと人差し指を立てた。「もう一勝負どうだ?」
彼は一枚の硬貨をつまみ上げる。「この葉銭を転がそう」

マングム「!」
粛宗「これも勝つか負けるかは半々だ。実に公平だと思うが」

マングムは粛宗の手からその硬貨を受け取ると、じっと見つめた。

マングム(心の声)「この葉銭は何十年も弄ってきた御營廳発行の葉銭!」

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マングムは普段からよく葉銭を転がしていた。
「御營廳で作ってるこの葉銭、見てみろよ」家でもポクスン相手に転がして見せたことがある。「10回のうち9回は裏が出るんだ」

まさにこの葉銭で、マングムはこれまで多くの金をせしめたのだ。

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マングム(心の声)「必ず10回に9回は裏面が出るようになってる」

「掛け金はもう少し上げようと思うが」粛宗は手のひらに余るほどの銀貨を差し出した。

マングム「!」

これだけで1100両!マングムは心のなかで叫んだ。

マングム(心の声)「たまった借金を全部返しても700両残る。ご先祖様は本当に俺に力を貸してくれてるんだな」

マングムはニヤリと笑うと、手元にある銀貨を全部差し出した。

マングム「そちらの提案だから、こっちが先手でも?」
粛宗「そうするといい。その代わり、葉銭は私が投げよう」
マングム「よし!俺は裏!”御營廳”だ」
粛宗「それなら私は表。”常平通寶”だ」

さっそく粛宗が葉銭を弾く。
二人の間で葉銭はくるくると回り始めた。
次第に回転が遅くなるとその角度は傾き、ついにはカタカタと音を立てて上を向く。
そこに見えた文字は…『常平通寶』。表だ!

マングム「!!!」

「ははは」粛宗は優雅な笑い声を上げた。「最後に勝つと二倍嬉しいものだな」

粛宗「これが面白くて皆賭け事をするのか」

マングムは思わず表を向いた葉銭を掴む。

マングム(心の声)「偶然だ!たった一度の偶然!確率は絶対に嘘つかないぞ!」

「あの…」マングムは口を開いた。「良ければこれでもう一勝負どうです?」

粛宗「もう一度?」

「私は構わないが」粛宗は身を乗り出して微笑んだ。

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その葉銭はイスが提供したものだ。
「軍器師に特別に作らせた葉銭ですので、私を信じてくださいませ」葉銭を両手で差し出し、イスはそう言った。「100回やれば100回、表が出ます」

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「ならば…」マングムは思わず酒をぐいと流しこむ。「今回も裏に200両賭けよう」

粛宗「それなら私は表だ」

「行きます」今度は提案したマングムが葉銭を回す。
くるくると回った葉銭は、またしても表を向けて止まった。

マングム「!!!」
粛宗「悪いね。また表だ」

マングムは意地になって手元の金を全部差し出す。「もう一度だけ!もう一度やろう!」
彼はすっかり平常心を失っていた。

粛宗「構わんよ。もう元手は取り返したし、運もいいようだ」

そのとき、誰かがいきなりマングムの首に小刀を突き立てた。「!!!」
ホンメだ。

ホンメ「マングムさんの命運、この金に掛かってるんだよ」
マングム「わかってる!わかってるさ!」
ホンメ「長生きしてもらわないとね」

ホンメが立ち去ると、粛宗は静かに口を開いた。「さぁ、今度はどちらを選ぶ?」

マングム「表だ」
粛宗「表?確かに表が2度も出たな。それなら私は…」
マングム「いやいやいや!」
粛宗「?」
マングム「裏だ。まさか3度続けては出まい」
粛宗「さぁ、どうかな」

粛宗が葉銭を転がそうとしたのを、マングムはまた止めた。「待った!」
乱れた息で盃の酒を飲み干し、緊張を落ち着かせる。「別の葉銭を使おう」

近くで密かに勝負を見守っていたイスが、驚いて振り返った。「!!!」

マングムは卓上に散らばった掛け金を探り、その中から一枚つまみ上げる。「これだ」
「…。」じっとマングムを見据える粛宗の目が鋭く光った。「お好きなように」

粛宗が手渡された葉銭を転がす。
マングムが選んだその葉銭は…

…彼を嘲笑うようにまた表を示した。

マングム「!!!」

「おかげで楽しかった」絶句するマングムに、粛宗は静かに言う。
立ち上がった粛宗を、マングムは必死で引き留めた。「もう一度だけ!」

粛宗「君はもう何も持っていないようだが」

「この腕を賭けよう!」正気を失ったマングムは夢中で腕を掲げる。

粛宗「君の腕をもらってどうする?私に何の必要もない品だ」

「そうだ!」マングムは懐から何かを取り出した。
あの指輪だ。「これではどうです?」

「…。」粛宗は表情一つ変えず、ゆっくりとその指輪を手に取り、品定めをする。

粛宗「どこにでも売っている安物ではないか」
マングム「!」
粛宗「話にならぬ」

粛宗は満を持して、とどめの一言を口にした。「この指輪の持ち主なら別だが」

006

指輪を卓上にぽいと転がし、粛宗が部屋を後にする。
マングムは指輪を手に取り、懸命に考えを巡らせた。

目の前では従者が淡々と銀貨を箱に片付けている。
一度は自分の手に転がり込んだ銀貨。
あの旨味を…マングムはどうにも諦めることが出来そうになかった。

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「賭けよう!!!」マングムの叫び声を背に、粛宗は出口へと向かった。
追いかけてきたマングムが階段の下で立ち止まる。「女房を賭けるぞ!!!」

粛宗は密かに口角を上げ、ゆっくりと振り返った。「金の代わりに妻を賭けると?」

粛宗「本気か?」
マングム「本気だ!もちろん本気だぞ!」

「…。」一度上がった階段を下りながら、粛宗は考える。「こいつ、ポクスンを失っても何も言えぬな」

粛宗「君が大事な妻を賭けると言うなら、私は銀貨10ケ、500両を賭けよう!」

場内が一気にざわめく。

マングム「いいだろう」
粛宗「ならば、何をするかは私が決める。先手は君が取ればいい」

「君」粛宗は奥にいる給仕係の男性を指した。「その酒瓶と盃をこちらへ」

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中央の卓上に、酒瓶が一つ。その周囲に10個の盃が並べられた。

粛宗「この酒、何杯分あると思う?」
マングム「!」

マッコリを一杯に満たした酒瓶を、マングムはじっと見つめた。

マングム(心の声)「6杯?いやいや…」

マングムはさっき二人で飲んだ量を慎重に思い出す。

マングム(心の声)「最初にこの男が注いだのが1杯。2杯。3、4。5、6、7!そうだ、間違いなく7だ。7杯!」

「な…7杯だ」マングムはやっとのことで声を発した。

粛宗「ならば私は6杯にしよう」
マングム「!」

粛宗が酒の蓋をポンと開け、端の盃から注いでいく。
マングムは息を呑んでそれを見守った。

1杯、2杯、3杯、4杯…。
5杯目を注ぐ頃には、瓶をかなり傾けなくてはならなかった。
マングムの緊張が高まる。

6杯目を満たすと、酒瓶はいよいよ7杯目の盃へと向かう。
瓶の口からちょろちょろと出た酒は、ほんの一匙にもならぬほどで尽きた。

マングム「!!!」
粛宗「6杯だ」

目を丸く見開いたまま絶句するしかないマングムを、少し離れた上階からポクスンは無表情で見つめていた。
目の前で、夫は欲のために彼女を売ったのだ。

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ここで1話はエンディングです。

長かったですね~、粛宗とマングムの対決。
vol.3記事は全部このシーンになっちゃいました。
難しいルールのある賭け事ではなく、「表か裏か」みたいに単純な方が入り込めますね。特にこの対決の場合^^
粛宗の迫力あるドアップを大きなTVで見たらどんな感じか、ぜひいつか堪能したいです!

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