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マンホール-不思議の国のピル11話あらすじ&日本語訳vol.1

      2017/09/17

キム・ジェジュン(JYJ)、ユイ、チョン・ヘソン、バロ(B1A4)出演のKBSドラマ『マンホール 不思議の国のピル』11話のあらすじを、細かいセリフの翻訳を混じえて紹介します。

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スジンはイギリスでの留学生活を満喫していた。

ある日、つい友人との写真談義に花が咲き、授業に遅れそうになったスジンは、慌てて講義室へと走っていた。
「あっ」持っていた本が手から滑り落ちたことに気づき、彼女は立ち上がる。
偶然後ろを通りかかった男性が、それを拾い上げ、彼女に差し出した。

スジン「!」

ジェヒョンだ。「あっ?スジンさん」

スジン「あれ?ジェヒョンさん」
ジェヒョン「こんなところでスジンさんに会うなんて。この学校なんですか?」
スジン「はい。ジェヒョンさんがどうしてここに?」
ジェヒョン「旅行中なんです。後輩がここに通っていて、会いに来たんですよ」
スジン「あぁ、そうなんですね!何にしても嬉しいわ」
ジェヒョン「そうですね」

スジンはハッとして時計を見た。「すみません、授業があって」

ジェヒョン「あ、どうぞ行ってください」
スジン「旅行楽しんでくださいね」
ジェヒョン「えぇ」

スジンが走っていくのを、ジェヒョンは笑顔で見送った。

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町の派出所では朝7時から酔っぱらいが暴れていた。
警察官の制服を着たまま、デスクに突っ伏して居眠りしていたピルの体に、タイムスリップした魂が飛び込んだとき、最初に聴こえてきたのは、酔っぱらいの怒鳴り声だ。「おい!シン巡査、お前に人生の辛さがわかるか!」
「?」と、次の瞬間、ピルは後ろから酔っぱらいに髪を掴まれ、思い切り引っ張られた。「ああ!」

ピル「何するんですか!離してください!ここどこなんだ…?」
酔っぱらい「どこって警察署だろ」
ピル「おまわりさん、ちょっとこの人を止めてくださいよ!」
酔っぱらい「お前、勤務中に寝ていいのか?!」

別の警察官がやって来て、慣れた様子で酔っ払いを引き剥がす。「さっさと家に帰れ」

酔っぱらい「家には帰らん!家に帰ったらどんなに恐ろしい嫁がいるか…」

ピルはようやく自分の服装に気づいた。「何だ?俺、警察官になったのか?」
先輩警察官が声を掛けた。「ポン巡査」

先輩「派出所に入ったばかりで何が何だかわからんだろ。俺は派出所生活30年だが、未だに慣れん」
ピル「あの… 今、何年度ですか?」
先輩「おいおい、ジョークを言うには男前すぎるぞ。2018年だろ」
ピル「2018年?!」
先輩「まだ寝ぼけてるのか。どうしたんだ?」
ピル「…。」
先輩「一回りパトロールでもしよう。ジャンパー持ってくるから、外で準備してろよ」

11話『愛はいつだって逃げていく』

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先輩に言われて外へ出てからも、ピルはパトカーの脇に突っ立ったまま、頭の中は疑問でいっぱいだ。「今度は過去に行く順番なのに、何で未来へ?」
彼は、さっきマンホールに吸い込まれたときのことを思い返した。
トンネルで人を襲っている男を取り押さえていたのだ。

ピル「12時にもなっていないのに、マンホールに吸い込まれた。こんなこと一度もなかったのに、どうなってるんだ?」

先輩にトンと肩を叩かれ、ピルは我に返った。

先輩「おい、ポン巡査」
ピル「はい?」
先輩「飯を食う量やら、生まれた年やら考えると、ちょっと違う気がしてな」
ピル「何のことです?」
先輩「俺が運転しようか?あぁ、俺がやろう」
ピル「ああ!僕がやります!すみません」
先輩「いや、年食ってる方が安全運転だからな」
ピル「いえ、僕がやります」
先輩「そうか?」

二人が乗り込み、パトカーが走り出した。

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しばらく行くと、道の真ん中でリアカーに廃品を積み上げている老婆に出くわした。
ピルはパトカーを降りていって、地面のダンボールを拾い上げる。「お婆さん、お手伝いしますよ」
先輩警察官もやって来て、ダンボールを紐でくくる。

老婆「まぁ、ありがとう。自分で引っ張っていくから」

「どちらへ?」ピルがリアカーの持ち手をさっと握った。

老婆「こっちなんだけど」

ピルは安全なところまでリアカーを移動させてやる。「重いのでお気をつけください」

老婆「えぇ、ありがとう」

老婆の後ろ姿を見送るピルの隣で、先輩が周囲を見渡した。「やれやれ。昔はこの町も住みやすかったのに」

ピル「この町に何か問題でも?」
先輩「何だよ初耳みたいに。最近は通り魔暴行事件のせいで、日が暮れたら町の人は外に出ようともしないんだから。どんな野郎なんだか、捕まえた日にゃ…」

素敵すぎる!❤
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そのとき、先輩警察官の胸の無線機が鳴り始めた。「現在位置を教えてください」
住民の安否確認をしてほしいと通報があったと言うのだ。

先輩「(ピルに)聞いたろ。ヘユ洞21番地だ」

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該当住所へ到着すると、通報した住民の案内で、ピルたちはアパートの階段を上がった。
先輩警察官が玄関扉をノックする。「派出所から来ました。開けてください」

住民「無駄ですよ。私、何日も前からノックしてるけど、返事がないんです」
先輩「中に人がいるのは間違いないですか?何日か出掛けてるのかもしれないでしょう?」
住民「防犯カメラも確認したんです。もう1ヶ月家を出てないんですから。こうしてるうちに死んでしまうと思って連絡したんですよ」

玄関扉には鍵がかかっている。
「ドアを開けなきゃなぁ」先輩が後ろにいるピルに声を掛けた。「ポン巡査、鍵屋に電話してくれ」

ピル「え?えーと…鍵屋の電話番号知らないんですけど」
先輩「やれやれ、全く…。登録しておけって念押したろ。それを忘れるか?」
ピル「すみません」

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先輩警察官が呼んだ鍵屋の到着により、玄関の扉が開いた。
「派出所から来ました。失礼しますよ」先輩警察官を先頭に、ピルも中へ足を踏み入れる。

カーテンを開いて室内を明るくすると、ピルは溜息をついた。「巡査になったのもまだ馴染めないのに、事件現場にまで…。超スペクタクルだな」
奥の部屋へと続くドアが目に入り、ピルはそこを開けてみた。「警査、ここです!」

若い女性が倒れている。

ピル「大丈夫ですか!」

まだ息があった。

先輩「ひとまず119番に連絡するぞ」

女性を抱き起こそうとして、ピルはハッとその手を止めた。「!」
見覚えのある女性だ。
彼女が抱きかかえていたフォトフレームには、パク・ジェヒョンと映っている写真がおさめてあった。

これまでタイムスリップをする間に、女性と遭遇した場面が蘇る。
そう、あの女性だ!薬剤師と付き合っていた、あの女性!

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女性… ヨンジュはただちに病院へ搬送された。
「栄養失調と貧血で倒れたようです」診察した医師が、ピルたちに説明する。
ヨンジュはまだ意識の戻らぬまま、ベッドで点滴を受けていた。

医師「あまり深刻ではありませんから、点滴をすればじき気がつくでしょう」
先輩「それは良かった」
医師「それより、患者は1ヶ月外出していないそうですね」
先輩「えぇ。我々も近隣の通報で出動したんです」
医師「まともに食事もせず、外出もしていなかったということは、患者に何らかの問題があったと思うのですが。意識が戻ったら、精神科のカウンセリングを受けられたほうがいいでしょう」
先輩「わかりました。そのように処理いたします」

医師との話が終わると、先輩警察官も署に連絡すると言ってそこを離れ、ピルは急に一人で患者のそばに残された。

ピル「どうしてこんなことに…?家の中に薬剤師のヤツと撮った写真があるってことは、まだ付き合ってるようではあるけど… あぁどうなってるんだろう?」

「う…」ヨンジュがふいに目を覚ました。

ピル「気がつきましたか?」
ヨンジュ「ここは…?」
ピル「病院です。僕は派出所の巡査で。あなたの安否を確認してくれとお隣から要請がありまして、出動してみたら、倒れていらっしゃったんです」

「えぇ」ヨンジュが大きく溜息をついた。

ピル「1ヶ月近く家を出ていらっしゃらないそうですが、何か困ったことでも…」

「いいえ、何でもありません。出掛けたくなかっただけです」ピルから視線をそらしたまま、彼女は淡々と答えた。
「あの…」ピルは少し躊躇ってから、言葉を続ける。「パク・ジェヒョンさんをご存知ですよね?」
「!」ヨンジュはハッとして彼を見た。「どうしてジェヒョンさんを知ってるんです?」

ピル「あぁ… 個人的にちょっと。お二人は以前から付き合っていらっしゃったようですが、ひょっとして今でも…?」

「!」ヨンジュがピルの手を掴んだ。「お願いです」

ヨンジュ「ジェヒョンさんを知っているなら、連絡してもらえませんか?私が今病院にいるって」
ピル「…。」
ヨンジュ「ジェヒョンさん、私に会ってくれないんです。ジェヒョンさんのせいでこんなに苦しんでいるのに。だから、あなたからジェヒョンさんに連絡してください。ね?病院にいるって聞いたら、心配で来るかもしれないでしょう?」

そこへ先輩警察官が戻ってきたため、彼女はさっと手を離した。

先輩「どうした?」
ピル「何でもありません。患者の意識が戻りました」

「大丈夫ですか?」先輩警察官は彼女に声を掛け、ピルを振り返った。「君はもう退勤しろよ。ここは俺が処理するから」
「はい」そう答え、ピルはもう一度彼女を見る。ヨンジュは悲しみに満ちた目でピルを見た。「…。」

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仕事を終え、ピルは制服のまま歩いていた。
「前に見た時は元気そうだったのに、突然どうしたんだろう?」ヨンジュの様子から今の状況を考える。

ピル「薬剤師のヤツはあの人と別れたみたいだな。ひょっとしてスジンと付き合ってるのか?いや、スジンは留学するって言ってたから、そんなはずはないし」

家の前の通りに差し掛かった時、彼はふと立ち止まった。
向こうから紙袋を下げて歩いてきた男は…?

ジェヒョンだ。

彼はピルの家を通り過ぎ、あろうことかスジンの家に入っていくではないか。

ピル「あいつが何でスジンの家に?」

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スジンの家のリビングには、スジンの両親と共に、ピルの両親が揃っていた。

ピル母「久しぶりに水入らずでお茶を飲めるなんて嬉しいわ」
スジン母「そうですわね。すっかりご無沙汰してしまって。これからはときどきこうしてティータイムにしましょう」
ピル母「いいわね。いつでも電話して」
ピル父「ところで、今日はお話があるとか?」
スジン父「えぇ、もしよろしければ私たち夫婦と一緒に旅行でもどうかと思いまして」
ピル母「あら!いいわねぇ。ちょうど紅葉のシーズンですし」
スジン母「いえ、国内じゃなくて海外に。最近TVショッピングを見ていたらオトクなものも多くて」

ピルの両親は思わず顔を見合わせた。「海外?」

ピル母「でも、海外はお金がかかるんじゃ?」
スジン母「ピルが稼いでるんですから、行かせてもらえばいいんですよ。私たちだって自分のお金で行くんじゃありませんから」
ピル母「ということは、誰が行かせてくれるの?」
スジン母「まぁ!決まってるじゃないですかぁ」
スジン父「ははは」

ピルの両親は黙ってティーカップに手を伸ばした。「…。」
そこへ入ってきたのはジェヒョンだ。「お父様、お母様、こんにちは」
ジェヒョンはピルの両親に気づくと、爽やかに頭を下げる。「ピルさんのご両親もいらしたんですね」
スジンの両親は彼を隣に座らせた。

スジン父「(ジェヒョンに)君が私たちを海外旅行に行かせてくれるっていうから、ピルのご両親に一緒に行こうとお話ししていたところなんだ」
ジェヒョン「そうだったんですか。一緒にいらっしゃれば賑やかでいいですね」
ピル両親「…。」

「あら」スジンの母がジェヒョンの足元の紙袋に目をやった。「それはまた何なの?」
「あぁ、これですか?お二人に栄養剤をお持ちしたんです」ジェヒョンが袋を差し出す。

ジェヒョン「ビタミンと鉄分をたっぷり入れておきましたから、ぜひお飲みになってください」
スジン父「君って人は…。前に持ってきてくれた分もまだたくさん残ってるのに、そんなにしょっちゅう持ってこなくても」
スジン母「そうよぉ、やってられないわ」

「だって」彼女はピルの両親に得意げに身を乗り出す。「いらないいらないと言ってるのにこれなんですよ」
そこへ突然バタバタと入ってきたのがピルだ。「おい!」
乗り込んではみたものの、スジンの両親の隣に座っているジェヒョン、そして自分の両親まで揃った謎の会合に、ピルは驚いて彼らを見回した。「父さんと母さんがどうしてここに?」

ピル母「遊びに来たのよ。仕事が終わったなら家に帰りなさいよ。どうして来たの?」

「この人が…」ピルはそう言ってジェヒョンを指す。「突然この家に入っていくから」

ピル「あんたが何で…ここに座ってるんだ?」
スジン母「この子ったら!ピル、婿が妻の実家に来て何がおかしいの?あなた、ホントに変よ」
ピル「今、何ておっしゃったんです?婿?誰が?こいつが?」
スジン父「こいつだなんて!ピル、パク君へのその口の利き方は何だ?」
ピル母「この子ったら!(夫に)あなた、早くピルを連れて出ましょう」

「代わりにお詫びします」ピルの父親が頭を下げ、息子を急いで連行する。

スジン母「あの子、酔ってるのかしら?日ごとに摩訶不思議になっていくわ」
スジン父「全くだ。いつになったら分別がつくのやら。パク君、理解してやってくれ」

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ピルは両親に引っ張られ、ただちに家へ連れ戻された。

母「どうかしてるわよ!あなたのせいで恥ずかしくてたまらないわ」
父「帰りにコンビニで焼酎でも飲んだのか?」

「いいえ」ピルはハッキリ答えた。「僕はシラフですよ」

ピル「どうしてみんな変なことおっしゃるんです?スジンは留学してるじゃないですか。留学中なのに結婚するわけないでしょう?」
母「この子ったら!スジンが留学から戻って結婚してからだいぶ経つのに、今頃何言ってるのよ?」
ピル「?!」
父「酒に酔ったにしても相当なものだ。部屋へ上がって寝ろ」

「イヤです!」ピルは父の手を振り払う。「自分の目で確かめるまで、絶対に信じられません」
彼は再び家を飛び出した。

母「あぁ!あなた!あの子、本当に私が産んだ子かしら」
父「僕もときどきわからなくなるよ」

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ピルがやって来たのは、スジンのアトリエだ。
そこでは、スジンの上司が撮影をしていた。

ピル「あの…」
スジンの上司「あっ、スジンさんのお友だちでは?」
ピル「はい。あの… スジンは留学してますよね?」

スジンの上司は呆れたように小さく笑った。「留学も何も」

スジンの上司「とっくに結婚して仕事をやめたのに」
ピル「!」
スジンの上司「友だちなのに、そんなことも知らないんですか?」

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次にピルがやって来たのは、クギルのビリヤード場だ。
陽気に口笛を吹きながら、クギルは入ってきたピルをチラリとみた。「仕事帰りか?」

ピル「兄貴、スジンが結婚したって知ってたか?」

深刻な顔で尋ねるピルを、クギルは不思議そうに見た。「何言ってんだ?」

クギル「スジンが結婚してからもう1年になるのに」
ピル「1年になる?そんなわけない。スジンは留学するって言ってたのに、何で俺の知らないうちに結婚するんだよ?」

「???」戸惑いで言葉も出ず、クギルはピルを見つめたままのけぞった。「どうしたんだ?怖いじゃないか」

クギル「スジンの結納品が届いた時、あれだけ大騒ぎしたくせに」
ピル「!」

ピルの頭のなかに、”数日前”の記憶が蘇る。
初めてマンホールに吸い込まれる、その前日のことだ。
スジンの家の前へやって来た結納行列を相手に大騒ぎをしたのだった。

ピル「兄貴、俺、ひょっとして薬剤師野郎に殴られたこともあったか?」
クギル「あぁ、ジェヒョンさんにえらく殴られて、俺がおぶってチンスクの屋根部屋へ連れてってやったろ」

だんだんとピルの頭のなかで状況が掴めてきた。
最初にマンホールに吸い込まれる前の現実から、1年後に飛ばされたということか。
ここは時間旅行の中じゃない。マジの現実だ…。

「おまわりさん?」クギルがこわごわピルを突く。「どうしちまったんだ?ホント」

ピル「…。」
クギル「お前、睡眠不足だ。早く帰って寝ろよ」

#全く変わらない人が一人いる安心感って大きいね!クギルだけ毎回変わらない設定が、今になってグンと生きてきた気がする。

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スジンの住むマンションには、ジェヒョンとの幸せなウェディング写真が飾ってある。
日当たりも良く、明るい新婚生活の窺える家だ。
軽く鼻歌を歌いながら、スジンはキッチンでお弁当の準備をしていた。

そこへインターホンが鳴る。「?」
画面に映っているのは、チンスクとチョンエだ。

「サプライズよ!」家に入ると、チョンエは保冷ボックスを差し出した。「モーニングジュースを飲もうと思って寄ったの」

スジン「おお~」
チョンエ「何してたの?」
スジン「旦那さんのお弁当作ってたのよ~!あんたたち、うちに来るの久しぶりね」
チョンエ「最近チンスクも私も商売に忙しいでしょ。まぁ、正確に言えば忙しいのはチンスクだけだけど…」
チンスク「トラックごと譲ってあげたのに、うまくいかない?」
チョンエ「そうよね。あんたを信じて譲り受けたのに、どうして私はうまくいかないのかしら」

「それでも、味は保証するから…」チョンエが保冷ボックスを開ける。「一杯ずつ飲んでよ」

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「ところでチョンエ」ひととおり喉の渇きが癒えると、チンスクが切り出した。「まだタルスさんと連絡取れないの?」

チョンエ「…。」
スジン「やめようよ。辛くなるだけだし」
チンスク「そうだね」
スジン「チンスクは最近どうなの?私、あんたたちが付き合うなんて夢にも思わなかったわ」
チンスク「♪」
チョンエ「そうよね。私も気になるわ。一体どこがそんなにいいの?」
チンスク「いいところなんて…。人のことは一寸先だってわからないんだから。ねぇ、ここはスジンの家なんだし、その話はやめて、(スジンに)あんた、ジェヒョンさんとはどうなの?見たところラブラブね。お弁当まで作っちゃって」
チョンエ「至れり尽くせりよね」
スジン「私はまぁずっと幸せよぉ♪」

「わぁー鳥肌!」チンスクたちが身悶えした。
スジンはふと時計を見た。「あっ、もう12時よ」

スジン「あんたたち、商売始めなきゃいけないんじゃない?」
チョンエ「そうね、もう12時だわ」

「行こう」二人は立ち上がった。

#何この”前フリ”のための薄っぺらい会話(笑)

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スジンもお弁当を持って二人と一緒に外へ出て来た。「二人ともご苦労様」

チンスク「(お弁当をチラリ)美味しく食べて来て」
チョンエ「後でポンポンホップで会おうね」
スジン「うん。遅れずに行くね」

二人と別れ、歩き出したスジンは、ふと後ろに妙の気配を感じ、振り返った。「?」
誰もいないようだ。
首を傾げ、スジンはふたたび歩き出す。
彼女が去った後、木陰から顔を出したのは…ヨンジュだった。

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夫の働く薬局の前までやって来たスジンは、お年寄りたちに親切に応じるジェヒョンの姿に、顔をほころばせた。
彼がスジンの姿に気づくまで、彼女はそうやって彼を眺めていたのだ。

ジェヒョン「あ、スジン!」

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「ジャーン!」スジンは公園のベンチでお弁当を披露した。

ジェヒョン「わぁ、君が全部作ったのか?」
スジン「毎日買って食べるばかりで飽き飽きだって言ってたでしょ?それで久しぶりに実力発揮してみたのよ」
ジェヒョンはいなり寿司を一つ摘み、口に入れた。「美味しいよ!」

「あ、そうだ」お弁当を食べながら、ジェヒョンが思い出したように口を開く。「お父さんのお宅へ言ったらピルさんに会ったよ」

スジン「ピルに?」
ジェヒョン「酒でも飲んだのか、妙なこと言ってた。まだ僕らが結婚したことに実感が湧かないみたいだな。君と結婚したのが信じられないって」
スジン「ピルったら全く…。ジェヒョンさん、嫌な思いしたでしょ」
ジェヒョン「酔っ払ってたみたいだし、僕が理解するさ」

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公園で考え事をしているうちに、ピルは向こうで仲睦まじくお弁当を食べるスジンとジェヒョンを目の当たりにした。「!」
文句のつけようのない幸せな二人の姿に、ただ溜息が出るばかりだ。

ピル「どうしてこうなっちまったんだ?」

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「ところで…」スジンは少し慎重に切り出した。

ジェヒョン「ん?」
スジン「私、写真の仕事をまた始めたいんだけど、アトリエを再開してもいいかな?」

「…。」ジェヒョンの顔から笑みが消えたのを、スジンは緊張して窺った。

ジェヒョン「まだ少ししか休んでないじゃないか。今まで頑張ったんだから、もっと休んでもいいんじゃないか?」
スジン「やっぱり私、専業主婦は性に合わないみたい。働きたくてムズムズするのよ」
ジェヒョン「そうか。じゃあゆっくり考えてみよう」

ジェヒョンの言葉に、スジンは何度もうなずき、笑ってみせた。「うん」

スジン「あ、今晩友だちに会うの、忘れてないよね?」
ジェヒョン「あぁ、薬局を閉めたら行くよ」
スジン「うん」

美味しいお弁当を食べるうち、ジェヒョンが唐突にむせた。「たくさん食べすぎちゃって」

スジン「ちょっと飲むもの買ってくるわ。近くに友だちのやってるジューストラックがあるの」

「ゆっくり食べてて」スジンは立ち上がった。

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ジュースを買いにベンチを離れると、スジンは見覚えのある後ろ姿がトボトボと歩いていくのに気がついた。「?」
その背中に、”警察”と大きく書かれている。「ちょっと、ポン・ピル!」

ピル「!」
スジン「あんた何してるの?」
ピル「あぁ、仕事終わりで家に帰るところなんだ」

「それはそうと」スジンの顔が厳しくなる。「あんた今朝うちへ来て変なこと言ったんだって?」

ピル「あ、それは… ごめんな、俺、どうかしてたんだ」
スジン「お酒やめなさいよね。そのうち体壊すわ」
ピル「スジン」
スジン「?」
ピル「お前… 本当に結婚したのか?」
スジン「いきなりどうしたの?」
ピル「いやただ… まだ信じられなくて」
スジン「まだお酒が抜けてないのね。さっさと家で寝て、後でボンボンホップで会いましょ」
ピル「?」
スジン「今日集まることになってるの、わかってるよね?」

「あ、あぁ」ピルは頷いた。「わかった」
「じゃあ後でね」スジンはなんとなく様子のおかしいピルに首を傾げ、駆け出した。

#相手に沿わせた会話にピルの成長を感じると共に、これまでの時間旅行や今回の状況にかなり参っているのも伝わってきます…。

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優しいピルの父は、妻の肩を揉んでやっている最中だ。「肩こりの具合はどうだい?」

ピル母「はぁ、あなたが揉んでくれたから、ずっとマシだわ」
ピル父「さっきピルのせいで力んだからだろう」
母「はぁ、ピルのことを考えると焦れったくてたまらないわ。あの子、お酒を飲むと、いまだにスジンのことばかり思い出すみたい」
父「28年の想いを一度に断ち切れるわけがないさ。時間が必要だ」
母「スジンのお母さんが婿自慢をするのも耐えられないし、ピルがまだ独り者でいるのもムシャクシャして見ていられないのよ」
父「どうしようもないじゃないか」

ピルの母はテーブルの上の封筒を掴んだ。「ピルに縁談のあったお嬢さんたちよ」
封筒から何枚も写真を出して並べる。「このお嬢さんはどう?良さそうにみえない?」

父「僕はこっちのお嬢さんの方がいいな。口角がキュッと上がって顔相がいい」
母「そうねぇ。このお嬢さんもそのお嬢さんも全部気に入ったけど、みんな嫁にするわけにもいかないし」
父「僕たちが気に入ったって仕方ないよ。ピルのヤツは見合いするつもりなんてないんだから」
母「会ってみれば気が変わったりしないかしら?このお嬢さんたち、スジンに一つも引けを取らないわ」
父「そうだな。ダメでもともと、一度けしかけてみよう」

そこへふらりとピルが入ってきて、両親を一瞥もせず前を通り過ぎる。「休みます」
母は並べた写真から一枚を選び、気合を入れて立ち上がった。

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2階へ上がると、ピルはバルコニーの向こうの”スジンの部屋”をぼんやり眺めた。「スジンが結婚するなんて」

ピル「結局阻止できることじゃなかったのかな」

ピルはぐったりしてベッドに腰を下ろし、溜息をついた。
母親が上がってきたのはその時だ。「ねぇ、ピル」

母「疲れてるだろうけど、見てちょうだい。このお嬢さん、どう?」
ピル「…。」
母「警察官が理想なんですって。あなたとお似合いよ」

「僕、見合いはしないよ」写真に目もくれず、ピルは目を閉じた。

母「そんなこと言ってないで写真をごらんなさい。顔だってとても綺麗よ。芸能人も顔負けなんだから」
ピル「いりませんよ」

「僕、一生一人で生きていきますから」ピルはそのままベッドに倒れ込んだ。

母「いつまでスジンを忘れられずにいるのよ?友だちはみんな相手を見つけて幸せなのに、あなただけ寂しく取り残されていいの?!」

「えぇ。一生一人さびしく取り残されて暮らしますよ」ピルはヤケになってそう言い捨て、脱いだキャップで顔を覆った。

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ここで区切ります。

冒頭にスジンが留学中の様子が出ており、その後の会話の中でも「スジンは留学して、帰ってきてから結婚した」と語られています。
クギルとの会話から、ピルが飛ばされたのは”1話バージョンの2017年”を経た2018年。
1話ではスジンは数日後にジェヒョンとの結婚式を控えていましたから、”10話バージョンの2017年”の留学が挟まれているのは、辻褄が合わないように思います。ジェヒョンとスジンの進展度も違いますし。
なんとなくやり過ごすにはきついレベルの混乱ですね^^;

ところで、今回ピルが警察官になっているのは、10話の2017年、マンホールに吸い込まれる前に暴行魔を捕まえようとしたことが反映されたのかもしれませんね^^

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