ホテル・デルーナ5話あらすじ&日本語訳~前編
IU(イ・ジウン)、ヨ・ジング主演のtvNドラマ『ホテル・デル・ルナ(ホテル・デルナ/ホテル・デルーナ)』5話のあらすじを、セリフの日本語訳もまじえて紹介していきます^^
悪霊から逃げろ
ゆっくりと体を離し、目を開ける頃には、チャンソンは幾分落ち着きを取り戻していた。
「ウシシシ」彼の背後で、霊が唸る声が聞こえる。
マンウォル「この部屋のお客様よ。あんたが見たら気が触れる」
チャンソン「…!」
マンウォル「絶対に振り返らないで、扉が開いたらすぐ走って出なさい」
チャンソンが固くうなずく。
マンウォルは霊の様子を窺い、念力で出口の扉を開けた。「行って!」
チャンソンが駆け出すと同時に、霊が棚から飛び出す。
危機一髪のところで彼は部屋を抜け出し、扉を後ろ手で閉めた。
マンウォル「お客様」
悪霊「!」
マンウォル「お客様は決してその扉を開けて外に出ることは出来ません」
「お騒がせして申し訳ありませんでした」マンウォルは小さく頭を下げる。「戻ってゆっくりお休みくださいませ」
酷い形相で霊が彼女に近づいてくる。マンウォルはうんざりした表情を浮かべると、念力で霊を壁に張りつけた。
マンウォル「お香のせいで鬼気が溢れたんですね」
悪霊「うううっ!」
マンウォル「これだけ長く棚の中に閉じ込められていても、人間を見るとまだそんなに興奮するものかしら…。外へ出て当たり散らしたい?」
悪霊「…。」
マンウォル「お客様なので、無理やり閉じ込めるつもりはありません。おとなしくお戻りくださいな」
霊は諦め、素直に棚の中へ戻った。
棚の扉を閉め、マンウォルが背を向けたそのとき…
「ク・チャンソン」
マンウォル「!」
迂闊だった。
助けに来たとき彼に呼びかけたのを、霊が覚えていたのだ。
「?」マンウォルが驚くのを見て、悪霊の口角が高く釣り上がる。「…ク・チャンソン」
部屋を出て、一心不乱に走っていたチャンソンは、ふいに立ち止まった。
「ク・チャンソン…!」彼を呼ぶ声が聞こえたのだ。
チャンソン「チャン・マンウォルさん?」
+-+-+-+
マンウォルは思わず笑った。「ふざけた真似はおやめなさいな」
マンウォル「ク・チャンソンはとんでもないビビリなんです。どんなに呼んだところで、戻っては来ませんよ」
そのとき…
マンウォルの背後で、入り口の扉が開いた。
マンウォル「ク・チャンソン?!」
「チャン・マンウォルさん!」チャンソンが全速力で駆けてきて、驚くマンウォルを覆うように抱きかかえる。
ジャンプした悪霊が二人を掠め、開いた扉から脱走した。
+-+-+-+
マンウォルをキツく抱きしめている彼は、小刻みに震えていた、
「…。」しばらく経ってから、マンウォルが口を開く。「ク・チャンソン、あれはもう居なくなったわ。離して大丈夫」
「…?」ようやく力を抜いたチャンソンは、フラフラと体を離した。
マンウォル「あんた… 見たわね」
チャンソン「(うなずく)チラッと」
「!」マンウォルは目を大きく見開き、彼の顔を覗き込む。「気が触れちゃった?」
「そうはなってない」チャンソンが即座に答える。
マンウォル「!!!」
おかしい…。
チャンソン「ビックリしすぎて、落ち着かないだけだ」
マンウォル「!!!」
チャンソン「君は?怪我はないか?」
「大丈夫か?チャン・マンウォル?」チャンソンが彼女の肩を掴んだ。
マンウォル「… ク・チャンソン?」
チャンソン「…。」
と、次の瞬間。「驚きました?」チャンソンがイタズラっ子のように笑う。
マンウォル「!」
チャンソン「僕、なんともありませんよ。無傷です」
マンウォル「もう!多少は気が触れてるわね」
チャンソン「ちょっとふざけただけですよ」
開いたままの扉を、マンウォルが振り返る。「…。」
チャンソン「そんなにビックリしたんですか?ってことは… さっきの霊を見たら気が触れるって、本当だったんですか?脅かそうとしただけだと思ったのに」
マンウォル「えぇ、本当よ」
チャンソン「!」
マンウォル「チラッと見ただけだから少しで済んだけど、まともに見てたら完全に気が触れてたわ」
「そうなんですか?!」チャンソンは今更ながらマンウォルの後ろに身を隠した。「あのお客様、もういませんよね?」
マンウォル「逃げたわよ」
チャンソン「なんとかしてくれそうだったのに、止められなかったんですか?!」
マンウォル「えぇ、どこかのビビリが突然勇気を出して扉をガバっと開けるとは思わなかったからね」
「チッ」マンウォルは恨めしそうにチャンソンを睨み、歩きだした。
#背を向けて歩きだしたマンウォル、だんだん表情が緩んできて、フレームアウトする寸前はちょっと笑顔になってる^^
チャンソン「(呆然)ビビリ?!」
チャンソンは急いで香炉の乗ったトレイを回収し、彼女を追いかけた。「一緒に行きましょうよ」
チャンソン「ビビリって僕のこと言ってるんですか?」
マンウォル「他に誰かいる?バカね」
チャンソン「バ、バカ?!そんなこと言われたの生まれて初めてですよ!僕はハーバードのMBAを修了した世界的…」
マンウォル「うるさい!」
チャンソン「言葉の暴力です!訂正してください」
マンウォル「訂正」
チャンソン「ふざけてるんですか?」
マンウォル「あ、お化け!」
チャンソン「わぁ!ど、どこ?!」
マンウォル「やっぱりビビりね」
4位召喚?!
その頃、フロントマンのヒョンジュンは、“4位”のキム・ユナを支配人として迎えるため、彼女の高校へ来ていた。
チャンソンは今頃、13号室のお客様のせいで気が触れているだろう。
階段から落ちそうになった彼女を抱きとめたヒョンジュンに、ユナは首をかしげる。「どうやって掴まえたの?」
ユナ「霊は人を掴めないのに」
ヒョンジュン「僕は並の霊じゃないからね」
ユナが通学カバンから十字架を出した。「数珠もお守りも持ってるわ。さっさと消えなさい」
ヒョンジュン「僕はこんな宗教パワーで退治できる霊じゃない。所属も職業もあって、堂々とこの世に留まれる霊なんだ」
ユナ「変なの。霊に職業なんて」
ヒョンジュン「僕はホテルマンなんだぞ。デル・ルナから来た」
ユナ「デル・ルナ?」
ヒョンジュン「うちの社長と支配人、知ってるだろ?君がその体で生きられるように、助けてくださったじゃないか」
ユナ「それで?またこの体から出ろって?」
ヒョンジュン「ううん、君はとても大事な人間だ。僕らの大切な希望」
ヒョンジュンが指を4本広げてみせる。「4位なんだからさ」
ユナ「4位?」
ヒョンジュン「支配人候補、4位」
ユナ「…。」
ヒョンジュン「3位に問題が生じて、4位の君を迎えに来たんだ」
ユナ「何のことだかわからないけど、とにかく私が必要だってことね」
ヒョンジュン「うん」
ヒョンジュンの携帯がメッセージの着信を知らせた。「?」
ユナ「霊なのに携帯持ってるの??」
ヒョンジュン「もちろん。仕事してるんだから、電話番号だってあるよ。堂々とこの世に居るんだから。君の学校、Wi-Fi繋がらないなぁ」
ようやく読み込んだメッセージは…
「3位は無事だ。4位は保留だ」
ソンビからだ。
ヒョンジュンの顔が思わずほころんだ。
ユナ「私、必要ないってこと?」
ヒョンジュン「今すぐはね。だけど、また迎えに来るかも。だから、しっかり学校行っとけよ」
ヒョンジュンはにっこり笑って背を向けた。
「ちょっと!」ユナが彼を呼び止め、自分の携帯を出す。「番号教えて。霊とトークしたいの」
ヒョンジュン「人とトークしたことないんだけど」
ユナ「嫌なの?駄目?」
ヒョンジュン「…。」
「もういい」ユナはぷいと背を向け、足早に歩きだした。
しばらくすると…
ポロン
なぜかヒョンジュンからメッセージが届いた。「OK^^」
#急に甘酸っぱい青春ドラマになって調子狂う、、、
ユナ「ホテル・デル・ルナの支配人?面白そうね」
+-+-+-+
ホテルへ戻ったヒョンジュンは、思わずチャンソンに抱きついた。
ヒョンジュン「無傷な支配人に再会できて、すご~く嬉しいです」
「すごく喜んでくださって… 光栄です」チャンソンは戸惑いを隠せない。
さっきソンビにも固く手を握られたのだ。
チャンソン「どこか皆、僕があの部屋で気が触れるのを予想していたようですが」
ヒョンジュン「いやいや、無事だったんだから、いいじゃないですか。あはは、あはは」
ひどい誤魔化し笑いに、チャンソンは愕然とした。「…。」
+-+-+-+
ソンビとソヒがマンウォルの元を訪れていた。
3位追放のため、新たな方法を提案しに来たのだ。
地縛霊のいる廃屋へ送り、監禁する作戦。
強力な怨霊を利用して急死させる作戦。
「やめておきなさい」マンウォルは即座に却下した。
マンウォル「ク・チャンソンは出ていかない。私のそばに置くわ」
ソンビ「木がこのまま変化し続けたらどうするのですか」
マンウォル「麻姑神がわざと送り込んだ人間です。追い出したほうが」
「ふっ」マンウォルは冷たく笑う。「神がわざと送り込んだのなら、追い出したって仕方ないわ」
ソンビ「花が咲いたら?」
マンウォル「花?咲かせておけばいいのよ。美しく咲き乱れて、自ら三途の川を渡る日が来るかも。見ものだわ」
マンウォルが退室すると、ソンビたちの間に重い空気が流れた。
ソンビ「心変わりして、あの世へ行く決心がついたんだろうか」
ソヒ「“だからって本当に咲くわけない”とタカをくくってるように思えますが」
ソンビ「それなら最初から13号室へ行かせたりしないだろう。気まぐれめ…」
ソヒ「ク・チャンソン支配人が鈍感で幸いでしたわ。私たちがわざと行かせたとわかったら、どんなに気まずいか」
+-+-+-+
チャンソンは決して鈍感ではない。
「わざと僕をあの部屋に行かせたんでしょう?」さっそく彼はマンウォルに詰め寄っていた。
チャンソン「死ぬなり、気が触れるなりすればいいって」
マンウォル「バカではないわね。そのとおりよ。あんたが無事出てきて、みんなガッカリしてるわ」
「わぁ」チャンソンは怒りに声を震わせる。「よくもそんなことを」
チャンソン「僕はみんなのことを同僚だと思って、仲良くなろうとしていたのに」
マンウォルは興味もなさそうな様子でひたすら宝石を磨いている。「それで?社長に申し立てに来たの?」
マンウォル「みんなを叱ってくれって?」
チャンソン「あなたもグルなのに何を申し立てるんですか」
「…。」マンウォルがようやく顔をあげる。「あんた、全部わかってるくせに、いつもそうやって訊くのね」
マンウォル「ホント変な子」
「あら?どこ行ったのかしら」マンウォルがテーブルの周りをキョロキョロとする。
マンウォル「ねぇク・チャンソン。ネックレスが片方ないの。そのへんに落ちてない?見てよ」
「今…!」抗議しようとして諦めたチャンソンは、足元に落ちているネックレスを発見し… そっと物陰に蹴飛ばした。
マンウォル「我慢してよ。みんな死人なのに、あんただけ生きてるから羨ましいのよ」
チャンソン「僕はバカじゃありませんよ。本当の理由を教えてください」
マンウォル「あんたが来て、木の様子が変わったでしょ。怖いのよ。逝く時が来るんじゃないかって」
チャンソン「…。」
チャンソン「あなたはどうして助けたんです?放っておけば気が触れたでしょうに」
マンウォル「そうしようと思ったけど、葉っぱが1枚気になって」
チャンソン「葉っぱ?」
チャンソンはポケットにしまっていた葉を取り出した。
うたた寝をしていたとき、肩に落ちたものだ。「これですか?」
マンウォル「うん。ちょうどそれ1枚分だけ、あんたが気にかかったの」
チャンソン「!… ということは」
「僕、これくらいは心を掴んだってことですか?!」チャンソンは嬉しそうに葉を掲げる。
マンウォル「またわかってて訊く!ハーバードではそうやって教えてるわけ?」
チャンソン「質問を投げて答えを導き出し、真理を追求する。ソクラテスの問答法です」
マンウォル「…。」
チャンソン「ハーバードでよく受けていた講義方式ですよ」
マンウォル「ここはハーバードの講義室じゃないわよ!さっさとネックレス探しなさい」
チャンソン「ネックレスを見つけたら、葉っぱ2枚分に増えますか?」
マンウォル「もういいわ。探しなさんな。見つけたらぶっ殺すわよ」
チャンソン「ぶっ殺すと言いながら殺すつもりはないし、探すなと言いながら探してほしいんでしょう?」
マンウォル「…。」
チャンソン「心もひねくれて、言葉はもっとひねくれて。長く霊でいるとみんなそうなるんですか?」
マンウォル「違うわ。生まれつきよ。もともとこうだったんだから。夢で見てないのね」
「いい人でしたけど?」チャンソンは肩をすくめた。「親切だし」
マンウォル「私が?ふははは」
チャンソン「えぇ。誠心誠意尽くす人でしたよ。その男性の名前は… ヨヌでしょう?」
「!」マンウォルの目が急速に悲しみを帯びる。「ヨヌのことも見たのね」
チャンソン「… えぇ」
救出されたヨヌに駆け寄り、抱きついた彼女の姿が思い出される。
チャンソン「あなたがすごく愛おしげに呼んでいたので、夢から覚めてもその名前が心に残っていたんです」
マンウォル「何?今度は自分がヨヌじゃないかと思った?」
チャンソン「そうかもしれないと少し思ったのは確かですが、違うでしょうね」
マンウォル「ヨヌは… 世界で一番私を愛してくれた人よ。ク・チャンソン、私のこと愛してるの?」
「…。」自分を見上げる彼女の悲しげな目を、チャンソンはハッとしたように見つめ返した。
長い沈黙が流れる。
チャンソン「…違うのは確かですね」
「行って」マンウォルは力なく立ち上がり、隣の寝室へ消えた。
チャンソン「…。」
この木で家を建ててやる
千年の過去。
「マンウォル」呼びかけられ、彼女は木の下で微笑んだ。
近づいてきたのはヨヌだ。
ヨヌ「お前の好きなこの木で、城で見たのよりデカイ家を作る。お前にやるよ」
マンウォル「この木で家を作ってくれるって?結構よ。あんたと家建てて暮らすつもりはないわ」
そう言いながらも、マンウォルは爽やかに笑った。
ヨヌ「お前だって年を取るのに、いつまでも放浪するわけにはいかないだろ。婆さんになったお前を天幕で寝かせるわけにはいかないよ」
マンウォル「いつ捕まって死んでも仕方ない人生よ。お婆さんになるまで生きられるなんて思ってないわ」
ヨヌ「お婆さんまで生きられるよ。占いのおじさんに、俺、この木と同じくらい生命線が長いって言われたんだ。100年は生きるって。それをお前にやるよ」
マンウォル「私に全部あげて、あんた死ぬつもり?」
「そうだな」ヨヌは少し考えを巡らせる。「いいさ。俺はお前のためなら死んだって構わない。全部やるよ」
二人は顔を見合わせ、笑った…。
+-+-+-+
「俺の寿命をやるよ」…そう言って優しく笑っていたヨヌ。
これだけ時を経ても、マンウォルの悲しみは深くなるばかりで、彼女は今日も彼を思って頬を濡らした。
マンウォル「…。」
+-+-+-+
まだ3分の1地点ですが、ここで区切ります。
『本日の霊』のエピソードが無駄に長いので、後半ギュギュッとまとめますね。
最初の方で、チャンソンがイタズラでタメ口を使うシーンがありました。
ここはもしかしたら夢で見た誰かのフリをしたのかもしれません。
このときのマンウォルの呼称を「君」と訳したのですが、↑の回想でヨヌが彼女を呼ぶ「お前」と原語では同じです。
キャラに応じて訳し分けました。
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