韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

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テバク1話あらすじ&日本語訳vol.2

   

チョン・グァンリョル、チェ・ミンス出演SBSドラマ「テバク(대박)」1話、中盤です。

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太鼓がドンと重い音を立てると、粛宗は弓を構えた。
放たれた矢がひゅるりと弧を描き、的の真ん中に突き刺さる。
「命中!」男が踊り出て赤い旗を振り、「さすが殿下」と重臣たちが口々に讃えた。

「心にもないことを」粛宗は次の矢を指先でつまみ上げ、弓の相手をする男にぼやいた。「ずっと聞いていると胃がむかむかする」
「殿下を支える大臣たちではありませんか」その男…キム・イスはそうなだめた。

粛宗「わかってないな。やつらが欲しがってるのは王じゃない。傀儡だ」
イス「…。」
粛宗「故に時期を見て排除せねば」

放たれた矢が的の中央に刺さるのを見届けると、粛宗は弓をひょいと台の上に放り出した。「政治とはそういうものだ、イスよ」

イス「…。」

粛宗が背を向けると、イスの眼光は途端に鋭く光った。

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彼には密かに抱いている粛宗への大きく深い恨みがあった。

「獣にも劣る奴め!貴様のためにどれだけ多くの命が犠牲になったことか!」

憎しみに燃え、彼は渾身の力で弓に矢を込める。

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粛宗「そなた… なぜ射ぬのだ?」

思わず放った矢は、的の中心から外れ、枠に刺さった。
係の者が青い旗を振るのが目に入り、イスは我に返る。

粛宗は愕然とするイスを見つめると、彼の肩にトンと手を置き、黙ってそこを立ち去った。

イス「…。」

「耐えるんだ」イスの頭の中に誰かの声が蘇る。「王を殺したところで世が変わるものか」

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それはインジャの言葉だった。
かつてインジャは、今のようにイスと並んで弓矢を射ながら口を開いた。「王などいくらでも替えられる」

怒りに任せて弓矢を射るイスの指は血に染まっていた。
淡々と話しながら放つインジャの矢は、どれも当たり前のように的に吸い込まれていく。
イスは苛立ちを抑え、ただ的を見つめた。

インジャ「王の心臓にお前が矢を突き立てる日がきっと来る」
イス「…。」
インジャ「だが、その日までは耐えるのだ」

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イスの目に力が戻った。
彼の放った矢は的の中央に突き刺さる。

旗持ち「命中!」

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「休み休みなさいよ」仲間の雑仕女がポクスンを見て苦笑いした。

仲間「そんなに汗かいて働いたって誰も気づいてくれないわ」
ポクスン「仕事があってどんなに嬉しいか。ごはんだって食べられるし」
仲間「年がら年じゅう喉カラカラにして働いても、私たちのことなんて誰ひとり見てくれないわよ。ゆっくりやりましょ」

「そうね」ポクスンはにっこり微笑んだ。

そのときだ。「王様のおなり!」高らかな声が響く。
「!」散らばって働いていた彼女たちはさっと立ち上がり、頭を下げた。

向こうから粛宗が内官や至密女官たちを引き連れて歩いてくる。
と、ポクスンの前を通りかかったところで、ふいに足を止めた。

ポクスン「…。」

「ポクスンと… 言ったか」粛宗は前をじっと見つめたまま、ポツリと言う。

ポクスン「はい、殿下」
粛宗「…。」

「ではまた会おうぞ」そう言って表情をわずかに引き締めると、粛宗は何事もなかったようにまた歩き出した。

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「はぁ」妻のいない自宅に戻ると、男… ペク・マングムはごろんと床に横たわった。「どっかに金の出てくる穴でもねぇかな」

マングム「なんとかしないと」

「!」彼は急に起き上がった。「族譜だ!」
さっそく棚の扉を開け、衣類を全部取り出すと、一番下から古びた木の箱を手に取る。

マングム「これでも両班の族譜だからな。60両にはなるだろう」

出した服を棚に戻そうとした彼は、ふと棚の中に目を留めた。「?」
そこにひっそりと置いてあったのは…金束ではないか!「何だこれは?」
金を掴み、思わずあたりを見回す。

マングム「こんなダメ亭主の嫁がどこでこんな大金を?!」

彼の顔がみるみるうちに輝いた。

004

#イ・ムンシクさんが演じるとホント憎めないよねー。可愛くって!(笑)
そして、ずっと後でテギルを助けようとして死んじゃう予感がしてならない。デジャブだね(笑)

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市場でインジャがのんびり装身具を物色するのを、ポクスンは怪訝そうに眺めた。

ポクスン「殿下が私みたいな女に恋情を抱かれると、本当に期待なさっているんですか?」
インジャ「あぁ」
ポクスン「私は夫のいる身なんです」
インジャ「ばくち打ちにさらわれて逃げられないだけでは?」
ポクスン「結婚しようとさらわれようと、同じ布団で寝れば夫婦じゃありませんか」

「どんな理由にせよ、そなた次第だ」インジャは小さな蝶の装身具を手に取り、ポクスンを振り返る。「どうだね?」

インジャ「ばくち打ちのペク・マングムと朝鮮の王、どちらを選ぶ?」
ポクスン「私はそんな人間じゃありません!いくらばくち打ちの夫でもそれは駄目です。受け取ったお金は明日お返しします」

ぷいと背を向けたポクスンに、インジャは微笑んだ。「あまり遠くへ行かぬように」

ポクスン「?」
インジャ「また戻ってくることになるから」

005

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棚からぼた餅ならぬ、まさに棚から大金を手にしたマングムがいたのは、もちろん賭場だ。
大事に手に持った3枚の札をゆっくり確かめる。五、四、そして…四。
彼は家から持ちだしたペク氏の族譜を台の上にドンと置いた。

男1「さぁ、札を出そうか」

男が出した札は1が2枚揃っている。「一組だ」
マングムがニヤリとした。

男2「畜生!なんでこんなときにいい札が来ねぇんだ?」

別の男がバラバラの札を投げ捨てる。「役なしだ」

マングム「それじゃ俺のもんだな」

「四テンだ」マングムが族譜と金束に伸ばした手を、隣の男がすかさず掴んだ。

マングム「!」

男が持ち札を差し出し、フフッと笑った。「俺の札もあるぞ」
男の札は…十が2枚揃っているではないか。

男「十テンだ」

#わぁい、トックおじさん♥ 嬉しいね~

狭い部屋に男たちの笑い声と、金をかき寄せる音が響く。
マングムは呆然と札を見つめた。

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マングムが家の扉を開けると、奥に女房の姿が見えた。
棚の扉を開け、必死で何かを探している様子だ。
彼は気まずそうに咳払いをした。

ポクスン「!」
マングム「何を… そんなに探してるんだい?」
ポクスン「聞かなくてもわかるでしょう?」
マングム「!… 聞きもせずにわかるわけないだろう」

ポクスンは手に持った衣類を夫に投げつけた。「族譜はどこ行ったのよ!」

マングム「…。」
ポクスン「族譜を売るなんて!売るなんて…!」

「あぁ、族譜か」マングムは家の隅に腰を下ろす。

マングム「女ってのは全く!たいしたことでもないのに大騒ぎして。近所に恥ずかしいぞ」
ポクスン「族譜に手を出しちゃ駄目でしょ!ご立派な両班の血筋以外に良いところなんか一つもないのに、族譜を売るなんて!!!」
マングム「………。」
ポクスン「取り返してきて。あれがなきゃ駄目よ。こんな親でも子どもには良い暮らしをさせなきゃ」

「あの、ところで…」マングムが泣いている妻をそっと窺った。「そこにあった金束だけど」

「!!!」金束と聞き、ようやくポクスンは気がついた。慌てて棚の中へ手を突っ込むが、そこは空っぽだ。
彼女は呆然として夫を振り返った。
「…。」マングムは刺すような視線を避け、ただ硬直するしかない。(←可愛すぎる

ポクスン「あのお金…何だと思ってるの?」

ポクスンは思わず家を飛び出した。

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一人、静かに酒を嗜んでいたインジャは、誰かが目の前にやってきたのに気づき、小さく視線を上げた。
「教えてください」ポクスンだ。

ポクスン「私… どうすればいいんですか」
インジャ「…。」

ポクスンはその場にがっくりとへたり込む。「これ以上はやっていけません」

インジャは盃を置き、まっすぐに彼女を見た。「王の女になるのだ」

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「何と!」張禧嬪は拳を卓に叩きつけた。「殿下がまたあの雑仕女と一緒にいると?」

張禧嬪「あの女め…」

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粛宗はいつものように朝の散歩に出ていた。
彼のすぐ後ろにいるのは… ポクスンだ。

「ポクスン」粛宗は手に持った巻物を広げると、柔らかい声で彼女を呼んだ。「どう?気に入ったか?」
それは絵師に描かせた彼女の肖像だ。
「いいえ、殿下」ポクスンは恐縮して顔を伏せる。

粛宗「確かにそなたの美しさに比べれば、こんなものはただの戯れだ」

粛宗は絵を内官に渡し、その手でポクスンの手を取った。「ポクスン」

ポクスン「はい、殿下」

「ポクスン」粛宗は愛おしげに、ただもう一度彼女の名を呼んだ。
「はい、殿下」ポクスンは怖くなり、繋がれた手をさっと引き抜く。

粛宗「どうした?」

「私…」ポクスンは意を決してその場に跪いた。「夫がおります」

粛宗「!」

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居室へ戻った粛宗は、一人悶々としていた。
「夫がおります」ポクスンの震える声がしきりに思い出される。

「そこにおるか」粛宗は顔を上げると内官を呼んだ。

粛宗「ポクスン… あの娘のことを調べるのだ。どこに住んでいるのか、誰と住んでいるのか、何をしているのか」
内官「殿下。崔氏ポクスンは全羅太仁の出身、疫病にて家族を失いました」

#おじさんチームがアクの強い分、内官たちは個性と表情を排除したお人形みたいな若者たちにして、引き算したのかな。非日常というか、独特な雰囲気を醸し出してていいね。

内官「12歳で廃位王妃の雑仕女として入宮しました。賭博師ペク・マングムに連れ去られて妻となった後は、目が覚めれば夫の朝食を用意して入宮し、宮中では山積みの洗濯物や洗い物と一日じゅう格闘し、宮廷を出たら妓房で働いたり夜通し針仕事をしておりますが、それでも数日に一度は賭博師の夫ペク・マングムに全て奪われ、再び一文無しに。それを繰り返しております」
粛宗「ペク・マングムとはどんな男だ?」
内官「生まれは両班ですが、家が没落した後は賭場を転々とする遊び人でございます」

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怒りに燃えた張禧嬪は、粛宗が描かせたポクスンの絵を焼き捨てた。「賤しい雑仕女ごときが王の御心を乱すとは!」
「お助けください、王妃様」彼女の後ろでポクスンが小さくなる。「お助けください!」

張禧嬪「その可愛いお顔で花輿に乗ろうなど思わぬことだ。二度と宮廷に足を踏み入れるでないぞ」

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ようやく解放されたポクスンは、宮廷を出ると恨めしそうに門を振り返った。「…。」

そこへ誰かがやって来て声を掛ける。
賭場の女将、ホンメだ。「マングムさんの奥さんかい?」
「どちら様で?」ポクスンは涙で鼻をすすった。

ホンメ「ちょっと話があるんだけど」

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粛宗の放つ矢は、どういうわけか今日はことごとく的から外れた。

イス「殿下、どこかお具合でも…?」
粛宗「うむ、いろいろ悩み事があってな」
イス「お力になれるなら…」
粛宗「いや。ありがたいが、そなたに力になってもらえるようなことではないな」
イス「もしや雑仕女の崔氏のことでは?」

「?」粛宗はゆっくり振り返る。「そなたがなぜ」

イス「…。」

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イスは事前にインジャから話を聞いていた。
「もうじき王から頼みごとをされるだろう」インジャはそう言ったのだ。

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イス「殿下、恐れ入りますが私は若かりし頃に賭場へ出入りしたことがございますゆえ、賭博師たちのやり口もよく存じております」

「そうか?」粛宗は台の上に腰を下ろし、イスと向き合った。

粛宗「それならもしや、そなたペク・マングムなる男を知っておるか?」
イス「博打に嵌った遊び人。それ以上でも以下でもございません」

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今日もマングムは何かをこっそり持ちだそうとしていたのを、ポクスンに見つかった。
やっとのことで彼の手から奪い返したものをみて、ポクスンは言葉を失う。
それは… 指輪だった。

マングム「…。」
ポクスン「あんた、この指輪まで売るつもりだったの?」
マングム「(咳払い)そんなわけないだろ。ちょっと使って戻しておこうと思っただけだ」

「いつまで!」ポクスンの怒りが爆発した。「一体いつまでこんなふうに生きるのよ!」

マングム「…。」
ポクスン「私のこと大事だって一度でも… たった一度でも思ったことある?」

「お前」悲しむポクスンに、マングムは笑い掛けた。

ポクスン「私、あんたみたいな亭主を持った覚えはないわ」

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「このペク・マングムを信じろ」彼女を無理やり拉致して嫁にした夜、マングムはそう言った。「たくさん稼いで金でも宝石でも買ってやるから」

※보쌈と言い、昔は婚期を逃した男がこうして女をさらって嫁にすることがあったようです。辞書引くと怖いこと書いてありますよ~笑

「まずはこれだ」そう言って彼がポクスンの指に嵌めたのが、その指輪だった。

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ポクスンは指輪を亭主の前にぽいと放り出す。

マングム「!」
ポクスン「これが亭主への最後の義理よ」
マングム「お前…」

ポクスンは静かに立ち上がると、呆然とするマングムの前で丁寧に礼をし、くるりと背を向けた。

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「奥さん、本当に美人だねぇ」家を出てきたばかりのポクスンを迎えたのは、ホンメだ。

ポクスン「…。」
ホンメ「あたしの言うとおりだろ?」

ポクスンは何も言わず、通りをとぼとぼと歩き出した。

「ポクスン!」ようやく嫁を追って駆けて来たマングムに、ホンメ一団が立ちふさがる。

マングム「な、何だよ?」
ホンメ「最初から良くしてやりゃよかったんだよ。手遅れだね」
マングム「退け!」

用心棒に襟首を掴まれ、マングムは地面に放り出された。「ボクスン!」

ホンメ「見苦しいザマだねぇ。見てられないよ」

マングムは立ち上がり、ホンメに掴みかかる。「ポクスンをどうするつもりだ?!」

ホンメ「大声出しなさんな。手首を斬られる前に、その手をおはなし!」
マングム「!」
ホンメ「マングムさん、あたしだって人の嫁さん連れてって何になる?取って食えるわけじゃなし」
マングム「この女、好きに言わせておけば!このろくでなしめ!言いたいことはそれだけか!」

「そうだねぇ」ホンメは頷いた。「こんなあたしでも今までの情があるから、一つ教えてやるよ」
ホンメはちらりと周囲を窺い、声を潜めた。「今日、朝鮮一のカモがうちへ来るよ」

マングム「よくも今俺にそんなことを!誰のためにこうなった?!」
ホンメ「保証するよ。立派な家を建てられるくらいのカモだ」
マングム「!」
ホンメ「どうだい?やってみなよ」

「何を!」マングムはそのまま口をつぐんだ。「…。」

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ここで区切ります。

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