ホテル・デルーナ6話あらすじ&日本語訳~前編
IU(イ・ジウン)、ヨ・ジング主演のtvNドラマ『ホテル・デル・ルナ(ホテル・デルナ/ホテル・デルーナ)』6話のあらすじを、セリフの日本語訳もまじえて紹介していきます。
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最後の客になってあげる… そう言って背を向けたマンウォルの腕を、チャンソンは思わず掴んだ。
マンウォル「何よ?」
チャンソン「…。」
マンウォル「今すぐ逝けって?」
「…。」彼は何も言えず、手を放した。
マンウォル「焦っちゃ駄目。まだその時じゃないわ。私がそう簡単に、素直に逝ってあげると思う?」
チャンソン「?」
マンウォル「気味悪くてうんざりするほど、いびってやるんだから。私が逝くときはきっと清々して笑顔になるはずよ」
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マンウォルは社長室でぼんやりTV画面を眺めていた。
彼女の大好きな番組『死ぬほど食べるヤツら』で、タコの甘辛煮が大盛りになっている。
ソヒが報告に訪れていた。「今日来ていた4位の学生、大変利発でした。自ら研修を申し出ていますので、許可なさいませ」
マンウォル「やりたいんならやらせれば」
ソヒ「それではヒョンジュンに管理を任せることにいたします。ク・チャンソン支配人がいつ辞めても問題のないよう備えましょう」
マンウォル「ク・チャンソンは?帰ったの?」
ソヒ「はい。今夜は半休を取って帰宅なさいました」
TVでは『死ぬほど食べるヤツら』の人気者キム・ジュニョンが、タコの一口食いに挑戦している。
ソヒ「…召し上がりたいですか?研修生に買いに行かせましょうか」
「結構よ」マンウォルはそう言ってテレビの電源を切った。「今日のはあまり食べたくないわね」
立ち上がった彼女の目に入ったのは、アクセサリーを置く小さなトレイだ。
イヤリングがペアで置いてあった。
マンウォル「これ、客室長が見つけたの?」
ソヒ「違いますが」
マンウォル「片方見当たらなかったのに」
「イヤリングを見つけてあげたら、葉っぱ2枚分になりますか?」チャンソンの顔が思い浮かんで、マンウォルは思わず微笑んだ。
マンウォル「(イヤリングを耳に当て)これを見せてあげるには、タコを食べたくならないとね」
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さっそくおめかししたマンウォルは、ホテルの駐車場へ向かった。
電話を掛けたのはサンチェスだ。
サンチェス(電話)「あぁマンウォル。チャンソン?まだ帰ってきてないけど」
マンウォル(電話)「電話に出ないのよ。帰ってきたら、もうすぐ私が糞色の新車で迎えに行くから待っててって」
サンチェス「チャンソンは今日遅くなるかもな」
マンウォル「え?」
サンチェス「彼女が来てたんだ」
「!」駐車場の真ん中で、マンウォルは凍りついた。「何が来たって?」
サンチェス(電話)「アメリカで付き合ってた彼女だよ。チャンソンに会いに家まで来てたんだけど、外で会ってるんだろうな」
庭で電話を受けていたサンチェスは家に入ろうと立ち上がった。
振り返った瞬間、そこに立っていたのはマンウォルだ。「わっ!もう来てたのか?」
マンウォル「ク・チャンソン、彼女がいたの?誰?美人なの?」
サンチェス「あぁ、えーと」
マンウォル「いいわ、言わないで」
サンチェス「?」
マンウォル「なんでそんなこと私に話すの?誰も気になるなんて言ってないわ。私、興味ないもの。じゃあね」
サンチェス「まだ何も言ってないけど」
マンウォル「えぇ、そんなに言いたいなら言ってごらんなさいよ。一応聞くわ」
サンチェス「…。」
マンウォル「その女、美人なの?」
サンチェスがぎゅっと唇を噛み、考えを巡らせる。
マンウォル「美人なのかって」
サンチェス「あぁ、キレイだな。美人だ」
マンウォル「!」
「ふふん」マンウォルは動揺を隠そうと笑ってみせる。「サンチェスってホント… 野暮ね」
マンウォル「サンチェスはなぁ~んにも知らないのよ。バカみたい」
サンチェス「…?」
マンウォルが大きな溜息をついた。「そんなに美人なの?」
サンチェス(よ~く考えて)超美人だよ。頭もいいし、チャンソンとすごくお似合いだ」
マンウォル「…。」
サンチェス「写真見る?探してくるから待ってな」
家に戻るサンチェスの後ろ姿に、マンウォルは拳を握りしめた。「本当に美人だったら… サンチェス、あんたの命はないわ」
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写真の入ったタブレットを手に、サンチェスが戻ってきたときには、庭にマンウォルの姿はなかった。
「チャンソンはミラさんと会ってて遅くなるかなぁ」そう言いながら、タブレットの画面を見て微笑む。
「実に長い時間を経て、縁が繋がったわ」麻姑神がデル・ルナの木を見上げ、つぶやいた。
麻姑神「もうあんな辛い思いをすることなく、しっかり面倒を見てくれるといいけれど」
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ある飲食店の前に、男子高校生たちが群がっていた。「キム・ジュニョン、いつ来るのかな?」
さっきもコンビニから出てきたキム・ジュニョンにサインをせがんでいた学生たちだ。
チャンソンが彼らに声を掛けた。「ここで“死ぬほど食べるヤツラ”の撮影してるのかい?」
学生1「はい。お兄さんもキム・ジュニョンのサインが欲しくてついて来たんですか?」
チャンソン「俺は… ファンが知り合いにいて」
学生1「こいつは彼女がファンで」
学生3「僕はお母さんが」
学生2「僕はお父さん」
学生たち「(視線がチャンソンに)」
チャンソン「俺は…社長♪」
学生たち「あはは」
チャンソン「社長がファンなんだ」
そこへキム・ジュニョン出没情報が入り、彼らは一目散に駆けていった。「お兄さんも早く!」
「…。」手に持ったペンとノートの切れ端を見つめ、チャンソンは背を向ける。
やっぱり無理だ…。
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歩いているうちに、やはり後悔が膨らんできた。「サイン、貰うべきだったかな。喜んだだろうに…」
…と?
目の前にしょんぼり立っているのは、マンウォルではないか。「チャン・マンウォルさん?」
マンウォル「…。」
チャンソン「どうしたんです?この近所に来てるの知ってたんですか?」
マンウォル「…聞いたわ。会ったの?」
チャンソン「えぇ。一応」
マンウォル「嬉しかったでしょうね。どうだったの?」
チャンソン「思ったよりほっそりしてましたよ。顔も小さいし、肌もきれいで」
マンウォル「(げんなり)」
チャンソン「見ればわかりますよ。まだ居るはずですから。今行けば会えますよ」
マンウォル「結構よ!なんで私が?!」
チャンソン「?」
※一応解説。チャンソンはキム・ジュニョンのことを、マンウォルはチャンソンの彼女のことを話してます。アンジャッシュのあれです。
マンウォル「私はタコを食べに行くところなんだから」
チャンソン「タコ?そんなオシャレしてタコを食べに?」
マンウォル「そうよ!ただひとめにタコのために来たんだから!」
なぜかいつになく苛立っているマンウォルの顔を、チャンソンは覗き込んだ。
あれ…?
チャンソン「僕が見つけたイヤリングですね」
マンウォル「(誤魔化して)あぁ、これはタコを食べに行くときに付けようと思って買ったイヤリングなの」
チャンソン「…。」
マンウォル「せっかく見つかったからタコを食べに来たのよ。あんたが見つけたんだから、一緒に来てもらわないと」
チャンソン「単にタコが食べたいんでしょ。毎回おかしな理由をつけないでくださいよ」
マンウォル「何?気味悪い?うんざりする?!」
「…。」マンウォルの八つ当たりを受け流し、チャンソンは時計を見た。「この時間にタコを食べようと思ったら、鷺梁津の方まで行かないといけませんね」
チャンソン「いや、タコと言えば西海岸だ。海まで行きましょうか?」
「!」、マンウォルは急に照れくさくなって目をそらした。「まぁ、別にいいけど」
チャンソン「(うなずく)」
マンウォル「ついでに日の出も見て」
チャンソン「西の海に日が昇るかどうかはわかりませんが、行ってみましょう」
マンウォル「…そうね。あんたの好きな糞色の新車でタコを食べに行きましょ、ク・チャンソン」
マンウォルはようやく落ち着いて歩きだした。
チャンソン「ところで、ここまで来ておいて本当にキム・ジュニョンのこと見に行かなくていいんですか?」
マンウォル「キム・ジュニョン?どうして?」
チャンソン「キム・ジュニョンを見に来たんじゃないんですか?向こうで撮影してましたけど」
「何で今頃言うのよ!!!」マンウォルは駆け出した。
※原語では、“会う”も“見る”も同じ単語が使われています。だから、「恋人に会う」「キム・ジュニョンを見る(見かける)」と目的語を入れないと、会話がすれ違ってしまうわけですね。
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飲食店の厨房の隅に、空の食器が山のように積み上げられている。
さっきまでここで撮影していたキム・ジュニョンが平らげたヘジャングクの残骸だ。
一足遅れて見逃したマンウォルの失望は尋常ではなかった。
チャンソン「ここがキム・ジュニョンの座ったテーブルだそうですから。ここでヘジャングクを食べることで良しとしましょうよ。温かいうちに」
マンウォル「じゃああんたが代わりに“一口食い”やってみせてよ。カクテキ乗せてツルッと」
チャンソン「僕を過大評価しないでください。ゆっくり美味しくいただきます」
一口すすり、チャンソンはふむと唸る。「キム・ジュニョンが来たんだから、この店は流行るでしょうね」
マンウォル「ここはキム・ジュニョンなしでも上手くいく店よ」
チャンソン「?」
マンウォルが指したのは、厨房で女店主に背負われている赤ん坊だ。「あの子のおかげ」
チャンソン「あの赤ちゃんがどうして?」
マンウォル「かなりの福の神よ。前世で徳を積んだから、とんでもない福を持って生まれたの。ああいう子の生まれた家は火のように栄えるわ」
チャンソン「善いことをたくさんすれば、福の神に生まれ変わるのか…。反対の場合は?」
マンウォル「賤しく生まれるか、犬や豚に生まれるか」
チャンソン「(驚愕)それなら、チャン・マンウォルさんが生まれ変わったら…!」
マンウォル「?」
チャンソン「…。」
マンウォル「何?あんた今、“こいつ間違いなく犬や豚だろうな”って考えてたでしょ」
チャンソン「間違いないとは思いませんが、心配です。確率は高いから」
マンウォル「もう千年以上ホテルを管理して罪は全部償ってるわよ!」
チャンソン「だからってお客様にすごく親切にしてるってわけじゃありませんから」
マンウォル「これ以上どう親切にしろって言うのよ?」
チャンソン「面倒くさければ知らんぷりして、金持ちなら巻き上げて酒を買って車を買って!」
マンウォル「…。」
チャンソン「すごく心配ですよ」
マンウォル「あんたがそんなことまで気にする必要ないわ」
チャンソン「いいえ。これからは僕が気にしないと。あなたが犬や豚に生まれ変わるのは嫌ですから」
マンウォル「もう!あんたに関係ないわ!」
チャンソン「豚に生まれ変わって、(グツグツ煮える目の前の器を指し)クッパになったあなたと出会いたくありません」
マンウォル「…。」
チャンソン「まっすぐ生きてくださいよ」
「もういい」マンウォルが乱暴に匙を置いた。「あんたのせいで食欲なくなったわ」
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しばらく食べるうちに、チャンソンはさっき地下鉄で会った霊のことを思いだした。
チャンソン「ホテルに来るように言っておいたんですが、あなたが来たついでにご案内してください。親切に」
マンウォル「ク・チャンソン」
チャンソン「?」
マンウォル「あんたさ、そうやって無闇に知らない霊に声を掛けて、親しくなって。そういうのやめなさい。悪霊かもしれないんだから」
「危ないわ」マンウォルはそう付け足した。
チャンソン「長い間彷徨っていると、みんな悪霊になるんですか?」
マンウォル「彷徨っている間に人間に危害を加えれば、悪霊になる。そういう悪霊は、生きている人間だけじゃなく、他の霊まで全部平らげるわ。死神に捕まれば、犬畜生に生まれ変わるどころか、転生もできずにそのまま消滅よ」
チャンソン「…。」
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空っぽになってしまった13号室を、死神が訪れていた。「この部屋のお客がホテルを出たこと、なぜ報告しなかった?」
ソンビ「支配人の失態で脱走したのです。ホテルの外へ出てしまった以上、我々にはどうしようもありません」
死神「人間への恨み憎しみに満ちた霊魂だ。万が一、外で問題を起こせば、ホテルの責任を問おう」
死神が部屋を立ち去ると、ソヒが大きな溜息をついた。「困ったことになりましたね」
ソンビ「死神が連れ戻すでしょう」
ソヒ「捕まる前に問題を起こして悪霊になれば、大変です。気の毒な方ですのに…。無事お戻りになってほしいですわ」
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あるオフィス。
一人で夜更けまで残業していた男性社員は、キーボードを叩く手をふと止めた。
モニターの隅に通知が上がったのだ。
『ホットな新作登場。お楽しみください』。動画投稿サイト『♥PINKHONG』からだ。
「ちょっと休憩にするか」サイトを開いてみると、赤いタイトル文字が目に入る。
『殺してあげます♥』
※敢えて『殺してあげる』と直訳しましたが、夢中にさせるといった意味もあります。
動画にはホテルに女性が一人でいるところが映し出されている。
しばらく眺めていると…
突然カメラの前でアップになった女性が恐ろしい形相に変貌し… 男性めがけて両手を伸ばしてきた。
男性「わぁあああ!」
その後…
静かになったオフィスの床には、目が真っ赤に潰れた男性が転がっていた。
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キム・ユナの心待ちにしているヒョンジュンが学校へ現れた。
「君が来てもいいって、社長が許可してくださったんだ」音楽室でヒョンジュンが告げる。
ユナ「じゃあ今から行こう」
ヒョンジュン「今?学校は?」
ユナ「さっき見たでしょ」
ユナはチョン・スジョンの霊が憑依しているという噂で、クラスメイトの標的になっていたのだ。
ユナ「まともに通えそうにないわ。辞めたって構わない」
ヒョンジュン「友だちに意地悪されるのが辛いんだな」
ユナ「ちょっと鬱陶しいけど、大丈夫。本物のキム・ユナは悪い子だったから。みんなに嫌われるの、密かに楽しんでるわ」
ヒョンジュンは黙って微笑んだ。
ユナ「単にね、学校が楽しくないのよ」
ヒョンジュン「どうして?僕はすごく楽しかったけど。勉強して、運動して。僕がなかなか帰って来ないから、使用人が毎日迎えに来てたんだ」
※행랑아범=門の両脇の家に住んでいる下男
ユナ「使用人?」
ヒョンジュン「うちの門屋に住んでたおじさんだよ。妹のお世話係の恋人だったんだけど、父さんの運転手と毎日喧嘩してた。三角関係だったんだ」
ユナ「下男に世話係に運転手?お坊ちゃまだったのね」
ヒョンジュン「…。」
ユナ「チッ、金の匙ね」
※金の匙=金持ちの家に生まれること
ヒョンジュン「いや、うちは銀の匙だったよ。うちにある匙は全部銀だった」
#寒い…。このシーン全体寒いが…
ユナ「金持ちの家に生まれたのに、薄命で残念ね」
ヒョンジュン「…そうだね。悔いが残ったよ。僕が通いたくても通えなかった学校、君は頑張って通いなよ」
「最近の学校っていいな」こざっぱりした音楽室を、ヒョンジュンは見渡した。「制服も可愛いし、こんなピアノだってある」
ヒョンジュン「うちにあったのよりいいピアノだな(ピアノをポロン)」
「お坊ちゃま、ピアノも弾くのね」ユナはそう言ってピアノの椅子に腰掛けた。
ユナ「弾いてみてよ。私は弾けないけど、聴いてあげる」
そこへドンと扉が開き、いじめっ子グループが現れた。「あんた、誰と喋ってんの?」
ユナ「何のことよ。私、ピアノ弾いてたんだから」
クラスメイト1「へぇ~。じゃあ弾いてみなよ」
クラスメイト2「そうよ、キム・ユナ。あんた、ピアノ上手でしょ」
キム・ユナはピアノが上手でも、中身のチョン・スジョンは違う。
ピンチだ。
困っているところに、ヒョンジュンが後ろからそっと手を添え、ピアノを奏でた。
おお~きなのっぽのふるどけい~
おじい~さんの~とけい~
「弾けるじゃない」クラスメイトたちはつまらなそうに部屋を出て行った。
ユナ「お坊ちゃま、上手ね。覚えてるじゃない」
ヒョンジュン「そうだな。忘れてなかった」
おじい~さんの~うまれたあとに~
「お兄様!」愛する妹の姿が思い浮かぶ。
大きくなっても兄の自転車の後ろに乗ると、そう約束したのだ。
曲が終わると同時に、ユナの手の甲に涙が一滴ボトンと落ちる。
ユナ「!」
驚いて振り返ると、そこにもうヒョンジュンの姿はなかった。
#皆さんこの二人の青春パート、普通に見られます?素直に見られる人が羨ましい。
+–+-+-
ソンビとソヒが庭園の木の様子を見に来ていた。
ソンビ「4位の管理は若いヒョンジュンより大人の私が受け持つべきではなかろうか」
ソヒ「キム儒生様に孔子だ孟子だと言われるより、新しい教育を少しでも受けたヒョンジュンの方がずっと話が通じるでしょう」
ソンビ「しかし、ヒョンジュンはひそかに3位派ではないか」
ソヒ「心情的にはク支配人と親しくしていますが、あの子も果たすべき思いがあるのです。ホテルが無くなるかもしれないとわかっているのですから、ク支配人の肩を持ちはしないでしょう」
ソンビ「確かに、ヒョンジュンもその日まではホテルに居座らねば」
ソヒ「葉が出た後は、木に変化がなくて幸いですわ」
そのとき、木の葉っぱが一斉に揺れ、サワサワと音を立てる。「?」
ソヒ「どうしたんでしょう?」
ソンビ「社長が腹を立てているんだろう」
ソヒ「今、ク支配人と一緒ですが」
ソンビ「3位がまた火をつけたんだろう。ぼうぼうと燃えて葉っぱが落ちてしまえばいいが」
+-+-+-+
なぜチャンソンがマンウォルを怒らせているのか。
必要な分だけ残し、車を全て処分すると言いだしたのだ。
車に乗るのはマンウォルだけなのに、そもそもこんなに大きな駐車場も無駄だ。
3台だけ選んで車庫へ移し、この広いスペースはお客様のために使うと言われ、マンウォルはキレた。「あんた何なの?」
マンウォル「何で車を売らなきゃいけないのよ!」
チャンソン「財政難だからですよ」
マンウォル「!」
チャンソン「このままでは破産です」
チャンソンは自身の執務室でマンウォルに帳簿を突きつけた。「現在の残高では来月のクレジット代金も払えません」
マンウォル「白頭山の絵は?」
チャンソン「売れません。思ったより人気が出ませんね」
マンウォル「キム・ユナの両親から貰った金塊は?」
チャンソン「あれで車を買ったじゃないですか。車を!」
マンウォル「ブラックカードは?」
チャンソン「返しましたよ。結婚式を口実に買い集めた品物も、あなたが精算してください」
マンウォル「あんた、どうかしてるわ!なんで返すのよ?!」
チャンソン「あなたを犬や豚にするわけにはいきませんから!」
マンウォル「!!!」
#このマンウォル、めちゃくちゃ可愛くないですか?!子どもが大人に叱られてるみたい。
チャンソン「これ以上、人から金を巻き上げることには協力しません。善良に生き、節約してください」
マンウォル「(苦笑)ねぇ、ク・チャンソン。そんなことしなくていいって。何?犬や豚?私は鶏だっていいのよ。鶏カルグッスに生まれ変わって、あんたと再会したら、“私、キムチと一緒に食べたらもっと美味しいわよ~”、そうやって挨拶してあげる」
チャンソン「…。」
「本当よ」マンウォルは目を丸くしてそう付け足した。
チャンソン「車を処分して、財政難をすべて解決しなければ、来月には鶏カルグッスを食べるお金もなくなるでしょうね」
マンウォル「!」
「何を…」マンウォルを睨みつけ、チャンソンは部屋を出て行った。
マンウォル「私、また貧乏になるの?貧乏生活は嫌よ…!ク・チャンソン!嘘なんでしょ!脅かしてるだけでしょ!」
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財政対策について、チャンソンは直ちに従業員たちに理解を求めた。
ソンビ「社長が常に贅沢暮らしだったわけではないのだ」
ヒョンジュン「僕が入った頃はすごく大変だったんです」
ソヒ「あのときは本当にそうでした。戦争中で人間の管理人もおらず、社長は随分苦労したんです」
戦争で荒れ果てた街なかで、彼らは肩を寄せ合って凌いだ。
多少の英語が話せるヒョンジュンは、米兵から食料がもらえるだろうと、採用されたのだった。
チャンソン「物が無ければ無いなりに、キムチやマッコリでちゃんと生き延びたんですね。もっとバッサリ切り詰めても良さそうです」
ヒョンジュン「そんなことをしたら、社長に恨まれますよ。追い出されるかも…」
そう言いかけたヒョンジュンを、ソンビがさっと制する。
追い出されるなら願ったり叶ったりだ。
ソンビ「よくやっているではないか。ク支配人は忠臣だ」
ヒョンジュン「…。」
チャンソン「現実的な財政状況は私が対応できますが、ホテルの状況まで困窮することもあるのでしょうか」
ソンビ「戦時下は生存者より死者の方が多いくらいだったのに、遺恨のない者などどこにいようか。あのときはあの世の門も大きく開かれていて、ここへ立ち寄る人も稀だった」
ソヒ「辛い時期を共に耐え抜いたんです。キム儒生様も苦労なさいました」
ソンビ「一番苦労したのは客室長だ」
彼はそうやって苦労を慰め合う。
ソンビ「今後どんなお客が来ようと、我らの思いが果たせるその日まで、ホテルをしっかり守り抜こう」
3人の結束に微塵も入れずに終わるチャンソンであった。「…。」
+-+-+-+
ここで一旦区切ります。
目の保養になったからまあいいんですけど… キスしておいて、その後、何事もなかったように普通~~にしてるの、やっぱり納得いかん。
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