韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

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夜警日誌あらすじ&日本語訳11話vol.2

   

チョン・イル、チョン・ユンホ(東方神起ユノ/ユンホ)出演、「夜警日誌」11話の後半です。
あらすじの中で表情や心の動きも拾いながら、詳細に翻訳していきますね。

ではさっそく♪

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トハはあてもなく街の中を歩きまわり、サダムを探していた。

#一体誰を探してるん?っていうほど、似ても似つかない人まで捕まえてますが

トハ(心の声)「大蛇をおいて都を離れるはずないもの。まだ都にいるわ… まだ」

「!」彼女はハッとして誰かの前で立ち止まる。
彼女の前に、ムソクが立っていた。

ムソク「…。」

突然出くわした彼女に何も言葉が出ず、ムソクはただ驚いて彼女を見つめる。
そんな彼を前に、トハは小さく頭を下げると、またすぐに歩き出した。

ムソク「そんなに急いでどこへ?」

振り返ったトハは、ムソクの後ろに視線を移した。
少女が… 妹のイナが立っていたのだ。

ムソク「?」

トハの視線が気になり、ムソクも後ろを振り返る。
何もない空間と、それを見つめているトハを、彼は不思議そうに見比べた。

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ムソクはトハと一緒にやって来ると、通りの角から梅蘭房を遠巻きに眺めた。

トハ「確かにここで見たんですね?」
ムソク「梅蘭房の営業日に間違いなく」

友人テホと訪れた日、向こう側の建物から顔を覗かせたサダムを、彼はハッキリと覚えていた。

ムソク「一人で立ち向かうには難しい相手です。助けを呼んだ方が」
トハ「…。」

トハはまだムソクの背後を気にしている。

ムソク「一体どうしたんです?さっきから誰か後ろにいるみたいに」
トハ「本当に…いるんです」

「…。」ムソクは不機嫌そうに視線を逸し、咳払いをする。

ムソク「うっかり忘れていた。あなたが鬼神を信じているのを」

「イン…ファ?」トハが不意にそう口にした。

ムソク「!」
トハ「イナですって。カン・イナ」
ムソク「!!!」

※妹の名前をハングルで書くと인화。綴りを元にカタカタ化するとインファとなります。
ただ、私は発音に近い方に(聞こえるように)書くのがモットーなので、通常はイナと書きますね。
簡略にイナとしましたが、もっと忠実に書くとイヌヮって感じですね~。

トハ「お兄様に… 言いたいことがあるって」
ムソク「…どうして分かったんです?どうしてイナのことを?」
トハ「後ろにいます」
ムソク「!!!」

ムソクは思わず後ろをキョロキョロと見回した。
やはり誰もいないのを確かめると、彼の心の中に怒りが沸く。

ムソク「イナは私の心に突き刺さった短刀のような子なんです!」
トハ「!」
ムソク「そんな人を持ち出して… からかうんですか?」
トハ「からかってるんじゃありません!鬼神が見聞き出来る人間は、彼らの話を生きている人に伝える義務があります。だから…そうしてるだけなんです」
ムソク「…。」
トハ「お望みなら、お聞かせすることも出来ます」

「…。」ムソクが何か言おうと口を開けた瞬間、慌ただしい足音に二人は驚いて振り返った。
武官たちが大勢走ってくると、梅蘭房へ入って行ったのだ。

ムソク「これで… 私が心配するまでもなさそうだ」
トハ「?!」

「ではこれで」ムソクは硬い表情で、トハの前を立ち去る。

トハ「…。」

ムソク、そして、彼の後をついて行くイナの背中を、トハは見送った。

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梅蘭房に踏み込んだ武官たちは、ヨンウォルの部屋へやって来た。

ヨンウォル「何の真似です?」
武官「パク・スリョンとの取引内容を全て押収せよとの王命だ」
ヨンウォル「…。」

スリョンとの取引を記した書類は、すでにヨンウォル自らの手で焼却済みだった。
ヨンウォルは目を通していた書をゆっくり畳み、立ち上がる。

ヨンウォル「王命なら、協力する他ありませんわ」

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一人歩いていたムソクは、人気のない街角でふと立ち止まった。

ムソク「…。」

彼の前に姿を現したイナは、そっと兄に呼び掛けてみる。「お兄様…」

ムソクはゆっくりと彼女の頬に手を伸ばした。
兄を見上げるイナの無垢な目が、キラキラと光る。
彼の手は、確かに大切な妹の頬を撫でた。

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ムソクは誰も居ない空間に愛する妹を想い、差し伸べた手を見つめる。
本当にそこにいるのか?
いや… そんなはずがない。

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一人佇むムソクの足元に、涼し気な風が吹き抜ける。
彼はその手を固く握りしめた。

ムソク「イナ…」

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ムソクと別れて一人になってからも、トハは曲がり角に身を潜め、梅蘭房の様子を窺っていた。
武官たちが外へ出てくると、いくらかの押収物を手に帰って行く。

今だ!

トハは人目につかない場所を見つけると、塀をよじ登り、梅蘭房の中へと忍び込んだ。
屋内へ足を踏み入れると、トハはサダムのいる部屋を探す。
固く扉の閉ざされた部屋が妙に気になり、彼女はそっと扉の前で聞き耳を立てた。

サダム「?」

中にいたサダムは、微かな気配を感じて振り返る。
扉を開けようとしたトハの腕を、さっと伸びてきた手が掴んだ。

トハ「!」

ヨンウォルだ。
彼女は「シッ」と人差し指を立てると、トハの手を引っ張る。
サダムが扉を開ける寸前に、二人は部屋の前から身を隠した。

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ヨンウォルはトハの手を引き、自分の部屋へと連れて来る。

ヨンウォル「ここに何の用なの?どうしてここに来たの?!」
トハ「…。」

そのとき、部屋の外でサダムの静かな声が聞こえた。「房主、入ります」

ヨンウォル「少し…お待ちください!」

ヨンウォルは咄嗟にトハを家具の後ろに隠す。

ヨンウォル「お入りを」

サダムが中へ入ってくると、トハは隙間からそっと顔を覗かせた。

ヨンウォル「どうなさったのです?」
サダム「官軍が来ていたそうですが、大丈夫ですか?」
ヨンウォル「契約書はもう焼いてありましたし、特に問題はないはずです」

「そうだわ」ヨンウォルはニッコリ微笑む。「道流様に差し上げるものが」

ヨンウォルは入り口の方へ移動すると、脇の棚に置いてある赤い箱を開けた。

サダム「…。」

サダムがヨンウォルの後ろ姿にそっと手をかざす。
振り返ったヨンウォルの顔に、不意にトハの姉ヨナの顔が重なった。

トハ「!!!」

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身を乗り出してしまい、慌てて隠れたトハの気配に、サダムは振り返る。
部屋の奥へと歩いて行くサダムを、ヨンウォルが呼び止めた。

ヨンウォル「道流様!」
サダム「?」
ヨンウォル「そろそろ夜は肌寒くなります。お出掛けの際にお使いください」

彼女が差し出した肩掛を、サダムは受け取った。
「ありがとう、房主」虚ろに礼を言うと、サダムはどこかぼんやりとしたまま部屋を後にする。

扉が閉まると、ヨンウォルは再びトハの手を引き、彼女の顔を覗き込んだ。

ヨンウォル「どうしてここへ来たりしたのよ?」
トハ「…?」
ヨンウォル「どうして…そんなにじっと見るの?」
トハ「私は… あの男に訊くことがあって来ました」

「あなたが話のできるような方じゃないわ」ヨンウォルは冷たくそっぽを向く。

トハ「あの男に姉の行方を聞かなきゃ」
ヨンウォル「?」
トハ「とにかく… あの男に気をつけて。おそばに置かないで、出来ることなら遠ざけてください。痛い目に遭うかもしれません」
ヨンウォル「なぜ…なぜ私を心配するの?」

「ただ…」トハは自分でもよく分からず、視線を逸らした。

トハ「房主が傷つくのが嫌なんです」
ヨンウォル「私はあなたに惨いことをした人間なのよ」
トハ「分かりません!ただ心配で、気掛かりで… だからなんです」
ヨンウォル「…。」
トハ「だから…」
ヨンウォル「私に構わないで!… 早くここを出なさい」

「早く!」ヨンウォルは再びトハの手を掴む。

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ヨンウォルは門のところまでトハを引っ張ってくると、そこでようやく手を放した。

ヨンウォル「早く行きなさい」
トハ「…。」
ヨンウォル「それから、この梅蘭房のどこを探しても、あなたのお姉さんらしき人はいないわ。だから、もう来ては駄目」

「分かったわね?」ヨンウォルはトハの顔を覗き、大きな目を丸く見開く。

トハ「…。」

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悲しそうに見つめるトハに何故か心を引かれたまま、ヨンウォルはなかなか目を離せずにいた。
戸惑いを振り切るように、彼女はトハに背を向ける。

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恵民署では、皆で嘆願書を書いているところだ。
「私の名前も書いてくれ」スリョンを救うために名乗り出る人の声に、周囲も同調する。

そこへ一人の医員がやって来た。「何をしているのだ?」

医女「月光大君からスリョンお嬢様釈放のための嘆願書を頼まれたのです。これまでのスリョンお嬢様の人となりを見れば、決して私的に専売権を利用なさるような方ではありません」

「その通りですよ」周りの人々も口々にそう言った。

医員「皆、何を考えているんだ!」

突然声を荒げた医員に、皆驚いて凍りつく。

医員「殿下はお怒りなのだ。その怒りが恵民署にまで及んでもいいのか?ここに血の雨が降ってもいいと?!」

皆、困って下を向いた。

医員「よく考えることだ」

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皆を威圧したその医員は、ムソクの前で全く別のことを口にした。

医員「私共は嘆願書を書くつもりだったんですが、大君が書くなと…」
ムソク「…。」
医員「領相大監と何かあったのかと… 私共ももどかしい思いです」

陰で話を聞いていた右相ミン・ジョンソは、ひっそりとほくそ笑んだ。
ムソクが立ち去ると、ミン・ジョンソが口を開く。

ミン・ジョンソ「すっかり大君と親しくなっているようで気を揉んでいたが、当分は心配なさそうだ」

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「お嬢様!!!」牢の中でぼんやりしているスリョンを見つけると、会いにやってきたお付きの下女が駆け寄った。

下女「お嬢様はあれほど尽力なさったのに、恵民署では誰もお嬢様を救うために立ち上がろうとしないそうです。どうしましょう、お嬢様!」
スリョン「泣くのはやめなさい。死んだわけでもないのに!」

口ではそう言いながら、スリョンは悔しさにチマの裾を握りしめた。「…。」

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領相を支持する大臣たちが、彼の屋敷を訪れていた。

大臣1「今回の薬剤事件をうまく利用しようと、殿下は虎視眈々と狙っておいでです」
領相「…。」
大臣1「このままでは我々にまで危険が及ぶでしょう」
大臣2「その上、近いうちに大々的な監察が入るそうで」

「…。」領相は何も言わず、黙々と墨を摩る。

大臣1「領相大監!」

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リンの挨拶を受けると、大妃はこらえきれずに咳をした。

大妃「近頃、頻繁に宮廷入りしているのね」
リン「具合がお悪いのですか?」

大妃の咳は続いた。

リン「御祖母媽媽…」
大妃「大丈夫」
リン「御祖母媽媽、気になることがあるのですが」
大妃「あまり具合がよくないわ。今度にしましょう」

「もう帰りなさい」大妃の言葉に、それ以上話を続けることも出来ず、リンは肩を落として大妃殿を後にした。

渡り廊下を歩いてきたリンは、妙な気配にハッと緊張を高めた。
周囲を窺うと、彼はある一点に目を止める。

そこには、真っ黒い衣装に身を包んだ霊… 疱瘡神が、彼をじっと見つめていたのだ。

リン「!」

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座ったままうたた寝していたサンホンは、夢の中で迫り来る大蛇の姿に、ハッと目を覚ました。

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#いつもこの体勢でお休みなんでしょうか…。

夢にしては実にはっきりしていて、彼はとても疲れているのを感じた。

サンホン「…。」

彼はじっとしていられず、立ち上がった。

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誰もいなくなったサンホンの部屋へやって来たリンは、部屋の中を探しまわる。
重ねてある本の中から、彼は無事「夜警軍日誌」を探しだした。

頁をめくると、彼はある挿絵の部分で手を止める。

疱瘡神だ!
言い知れぬ不安に、リンは息を呑んだ。

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宿は食事客で満席だった。
1階へ下りてきたリンは、奥へと進むと、秘密の間へ入ろうと扉に手をかける。
そのとき、扉の向こうでサゴンの声が聞こえ、リンは手を止めた。

サゴン「兄貴、もうやめましょうって!こんなことしちゃいけない人間なんですよ」

装備に護符。サンホンは粛々と準備を整えていた。

サンホン「都に怨霊が溢れたのは、大蛇を治癒するためだったんだ」
サゴン「大蛇?!あ、あのとき捕まえた大蛇ですか?!」

その瞬間、激しい痛みが襲い、サンホンは顔を歪めて胸を押さえた。
押さえたその手に、血が滲んでいる。

サゴンは思わずサンホンの胸元を開いた。
傷口から血が流れ出しているではないか。

サゴン「何てことだ!!!そら、見なさいよ!だから駄目だって言ったんです!」
サンホン「…。」
サゴン「これ以上鬼神に関わったら、兄貴は死んじまうんですよ。頼むから目を覚ましてください!」

サンホンは痛みを堪え、護符を作る筆を動かす。

サゴン「絶対に鬼神にはもう関わらないって、その約束と引き換えに手に入れた命だってこと、忘れたんですか?」
サンホン「…。」
サゴン「下手したら、その場で死んでしまうんですよ!!!」

「もうやめろ」サンホンはそう呟くと、筆を放り出した。

サゴン「…。」

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「兄貴、言うこと聞いてくださいよ」二人は奥の部屋から出て廊下を進む。
角を曲がり、厨房の手前まで出てくると、サンホンはそこで立ち止まった。

リンが立っていたのだ。

サンホン「!」

背を向けていたリンは、静かにサンホンを振り返る。
そこへ入り口を入ってきたトハも、二人を見て足を止めた。

リン「…。」
サンホン「ちょうどお話することがあったんです」

リンは何も言わず、じっとサンホンを見つめた。
先に立って歩くサンホンの姿を追うその目は、とても悲しげだった。

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トハを加え、彼らは鍛冶場に顔を揃える。

リン「まずはその大蛇を始末しなければなりませんね」
サンホン「えぇ。秘蔵庫の上に蔵書閣が建っています。隠された秘蔵庫の入り口を見つけるのが最優先でしょう」
リン「それならもう分かっています」

「私も行きました」トハが付け加えた。

サンホン「それなら、そこに大蛇の像があるのを見たのか?」

トハは黙って首を横に振る。

リン「大蛇の像はありませんでした」
サンホン「秘蔵庫は内部の一番深いところにあるはずです。そこに神弓もあるでしょう。その神弓で大蛇の逆鱗を破壊しなければなりません」

サンホンはじっと俯いているサゴンの肩に手を置いた。

サンホン「だから、今夜私と一緒に…」

サゴンは頑なに顔を背ける。

リン「私がやります」
サンホン「?!」

驚いて見つめるサンホンに、リンはもう一度繰り返した。「私がやりますから」

サンホン「…。」
リン「このことで表舞台に立たないでください」

「お願いです」リンの言葉はどこかとても切実だった。

サンホン「…。」
トハ「私が一緒にやります」
リン「お前が?」
トハ「サダムを阻止するためなら、何でもやるつもりです」

「…。」サンホンは何も言わず、真摯な二人の目を交互に見比べた。

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ムソクの前で、キサン君は愉しげに笑い声をあげた。

キサン君「実に思い通りに進んでいる。余が初めて領相をへし折ってやったのだ!」

「…。」複雑な表情で、ムソクは王を見つめる。

キサン君「これからはもう大臣たちに振り回されたりするものか。思い通りにしてやるのだ。賤しい道流などに頼ることなく、自分自身の力でな」
ムソク「殿下は上手くおやりになるでしょう」

「ところで、殿下…」ムソクは話を切り出そうとした。

ムソク「領相大監の令嬢…」
キサン君「実にいい気分だ!ようやく王になった気がするぞ」

豪快に笑う王の前で、ムソクは口をつぐむしかなかった。「…。」

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さっそく夜の宮廷に忍び込んだリンとトハは、見回りの目を避けながら蔵書閣へと進んだ。

王の元を後にしたムソクは、ハッとして立ち止まる。
向こうへ駆けていくリンとトハの姿が見えたのだ。

「…。」呆れたように溜息をつくと、彼は再び歩き出した。

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リンとトハは周囲に人がいないのを確かめると、手を取り合って地下通路へと続く穴へと飛び込んだ。

#「せぇの!ピョン!」て、ちょっと笑っちゃうよね

リン「大丈夫か?」

建物の陰から様子を窺っていたムソクは、二人が消えた穴の中を覗き込む。

リンたちは少し進んだところで蝋燭に火を灯す。
灯りを頼りに周囲を慎重に見渡すと、二人は突然ぎょっとして声を上げた。「ひゃっ!」

彼らのすぐ後ろに、いつの間にかムソクがいたのだ。

#また笑っちゃったよね♪

ムソク「何をなさっているんです?」
リン「き、君がどうしてここに?」

ムソクは答える代わりに小さく咳払いをすると、トハの手から蝋燭を受け取り、二人の先に立って奥へと歩き出す。

ムソク「宮中にこんな場所があったとは」

3人組は身を寄せ合い、ゆっくり足を進めた。

ムソク「ここに何があるのですか?」
リン「君があれほど否定した鬼神の実体がある」
ムソク「!」
リン「まさに… 大蛇の眠る場所だ」

狭い通路の突き当りにたどり着くと、リンは熟知した様子で隠し扉を開ける。

ムソクも覚悟を決め、彼らの後に続いた。

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祈祷していたサダムがふと目を開けた。

サダム「いかん。ホジョ、早く行くのだ!」

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蔵書閣の奥へとやって来たリンは、わざとらしく咳払いをすると、夜警軍の部屋へと続く扉を開けようとした。

リン「?」

扉は重く、思ったように開かない。

トハ「開かないんですか?」

「なぜ開かないんだ?」リンは苦笑いを浮かべた。「確かにここなのに」

ムソク「お二人共、夢の中でも彷徨っていたのでは?夢で見たのを錯覚しているのではないですか?」
リン「そんなこと言うなよ」
ムソク「大蛇だとか怨霊だとか…。実体があると聞いて、ここまでついて来た私が愚かでした」
トハ「本当なんです!間違いなく、ここに入り口があったんです」
ムソク「やめてください!」
トハ「!」
ムソク「鬼神などこの世に存在しないのです。二人共、そろそろ目を覚ましてください」

リンが扉を開けようと踏ん張っている向こうに、その空間は間違いなく存在した。
こじ開けようとする力に抗うように、壁や棚がガタガタと揺れる。

+-+-+-+

サダムの元へホジョが戻ってきた。

ホジョ「誰も近づけないよう処理しておきました」
サダム「あぁ、そうでいい。よくやった」

325

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「殿下自ら、お嬢様を尋問なさるそうです」部下の報告に、領相は目を丸くした。

領相「何と!主上がスリョンを尋問するというのか!」

いよいよ領相は動揺を隠せなくなっていた。

+-+-+-+

居心地の悪そうなヨンウォルを前に、サダムは悠々と茶器を傾ける。
ふと何か気配を感じ取ると、サダムの視線が動いた。

サダム「ここに茶がもう一人分、必要かと」

「準備しましょう」ヨンウォルは短くそう答え、席を立つ。
そこへ姿を見せたのは、領相だった。

領相「賤しいお前ごときがどうやって私を助けようと言うのか、話してみよ」

#賤しい賤しいって、ホントしつこいよね

領相「早く!」

追い込まれている領相の心境を楽しむかのように、サダムはゆっくりと向かいの席を指した。

サダム「まずはお茶をどうぞ」
領相「今すぐ… 今すぐ話せと言っておろう!」
サダム「高貴なお宅のお嬢様が、ずいぶん長く家を空けておいでですね。私がじきに家に帰して差し上げましょう」
領相「くだらないことを企みおって!お前の首からはねてやる!」

サダムは平然と領相を見上げる。

領相「肝に銘じよ。分かったか!」
サダム「肝に銘じますよ」
領相「…。」

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地上へ戻ってきた探検隊は、幾分ホッとして歩き出した。

ムソク「鬼神だと聞いてついて行った私が… 本当に愚かでした」
リン「また愚痴を…。黙っていろ」
ムソク「自分の口があるのに何も話すなと?」

二人に挟まれ、トハはそろそろうんざりだ。「もうやめてください」

トハ「だからアウンとタウンだって」
リン&ムソク「!!!」

カッとなる二人を見比べ、トハは思わず笑った。
ふと前を見やったリンは、そこでハッとして目を止める。

リン「ん?」

黒い影が向こうへ進んでいくのが見える。
あれは!!!

リンは急いで後を追った。

トハ「どうしたんですか?!」

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リンたちは黒い影… 疱瘡神を追いかけ、宮中を進んだ。
ある建物の前へやって来た3人は、そこで茫然と立ち尽くした。

女官や内官たちが、廊下にうずくまり、苦しんでいたのだ。
腰を屈めたムソクは、手前にいる尚宮の様子を覗き込む。

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#ムソクがこうやってスッと身を屈めるのが、とっても素敵♪

ムソク「!!!」

尚宮の顔には、一面に赤い瘡が出ていた。

ムソク「天然痘…!」

ムソクは立ち上がると、二人を振り返る。「これは…天然痘です」

リン「!…天然痘?!」

世にも恐ろしい事態が、静かな夜の宮廷の中で一気に広がろうとしていた。

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ここでエンディングです。

リンとトハで探検するだけでも面白いんだけど、そこにムソクが加わってトリオになっただけで、一気に楽しくなりますねぇ。

大蛇は外からでも意外とすんなり見られる小窓があるんだけど…。
一度、昼間来たほうが良さそうだよ、君たち。

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