韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!セリフを題材にした文法解説も

空から降る一億の星(韓国版)あらすじ&日本語訳 6話前編

   

ソ・イングク、チョン・ソミン、パク・ソンウン主演、tvN韓国ドラマ【空から降る一億の星】、6話の前半、詳細なセリフの日本語訳を交えながら、あらすじを紹介していきます。

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「平気そうだな」門の前で待っていたムヨンは、帰宅したジンガンを見るとそう言った。

ジンガン「…。」
ムヨン「俺は一日じゅう何も手につかなかったのに、そうさせた本人は全く平気だ」

彼を睨み、ジンガンは小さく溜息をついた。

ムヨン「またその目。”不憫”って」

そのとき、後ろでクラクションが響いた。
「ジンガンさん」チョロンが訪ねてきたのだ。

ジンガン「チョロンさん!」

慌てて門を見ると、そこにムヨンの姿はもうない。

チョロン「良かった。グッドタイミングでしたね」
ジンガン「えぇ」

「ビックリしたでしょう?」そう言って、チョロンは車に乗せてきた風呂敷包みを差し出す。「母さんがコムタンを持っていけってうるさくて」

ジンガン「ありがとうございます!いただきます」
チョロン「どうぞ」
ジンガン「食事、お済みですか?」
チョロン「いいえ、まだです」
ジンガン「これ、家に置いてきますから、一緒に食べましょ」

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ジンガンはチョロンと一緒に食事に来ていた。

チョロン「一人分ずつ分けて冷凍してありますから、ひとつずつ温めてくださいね」
ジンガン「はい、いただきますね。作るの大変だったでしょうに、私にまで」
チョロン「いいんですよ」

店員が二人の料理を運んでくる。
そのとき、客が入ってきて、チョロンの後ろの席に座った。

ジンガン「!」

ムヨンだ。
「…。」「…。」チョロンの肩越しに、二人の視線がぶつかる。

「カルグクス一つ」そう注文し、ムヨンは頬杖をついて、彼女を覗き込んだ。
”食えよ”睨んでいる彼女に、身振りでそう促す。

テーブルの上のチョロンの携帯が唸った。
母親からだ。

ジンガン「出てください。お母さんですよ」
チョロン「出なくてもいいんです」
ジンガン「それでも…」

チョロンは仕方なく電話を取った。

チョロン母(電話)「捕まえた(※繋いだ)?」
チョロン(電話)「捕まえる(※繋ぐ)って…何だよ。もう切るから」

早々に電話を切り、チョロンは彼女に言い訳をする。「犯人のことですよ。捕まえたのかって」

ジンガン「あ!一緒に食事したくて待っていらっしゃるんじゃ?」
チョロン「いえいえ、そんなんじゃないから気にしないでください」

次はメール攻勢だ。

チョロン母(メール)「オム・チョロン、あんたをそんなドアホに産んだ覚えはないよ。今日そのお嬢さんと手も繋げずに帰ってきたら、親子の縁を切るからね」

※잡다=”捕まえる”という意味もありますが、”(手を)掴む”→”手を繋ぐ”という意味もあります。お母さん電話で「(彼女と手を)繋いだのか」と訊いたのですが、チョロンは「(犯人を)捕まえたか」と意味を転換して誤魔化したのですね。

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チョロンと並んで帰り道を歩く間も、ジンガンは後ろをついて来るムヨンをしきりに窺った。
しかし、落ち着かないのはむしろチョロンの方だ。
散々そわそわした末に、彼はやっとのことでジンガンの手を握るミッションに成功した。

チョロン「つき合いましょうか、僕たち」

ジンガンが立ち止まり、彼を見る。

チョロン「”いい感じ”とかじゃなくて」

#お見合いしたとき、パブで”正式にいい感じになります?”って言ってた、あれですね^^

ジンガンは頷き、再び歩き出した。「”いい感じ”とかじゃなくて」

彼女の家の前まで帰ってくると、チョロンは辺りを確かめ、彼女を呼び止めた。「あの… ジンガンさん」
キスしようと近づいたそのとき… 後ろにいたムヨンがわざと音をたてる。

チョロン「!!!」

慌ててごまかし、チョロンはあっさり諦めて手を振った。「じゃあまた、ジンガンさん」

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チョロンの車を笑顔で見送ると、ジンガンは憮然とした表情で振り返った。「何してるの?」

ムヨン「うん。キスするんじゃないかと思って見張ってた」
ジンガン「…。」
ムヨン「何だよ。お前もキスしたかったのか?」
ジンガン「うん。したかったわ」
ムヨン「それならなおさら俺と話をしないとな」
ジンガン「なんで?」
ムヨン「キスしたいんだろ?今日話をしなきゃ、俺、明日もここに立ってるから」

「…。」ジンガンは冷たい眼差しで彼を見つめたまま、小さく肩をすくめた。

ムヨン「はぁ、お前のその目、”不憫、不憫、不憫” 一日じゅうつきまとって鬱陶しい…。騒がしくて何も出来なかった」
ジンガン「…。」
ムヨン「今だってそうだ。うちに来てみるか?今頃ふわふわ漂ってる。中に入ったら”ようこそ~ 不憫、不憫、不憫”」
ジンガン「…。」
ムヨン「理由を聞かせてもらわないと。どういう意味なのか、一体なんで俺が不憫なのか」
ジンガン「そんなこと聞くために?聞いて嬉しくもないのに?」

「くだらないことを」そう言い捨て、ジンガンはプイと背を向けた。

ムヨン「くだらないことなのに、なんで俺はこんな気分なんだ?」
ジンガン「あんたの気分がどうだっていうのよ?」

「…最悪だ」真っ直ぐに彼女を見つめ、彼は言った。

ジンガン「そう?そりゃ良かった。いい気味だわ」
ムヨン「…。」
ジンガン「何?人の気持ちを好き勝手弄んだくせに、自分の気分が最悪じゃダメ?考えるほど呆れるわ。こういうこと言われたの初めて?たいしたことでもないのに、わざわざ人の家の前まで来て…」
ムヨン「もちろん数え切れないほど言われた。そういう言葉… そういう視線も」
ジンガン「…。」
ムヨン「そのたびにどんな気分だったと思う?… 別に何も。全然平気だった。人の言う”不憫”は、”良かった”って意味だから」
ジンガン「…?」
ムヨン「両親がいなくて不憫だ、うちの子には自分がいて良かった、あらまぁひどい火傷!可哀相、私の腕にはあんな痕がなくて良かった。けど、お前の言葉は翻訳が出来ない。本気で俺に言ったことだから。本当に俺を不憫だと思ってるから。違うか?」
ジンガン「…そうよ」
ムヨン「なんで?」
ジンガン「なんで訊くの?不憫だから不憫だって言ったんでしょ」
ムヨン「…。」
ジンガン「こんなことしてる暇があるなら、自分が人に対してどうだったか考えてみなよ」

立ち尽くす彼を残し、彼女は家に入った。「くだらないことをわざわざ…」

ムヨン「…。」

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「ひょっとしてキム・ムヨンに会ったか?」帰宅するなり、ジングクは妹に尋ねた。
家のすぐ近くで、彼を見かけたのだ。

妹「会うわけないでしょ」
兄「仲良くしなきゃ~って言ってたくせに。会ってないならいいんだ」
妹「お腹空いてるならコムタンがあるよ。さっきチョロンさんが持ってきてくれたの」
兄「チョロンが?」
妹「うん、お母さんに持って行けって言われたんだって」

「!」ジングクは思わず妹に詰め寄る。「チョロンとつき合ってみてどうだ?なかなかイイだろ」

妹「放っといてよ」

「人の恋愛を…」ジンガンが膨れっ面で自室の扉を開ける。

ジングク「恋愛?恋愛って?!」

彼の額の前で扉が閉まった。

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「本当に?」翌日、一緒に昼食を摂りながら、ソジョンが身を乗り出した。

ソジョン「本当に事件当日のブラックボックス映像にキム・ムヨンが映ってたの?」
ジングク「あぁ」
ソジョン「わぁ!鳥肌立っちゃった。ユ課長、あんた何者?」
ジングク「何者って?」
ソジョン「だってそうじゃない。初めてキム・ムヨンを見たときから、妙な気がしたんでしょ?胸がドキリとして緊張するって」
ジングク「…。」
ソジョン「ユ課長の目にしか見えないものがあるのかしら。犯罪者は見ただけでわかるの?!」
ジングク「そんなわけないだろ。キム・ムヨンは最初から妙に見覚えがあって、なぜかそんな気がしたんだ」
ソジョン「オム・チョロンは何て?私でさえこれなんだから、あの子絶対大興奮だったでしょ」
ジングク「まだ話せてない。大慌てで救急病院に出かけるところだったから」
ソジョン「あぁ、そうだわ。お母さんが火傷なさったんだってね。けど、どうして?」
ジングク「スチームアイロンが足に当たったらしい」

「何てこと… 年配の方に火傷は辛いわ」ソジョンはドリンクを一口すする。「それで、どうするの?」

ジングク「訊きに行こうかと」
ソジョン「誰に何を?」

「キム・ムヨンに」ジングクが声を殺す。

ソジョン「本人に訊くって?!事件当日のブラックボックスに君が映ってたって?」
ジングク「あぁ」

ソジョンが苦笑して頭を抱える。「そうしたら…」

ソジョン「素直に”はい、あの夜、僕は人を殺しにあそこへ行きました”って言うと思うわけ?」
ジングク「可能性はある」
ソジョン「はぁ?」
ジングク「本当だ。今まで会った中で、一番変わったヤツだから」

「お前を疑ってる」と本人にぶつけたときの様子を、彼は思い返していた。

ジングク「平気な振りをしていたが、ハッキリと感じた。神経をピリピリさせてるのを。それでいて、俺をからかったんだ」

彼は、犯人がスノーボールを全て元通りにしたと聞いて驚き、自分が元通りにしたのはスンアのブレスレットだけだと笑った。

ジングク「俺が一方的に弄ばれているんだと、最初は思った」

スノーボールのことは知らないと言ったものの、ムヨンは“スノーボール”の順番を言い当てたのだ。

ジングク「だが、そうじゃなかったんだ。自分自身までゲーム盤に乗せて、弄んでいるんだ」
ソジョン「なぜ?何のためにそんな危険な真似を?」
ジングク「だから変わり者だって言ったんだ。一番危険な瞬間に、一番ゾクゾクするんじゃないか?」

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キム・ムヨンがNJグループ本社を訪れた。
「専務室に届けていただけますか?」彼が紙袋をフロントデスクに言付けるのを偶然目撃したのは、チャン・ウサンの姉、チャン・セラン常務だ。

彼女は、訪れたのがアーツ社のキム・ムヨンだと受付嬢から聞き、彼が言付けたウェディング用のビールを預かった。

#何を思ってビールを本社まで届けに来たのか、彼の心境はわからないのが面白いですね。ただの律儀にもとれるし、挑発にもとれる。

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ソジョンのいる民願室にチョロンが姿を見せた。

ソジョン「お母さん、火傷されたんだってね。大丈夫なの?」
チョロン「ちょっと触っただけなのに、皮膚移植しなきゃいけないって」
ソジョン「まぁ」
チョロン「さっき姉夫婦が来て、テジョンへ連れて行きました」
ソジョン「何てこと…」
チョロン「ユ課長、見かけませんでした?」
ソジョン「朝会って以来見てないけど」

「わかりました」背を向けようとしたチョロンを、ソジョンが呼び止めた。「ちょっと」

ソジョン「あんたさ、ユ課長の話聞いても、あんまり興奮しすぎちゃダメよ。冷静に。いいわね?」
チョロン「えっ?」

不思議そうなチョロンを見上げ、ソジョンがニヤリとする。

チョロン「課長、何か突き止めたんですか?!」
ソジョン「超ビッグな証拠よ」
チョロン「なんです?」
ソジョン「さぁね。ユ課長から直接聞きなさい」

「よっしゃ!」チョロンは駆け出した。

チョロン「あの子ったら、ユ課長目指してるのかしら。見れば見るほど可愛いわ」

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ジングクの電話が鳴った。
チョロンからだ。
ジングクはムヨンの家の前で、留守中の主を待っているところだった。
「すぐ戻るから、後でな」手短に告げたところで、待っていたムヨンが階段をあがって来た。

「いやぁ、ここは何気にロマンチックだな」立ち上がり、ジングクは屋上からの景色に目をやる。

ムヨン「どうしたんです?」
ジングク「あ、そうだ。さっきイム・ユリがそこの前で待ってたぞ」

ここへあがってくるとき、階段で待っていたイム・ユリが、ジングクの顔を見るなり走り去ったのだ。

ムヨン「ユリが?」
ジングク「あぁ。俺を見るなり、わぁ~って逃げ出したんだ」
ムヨン「…?」
ジングク「何日か前、手錠かけて留置場へ入れたから。聞いてないのか?」
ムヨン「刑事さんがなんでユリを?」
ジングク「なんでって?人を轢き殺すところだったのに、反省の色もないんだから。懲らしめるためだろ。なんでも何も」
ムヨン「あぁ、そうでしたね。刑事さんの妹」

「…。」ジングクは密かにムヨンの様子を窺った。

ムヨン「ユリは反省してないんですか?」
ジングク「全く。逮捕するつもりはなかったんだが、あんまり他人事みたいに言うんでな。二度とやらないと約束しろって言っても、出来ないとさ」

ムヨンが思わず笑う。

ジングク「なぜ笑う?」
ムヨン「いや、ユリらしいから」
ジングク「生意気なのが?」
ムヨン「いえ。そんなときでも嘘がつけないのが、ユリらしいんです」
ジングク「何?」

「ところで何で来たんです?」それ以上触れず、ムヨンは話題を切り替えた。

ジングク「あぁ、そうだったな。9月12日、夜中の2時34分、どこで何をしてた?」

「9月12日… 何してたかな」ムヨンはごく自然に首をかしげる。

ジングク「ヒューイット・ヴィラでチョン・ミヨンが死んだ日だ」
ムヨン「まだ僕が殺したと思ってるんですか」
ジングク「あぁ。これからもずっとな。面白いだろ」
ムヨン「そんなの面白がる人いませんよ。参ったな」
ジングク「あの夜、何してた?」
ムヨン「2時過ぎてたんなら寝てるでしょ。家で」

「いや」ジングクが即座に否定する。「お前はあの日、ヒューイット・ヴィラに行った」

ジングク「道中、通りすがりの車に水を引っ掛けられてな」

ジングクがブラックボックスの映像で見たのは、雨の中、すれ違いざまに水を引っ掛けた車を振り返るムヨンの姿だった。

ムヨン「…。」

言葉を失うムヨンを、ジングクは慎重に観察する。
次の瞬間、ムヨンは楽しげに身を乗り出した。「そこ、防犯カメラなかったんだな」
その言葉に、ジングクもまたニヤリとする。「あぁ」

ジングク「知っての通りフェイクだ。それを訊きに来た。まぁ近所の道は予め調べておいて、防犯カメラの死角になった道しか通れないとしても、建物の中は別だろ。フェイクだといっても見かけだけじゃわからないはずだが、お前はなんでわかった?誰から聞いた?」

「チョン・ミヨン」間髪入れずにムヨンは答えた。

ジングク「!」

「イム・ユリ」そう付け加えながら、ムヨンが堪えきれずに笑う。「警備のおじさん」

ジングク「…。」
ムヨン「刑事さん、面白すぎますよ。ブラックボックスの話をするから、あぁ、あそこの防犯カメラは役立たずだったんだなぁと思っただけなんだけど」
ジングク「…チョン・ミヨンから聞いたんだな。冗談のふりをして、お前はいつだって真実しか言わなかった」
ムヨン「…。」
ジングク「なぜなら、それが一番危険だから。危険であればあるほどゾクゾクするから」
ムヨン「…僕が?わぁ、超魅力的だな、俺」

「そりゃどうも」あっさり礼を言い、ムヨンは背を向ける。

ジングク「その賢い頭を、なぜ人を害するのに使う?」

「頭は知らないけど…」ムヨンはジングクの足に目をやった。「なぜその丈夫な足を、無駄足踏むのに使うんです?」

ジングク「…。」

「もう帰ってください」玄関に向かいながら、ムヨンは上着を脱いだ。
ジングクの目が、肩の火傷痕に釘付けになる。「!」

ムヨン「そんなに見るほどでもないでしょ。初めてじゃあるまいし」

「あぁ」ジングクはハッと我に返った。
「すまん、すまん」そう言うなり、彼は駆け出した。

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まるで逃げるように車に乗り、警察署の前まで帰ってくると、ジングクはそこで考えに耽った。
ムヨンに対して良い印象を持たない自分に対して、彼を庇おうとした妹の姿が蘇る。
「あいつだって…」そう言いかけて、妹は言葉を飲み込んだのだ。
”彼もヘサンの人なんだって” 妹はそのとき、そう言った。

ジングク「ヘサン?」

そのとき、チョロンがやってきて、ワクワクした様子で車に乗り込んできた。「何なんです?超ビッグな証拠って」

ジングク「証拠?」
チョロン「えぇ。ソジョンさんに聞きましたけど」

「…。」ジングクの目が右へ左へと何度も往復する。「あぁ、それか」

ジングク「そこまでビッグな証拠じゃないが」

彼が差し出したのは、小さく折りたたんだティッシュだ。

チョロン「何です?これ」
ジングク「その… イム・ユリの車のブラックボックス映像だ。ビルの前の草むらに…捨ててあった」
チョロン「イム・ユリ?」
ジングク「…あぁ」
チョロン「これのどこがビッグな証拠なんです?イム・ユリは犯人でもないのに」
ジングク「その事件も重要だが、(メモリーカードを指し)ジンガンが怪我したんだから」
チョロン「?」
ジングク「それなのに反省の色もないし」
チョロン「それはそうですけど」
ジングク「二度とやらないと約束すれば、俺だって目をつむったがな、図々しいことに約束できないって…」

そう言いかけて、ジングクはハッと言葉を止めた。「!」

チョロン「どうしたんです?」

“そんなときでも嘘がつけないのがユリらしいんです” ムヨンの言葉が、今になって急に色づく。

ジングク「それで、約束できないって言ったのか…」
チョロン「約束って?」
ジングク「…。」

しばらく愕然としていたかと思うと、ジングクは問答無用でチョロンを車から降ろし、急いでアクセルを踏み込んだ。

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ジングクが息を切らして駆け込んだのは、病院だ。
先日、運び込んだイム・ユリの血液検査結果を入手し、今度は精神科医のヤン・ギョンモ博士を訪ねる。

イム・ユリの車のブラックボックス映像と血液検査結果を見せ、ジングクは話を切り出した。「睡眠剤の成分と、今回の事件の関係を知りたいんです」

ジングク「もしかしたら、今回のことをイム・ユリが覚えていないかもしれないと思いまして」

ヤン博士は検査結果を見て顔を上げた。「さぁ、これだけでは」

ヤン博士「最近はゾルピデムに批判が集まっていますが、実際ゾルピデムは不眠症患者に処方される最も一般的な睡眠誘導剤です。適量の服用であれば何の問題もありません」
ジングク「救急病院の医師は6錠程度だと言ってましたが、適量ですか?」

「10錠くらいまででしょう」ヤン博士はうなずいた。「このくらいの数値なら」

ジングク「イム・ユリは… 薬物中毒ですか?」
ヤン博士「おわかりかと存じますが、治療内容に関しては申し上げることができないんです」

「申し訳ありませんが、力になれそうにはありません」ヤン博士は立ち上がった。

ジングク「“トラウマと共に” 」
ヤン博士「!」
ジングク「先生の本を読みました。7章に出てくるスジョンという子どもが、ユリだというのもわかっています」
ヤン博士「…。」

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ムヨンは新しい職場を訪れていた。
「よろしく」代表が握手を求める。「アーツのチョン代表がえらく褒めてましたけど、なぜ去ることに?」

ムヨン「…。」
代表「まぁ、我々は嬉しいですが」

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ジングクは路上に車を停め、チョロンに連絡を入れた。
行方不明児の捜索に出掛けるから来るようにと、チョロンからメールが来ていたのだ。

ジングク(電話)「行方不明児の捜索場所はどこだって?」

そこへ、女子高生が電話で話ながら目の前を駆けていった。「ウォニョン印刷所?」

ジングク「?」

「すぐ行くから」と電話を切ると、ジングクは女子高生の後を追ってウォニョン印刷所へ向かった。
そこにはすでに大勢の人が集まり、皆、屋上を見上げている。
若い女性が飛び降りようとしていたのだ。

ジングク「!!!」

ユリだ!
ジングクは慌てて駆け出した。

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塀の奥行きは、足のサイズよりもまだ短いほど薄かった。
その上に立ち、ユリはさらに足を踏み出す。

ユリ「…。」

下にはどんどん人が集まり、サイレンを鳴らしてパトカーも駆けつけた。

「飛び降りるのか?」彼女の頭の中に、ムヨンの声が蘇る。
あのとき彼は、笑顔で彼女に手を差し伸べたのだ。「俺と遊ぼう。超面白いぞ」

ユリ「…嘘つき」

救いを求めて訪ねてきたものの、ムヨンはずっと留守だった。

そのときだ。
「イム・ユリ!!!」階段を駆け上がってきたジングクが叫び声を上げる。

ユリ「!」

驚いて振り返る彼女に、ジングクは手を差し出した。「ダメだ、ユリ」

#振り返った反動だけで落ちそう。何気にユリは体幹鍛えてるぞ。

「…。」沈んだ表情で、ユリはやはり前へ向き直る。
そして、さらに前へ足を踏み出すと… ひとおもいに飛び降りたのだ。

ジングク「ダメだ!!!!!」

飛び降りたユリの体が空中で止まった。
ジングクが塀から身を乗り出し、彼女の片腕を掴んだのだ。

ユリ「…。」
ジングク「…ユリ、掴まるんだ!」

ジングクの決死の呼びかけにも、ユリの目は虚ろなままだ。
しかし、彼の握力も限界だった。「ユリ!頼むから…」

と、次の瞬間、ユリが目を見開き、もう片方の手でジングクの腕を掴む。
下から引っ張られる重みに耐えられず、ジングクの体が宙に浮いたかと思うと、二人はもつれあうように転落したのだ。

!!!!!

ハッと気づいたとき、ユリは白いマットに包まれ、空を見上げていた。
間一髪で警察が地面にマットを敷いたのだ。

ジングクの大きな手が、彼女の腕をまだしっかりと掴んでいた。

ユリ「…。」

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ジングクはユリと共に、近くの派出所へ来ていた。
警官から用紙を受け取り、ベンチでうなだれているユリの隣に腰を下ろす。

ジングク「陳述書だ。いつどこで、なぜやったか、それだけ書けばいい。最後に、もうやりませんってな」

そう言って、ペンを右手に持たせた。「書けるよな?」
ユリは小さく頷き、ペンを左手に持ち替えようとして、落とした。
震えて力が入らないのだ。

ジングク「…。」

注意深く見ていたジングクは、もう一度、今度は彼女の左手にペンを持たせた。
指に握らせ、その上からそっと押さえてやる。「大丈夫だ。ゆっくりやればいい」

「ごめんなさい、おじさん」ユリが泣き声を漏らした。

ジングク「大丈夫さ」

+-+-+-+

ジングクはユリの住むスタジオの前まで彼女を送ってきた。「とりあえず何も考えずに寝ろよ」
ユリは黙ってうなずく。

ジングク「明日また来るからな。なぜだかわかるだろ」
ユリ「死にませんから」

ユリが中へ入っていくのを見届けた途端、彼はその場にへたり込んだ。「あぁ!」
そこへ悲壮な顔で駆けつけたのが、ソジョンだ。

チョロンから連絡を受け、夢中で走ってきたのだった。
元気そうなジングクにホッと息をつくと、彼を思い切り蹴りつけ、背を向ける。

ジングク「置いていくなよ」
ソジョン「なんて人なの?!」
ジングク「怒るなって」
ソジョン「何で離さないのよ?一緒に落ちるなんて!死ぬつもりだったの?」
ジングク「死なないってば。下にマットがあるのを見て落ちたんだから」

「えぇ、上出来ね」ソジョンが皮肉を叫ぶ。

ソジョン「マットが10秒遅かったら死んでたって聞いたわ!」
ジングク「だって仕方ないだろ。自分一人助かるために手を離せるか?あのおチビの手を?」

ソジョンが目に滲む涙を拭う。「だから上出来だって言ってるでしょうが!」
さらに腹が立って、ソジョンはもう一発、ジングクの尻を蹴り上げた。

ソジョン「もう顔も見たくないわ」

怒り心頭で去っていくソジョンの後ろ姿に、ジングクは思わず笑みを浮かべた。「怒ったら可愛いな」

+-+-+-+

ここで区切ります。

ユリとジングクのシーン、どの瞬間も絵力が凄かったですね。
上から見下ろした絵も臨場感があるし、ユリの顔面力も相変わらず強い。

でも、ユリがなぜ飛び降りようという心境に至ったか、感情の流れがちょっと端折られていて、どうしても唐突に感じてしまいます。
映像が良かっただけに残念。
唐突といえば、チョロンのお母さんの火傷も唐突でしたね^^;;;

 - 空から降る一億の星