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空から降る一億の星(韓国版)あらすじ&日本語訳 10話後編

   

ソ・イングク、チョン・ソミン、パク・ソンウン主演、tvN韓国ドラマ【空から降る一億の星】、10話の後半、詳細なセリフの日本語訳を交えながら、あらすじを紹介していきます。

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「キム・ムヨン!キム・ムヨン!」同じ夢にうなされていたムヨンは、今回もジンガンの声で現実へ呼び戻された。

ムヨン「!」

いつもと違うのは、目の前に本物のジンガンがいたことだ。
眠っている間に、徹夜仕事を終えたジンガンが家へ来ていたのだった。
あらかじめムヨンが教えたとおり、菊の鉢の下にあった鍵で中へ入ったのだ。

彼女の姿を認めた瞬間、ムヨンは彼女にしがみついた。

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ほとんど空っぽの冷蔵庫から、ジンガンは水のボトルを取り出した。「コップはどこ?」

ムヨン「ない。そのままくれよ」

「どんな夢?」ムヨンが水を一口飲むのを待ち、ジンガンが尋ねる。「悪い夢だったの?」

ムヨン「父さんが死ぬ夢」
ジンガン「お父さんが?」
ムヨン「うん。銃で殺される」
ジンガン「!」
ムヨン「もう5回同じ夢なんだ」
ジンガン「同じ夢が続いてるの?」
ムヨン「内容は同じなんだけど、だんだん鮮明になってる。記憶が鮮明になるみたいに」
ジンガン「どんな夢?」

「最初はいいんだ。すごく幸せで」ムヨンはそう言って微笑む。

ムヨン「夢の中の俺は4歳?5歳かな。森の中、おもちゃで遊んでる。兄弟(※)と一緒に遊んでるみたいだ。家に帰ったら、父さんがいて。嬉しくて父さんのところに行こうとするんだけど、ヤカンの音がして、お湯が沸いてる。それから、銃。湯気の向こうに銃が見える」

※동생(年下の弟か妹)=性別はわかりません。自分より年下の弟か妹を指しています。

ジンガン「銃?」
ムヨン「うん。父さんを殺そうとしてる。そこから完全に悪夢だ。すごく怖くて。顔は見えないけど、銃はハッキリ見える。今にも父さんを撃ちそうで。父さん!って叫ぼうとするんだけど…」

その瞬間、銃口がバン!と鮮やかな火を噴くのだ。

ムヨン「撃たれた父さんが倒れる」
ジンガン「!」
ムヨン「夢はここまでなんだけど、目が開けられないんだ。押さえつけられたみたいに。そんなときお前の声が聴こえる」
ジンガン「私の声?」
ムヨン「うん。キム・ムヨン!さっきみたいに俺を呼ぶんだ」
ジンガン「本当?!」
ムヨン「うん。だからさっきも夢かと思った。けど、目を開けたら本当にお前がいて」
ジンガン「初めて見たのはいつ?」
ムヨン「交通事故に遭ったとき。そのときもお前の声が聴こえた」
ジンガン「どうして私の声だってわかったの?」
ムヨン「間違いなくお前だ」

「変わった夢ね…」ジンガンは考えを巡らせる。

ムヨン「もしかしたら、夢じゃないのかも」
ジンガン「夢じゃない?」
ムヨン「忘れてる過去とか。俺、5歳までの記憶がないんだ」
ジンガン「全く?」
ムヨン「うん。だから、5歳までっていうのも確かじゃない。いつ生まれたのかわからないから」
ジンガン「一番最初の記憶って何?」
ムヨン「歩いてる。どこかをひたすら歩いてるんだ」

生まれて最初の記憶は、とても孤独なものだった。

ムヨン「足が痛くて、お腹も空いてて、ここがどこなのかわからなくて不安だけど、歩き続けてる」

ムヨン「誰かの心配をしてたみたいだ。誰かが俺のこと待ってる気がして、歩かずにはいられない」
ジンガン「誰?お母さん?」

心配そうに覗き込むジンガンに小さく微笑むと、ムヨンは大事にしている古い絵を持ってきた。
「父さん、母さん、俺、兄弟」右から順番に指をさしていく。

ムヨン「わんぱくっぽいだろ」

そう言って、ムヨンは自分の隣りにいる年下の兄弟を指す。

ジンガン「うん、ホント」
ムヨン「唯一の手がかりなんだ」
ジンガン「?」
ムヨン「迷子の俺をおばあちゃんが引き取って育ててくれたんだけど、1年も経たずに亡くなったって。それで、里長さんが施設に連れてってくれたんだけど、そのときポケットに絵が入ってたらしい」

「どう思う?」ムヨンに言われて、ジンガンは絵を手に取った。「すごく幸せそう」

ジンガン「みんな笑ってるでしょ。ほら、天使もいる」

「警察みたいじゃないか?」ムヨンが父親を指す。

ジンガン「警察?帽子が紫だけど」
ムヨン「違うかな。俺、昔から父さんは警察だと思ってたんだ」

ムヨンは絵の中の父親をじっと見つめた。「想像の中で、父さんは今でも俺を探してる」

ムヨン「どこかで、必死になって… いなくなった息子を。だから、俺は捨てられたんじゃなくて、生き別れになった子なんだ」
ジンガン「…。」
ムヨン「幼稚だよな。そんなこと考えるの」

「ううん」首を振って、ジンガンは彼の手を包み込んだ。「何回くらい考えた?」

ムヨン「数えきれないくらい、たくさん」

「…。」ジンガンはじっと考え込むと再び絵を指した。「見て」

ジンガン「すごく幸せそうでしょ、あんたの家族。私でも生き別れになったんだと思うはずよ」
ムヨン「そうかな」
ジンガン「家族、探してみた?」
ムヨン「うん。8歳のときと20歳のとき。けど…」
ジンガン「また探してみようか」

ムヨンは静かに首を横に振る。

ジンガン「怖いのね。夢が現実じゃないかって」
ムヨン「…。」

じっと黙っているムヨンを、ジンガンは思わず抱きしめた。

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ジンガンが家に帰ったときには、すっかりキンパが出来上がっていた。
「おかえり、思ったより早かったな」兄が妹の口にさっそくキンパを放り込んでやる。

兄「寝ろよ。出発を遅らせればいい」

「…。」ジンガンは困ったように兄を見る。

兄「どうした?食べてからにするか?腹減ったろ」

「待ってろよ」兄は立ち上がり、キッチンへ向かった。

妹「私、今日お寺に行けそうにないんだけど」
兄「…。」

ジングクは努めて平静を装い、振り返る。「そうか?」

兄「仕事が忙しいか?」
妹「仕事もまぁ忙しいし… あぁ、それから来週コンペがあるの。ちょっと大きな案件で」
兄「…。」
妹「今日は休むって、あらかじめ代表には言ってあったんだけど、それでもやっぱりちょっと… 行かなきゃいけない感じで」

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「スラスラと口から嘘が…」列車でムヨンとキンパを食べながら、妹は良心の呵責に顔を歪めた。

ジンガン「あんたのが伝染ったみたい」
ムヨン「!」
ジンガン「(笑)冗談だってば。私たち、もう嘘はやめようね」
ムヨン「人をからかうなよ」
ジンガン「(キンパをもう一つ)美味しいでしょ」
ムヨン「マジで美味しい。キンパ屋になれるな、おじさん」
ジンガン「(うなずく)お兄ちゃんがさ、春の遠足、秋の運動会、一度も欠かさずにキンパを作ってくれたの」
ムヨン「で、なんで今日?」
ジンガン「え?」
ムヨン「なんで毎年11月1日に寺へ行くんだ?」
ジンガン「そうだね。なんでいつも今日なんだろ。ヘサンに住んでる頃からそうだったから、考えたことなかった。お兄ちゃんと私だけの恒例行事だから、ただ嬉しくて。子どもの頃は学校行事より11月1日の方が待ち遠しかった」

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ジンガンとムヨンは新ヘサン駅に到着していた。

ジンガン「ヘサン駅ってこんなだったっけ。思い出すかと思ったけど、全然」
ムヨン「新ヘサン駅」
ジンガン「あぁ」
ムヨン「もともとのヘサン駅は市内にあったんだ。今はなくなってる」
ジンガン「ソウルに引っ越してから、ヘサンに来るのは初めてだわ」

二人は手をつないで歩き出した。

ジンガン「お兄ちゃんがソウルに異動になったって聞いて、最初はただあぁそうなんだと思ってた。だけど、考えてみたら、ヘサンからソウルに異動になるはずないわ。ソウルからヘサンならあり得るけど。お兄ちゃん、私のためにわざわざ申請したんだわ」

「…。」ムヨンが急に立ち止まった。「ヘサンでも警察だったのか?」

ジンガン「うん。22歳からだから、当然ヘサンでも警察だわ」
ムヨン「…。」

ムヨンの中で矛盾が生じた。
ジングクはヘサンの警察に知り合いなどいないと、ムヨンに言ったのだ。
なぜだろうか…。

ジンガン「どうかした?」

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今日2時から予定されていたムヨンの取り調べは、地方にいるからという本人の要請で明日に延期になった。
強力3班の面々はずいぶん暇な様子だ。

ファン捜査官「ユ警査はどこに?」
チョロン「用事があるって」
ファン捜査官「用事?あぁ、そうだったな。内緒で出掛けてこそユ課長だ」
捜査官「そういえば、ユ警査が異動申請してるそうですね」
ファン捜査官「さっさとすればよかったのに。これで静かになるな」
捜査官「それにしても、班長とユ警査、何なんですか?ユ警査のせいで昔チームがおじゃんになったって」
ファン捜査官「追ってた容疑者が死亡したそうだ」
チョロン「死亡?」
ファン捜査官「凶悪犯だったんだが、ユ警査が捕まえようとしたところを、犯人が崖から転落したらしい」
チョロン「転落?!」
捜査官「足を踏み外したんですか?それとも自殺?」
ファン捜査官「踏み外したにしろ自殺したにしろ、そんなもの恐れてたら犯人は捕まえられない」
捜査官「あぁ、それなのに厳しい懲戒処が下ったとか?」
ファン捜査官「いや、全く。当時は凶悪な事件も多かったし、世間の雰囲気もちゃんと考慮してくれたおかげで、無事に済んだんだ」
捜査官「それなのに、どうして?」
ファン捜査官「だから班長が苛立ってるんだ」
皆「?」
ファン捜査官「一人でムダに責任感じる人っているだろ。大騒ぎしたらしいぞ。チームは潰れて、メンバーは散り散りになった」
チョロン「でも、目の前で人が死んだんなら、ショックを受けるのも仕方ないですよ」
ファン捜査官「その当時はまだ死刑がまともに執行されてた時代だ。転落死しなくても、そいつは100%死刑になってた。どうせ死ぬ運命だったんだ」

※韓国で死刑制度は存在していますが、実際には1997年を最後に執行されていません。

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寺に到着したジングクは、丹念に拝礼を繰り返していた。

そこへ、後から到着したソジョンが加わる。
「デートしてやってくれ」というジンガンからの頼みで、急遽代わりに山を登ってきたのだ。

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寺の境内には隅にベンチがあり、拝礼を終えたジングクとソジョンは、そこでキンパの包みを広げた。

ソジョン「17年ぶりよ。ユ課長のキンパ食べるの」
ジングク「17年?」
ソジョン「覚えてない?ユ課長の代わりにジンガンの運動会に行ったの」
ジングク「そうだった、ジンガンが5年生のとき」
ソジョン「思い出したでしょ。あのおチビがいつの間にか大きくなって、兄のデートの面倒まで見るなんて」

ソジョンにキンパを勧めておき、ジングクは静かに寺を眺めた。

ソジョン「ジンガンは知らないんでしょ?どうして毎年ここへ連れてくるのか」
ジングク「あぁ。それに、知っちゃいけない」
ソジョン「あの方たち、幸せ者よ。おかげで毎年娘の成長する姿を見られたんだから」
ジングク「そう思ってくれれば幸いさ。でも、ただ来てるだけだ。年に一度、ジンガンを連れて気晴らしに。そうすりゃ心もこうして落ち着くからな」

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タクシーを降りると、ジンガンとムヨンはさらに山の上へと歩き始めた。

奥深くまで登ったところにあったのは、小さな保育施設だ。
鐘の合図で教会に集合すると、子どもたちはシスターの伴奏で賛美歌を歌う。

歌が終わり、後ろで聴こえた拍手に振り返ったシスターは、感激して立ち上がった。「!」
そこに懐かしい笑顔があったのだ。

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ムヨンはシスターとベンチに腰を下ろし、園庭をのんびり歩くジンガンを眺めていた。

シスター「誰なの?」
ムヨン「良く見られたい人」
シスター「まぁ!それを聞いてホッとしたわ」
ムヨン「良い人って何でしょう。どういうのが良い人なんですか?」
シスター「愛情深い人よ」
ムヨン「愛情深い人か…。俺は見込みなしだな」
シスター「そうね」
ムヨン「!」
シスター「何?否定してほしかった?」
ムヨン「わぁ、シスターが冗談言う日が来るとは」

シスターは愉しげに声を上げて笑った。

シスター「この間、どうして黙って帰ったの?テレサ様の葬儀のとき。ヤン先生もあの日…」

「気になることがあって来たんです」ムヨンが話を遮った。

ムヨン「昔、僕がここへ来る前。ヘサン警察の人が、僕に似た男の子を探しに来たって」

「!」シスターは一瞬顔をこわばらせ、無理に笑ってみせる。「やめなさい、ムヨン。その子は…」

ムヨン「わかってるんです。その人が右肩に火傷のある子を探しに来たのは、僕がここへ来る1年前。僕が最初にここへ来たとき、右肩を見た園長先生が警察に電話したことも。その子、もう見つかっていたんですよね?」
シスター「…。」
ムヨン「つまり、その人が探してた子は僕じゃなかったってことなんだけど… それでも警察へ行ったんです。確かめたくて」
シスター「いつ?」
ムヨン「8歳のとき」

「…。」シスターは悲しげに溜息をついた。

ムヨン「僕、その人が父さんだと思ったから」
シスター「!」
ムヨン「けど、予想通り…」
シスター「…。」
ムヨン「でも、どうしてかな。それでもここから始めなきゃいけない気がして、結局またここに」

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保育施設を出て、ジンガンは湖畔を歩いていた。

『裏に湖があるんだ』

ムヨンから聞いたとおり、木々の向こうに静かな湖が見える。

『反対側の小径の途中、岩の上が俺の席』

「そこで何してたの?」そう尋ねるジンガンに、ただ座っていただけだと、ムヨンはそう答えた。

「ただ座って何してたの?」
「ただいろいろ眺めるだけ。釣りをするおじさんたち、デートする人たち…」

一人でそこに座っている少年が見える気がして、ジンガンは岩をじっと見つめた。
後ろにやって来たムヨンが声を掛ける。「何見てるんだ?」

ジンガン「あんたのこと見てた」

「これくらいで」ジンガンは想像の中に見えるムヨン少年の背を測り、胸の高さに手をあげてみる。「完全にきかん坊の顔ね」

ジンガン「何かわかった?」
ムヨン「いや、特に」
ジンガン「子どもの頃、施設のことよく考えてた。施設で暮らすのってどんな気分かなって」
ムヨン「両親が早くに亡くなったし、兄弟がいなかったら施設で育ったかもしれないから?」
ジンガン「うん。中学のときわかったの。こういうときない?理解できないことがたくさんあったのに、ある瞬間、パズルみたいにピタッとはまること。あぁそういうことかって。どうして赤ちゃんのときの写真がないんだろう、とか、お父さんが亡くなったのは88年なのに、どうして私は90年生まれなんだろう、とか」
ムヨン「?!」
ジンガン「話したよね、アメリカに移民したお姉ちゃんがいるって。お姉ちゃん、アメリカに行くときお兄ちゃんに何て言ったんだろう、とか」
ムヨン「何て言ったんだ?」
ジンガン「”お兄ちゃんの妹はあの子じゃなくて私よ”… 私、お兄ちゃんの本当の妹じゃないの」
ムヨン「…。」
ジンガン「わぁ、そこまで変な気分でもないわ」
ムヨン「?」
ジンガン「死ぬまで誰にも言えないと思ってた。一人でそう考えてるだけでも、お兄ちゃんに申し訳なくて」
ムヨン「気になること、たくさんあったろうに、お兄ちゃんに気兼ねして訊けなかったろうな」
ジンガン「うん、私もよく考えたの。捨てられたのか、生き別れたのか」
ムヨン「…。」
ジンガン「ずっと捨てられた子なんだって思ってた。お父さんとお母さんはどんな人だったんだろう、どうして私のこと捨てたんだろう、お兄ちゃんは今の私より若かったのに、どうして私のこと引き取ったんだろうって」
ムヨン「…。」
ジンガン「一番悲しいのは… お兄ちゃんにありがとうって言えないこと。私みたいなのを育ててくれてありがとうって… 言いたいけど」

悲しむジンガンを、今度はムヨンが抱きしめた。

ジンガン「お兄ちゃんには幸せでいてほしい」
ムヨン「凄いよな、おじさん」

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「おぉ」鍋を前にマッコリをすすり、ソジョンは思わず唸り声を上げた。「ふもとで飲むマッコリはなんでこう美味しいのかしら」
ジングクは素知らぬ顔でメールのチェックだ。「あいつ、メシは食ってるのやら」

ソジョン「ジンガンが来るはずだったのに、私で悪かったわね!」

「妙だな」ジングクは急に声を潜め、ソジョンを覗き込んだ。「怒ると可愛いんだ、君は」

ソジョン「チッ、なにが可愛いよ。一応私の心配してるの?」
ジングク「なんで俺が?」
ソジョン「もういい!そんなことだろうと思ったわ」
ジングク「何て言ってやるのが正しいのやら」
ソジョン「他の人たちの心配はするのに、私の心配はしないんでしょ。私、ユ課長を見てるとこう感じるのよ。あぁ、愛って心配することだなって」

「えぇ?」ジングクは笑う。

ソジョン「だから絶対に絶対に私のことは心配しないんだわ」
ジングク「君は強いじゃないか」
ソジョン「わかったってば」

ソジョンはマッコリの器をテーブルに置いた。「だけど、これだけは知っておいて」

ソジョン「この世で一番ユ課長を心配してるのが誰なのか」
ジングク「?」
ソジョン「誰だかわかる?」

ジングクは身を乗り出したソジョンのおでこをトーンと叩いた。

ソジョン「何するのよ!」
ジングク「ははは!」

#これだけはっきりアプローチさせておいて、笑って誤魔化すジングクと、怒るどころか自分も笑っちゃうソジョン。一周も二周も回っちゃった大人の関係で、これもありかなと思ってしまいます。

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“ムヨン少年の岩”に腰を下ろし、ジンガンとムヨンは寄り添って暮れていく空を眺めていた。

ジンガン「タイムマシンがあればいいのに」
ムヨン「なんで?」
ジンガン「ここに来て抱きしめてあげたいの。キム・ムヨン少年を」
ムヨン「今だって遅くない」
ジンガン「ふふふ」

「…。」「…。」二人は静かに顔を見合わせた。

ムヨン「お前と寝たい」
ジンガン「…私も」

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ジングクとソジョンはすっかり空腹を満たし、酒も進んでいた。
「明日はまた出勤ね!」「出勤か~!」二人は笑って盃を合わせる。

ソジョン「そうよ、そうやって笑って生きなさい。バカみたいでイイわ」
ジングク「バカ?」
ソジョン「そう、バカ。私はね、ユ課長を高く評価してるの。みんながあなたのせいじゃないって言ってるのに、ずっと責任を感じてるあなたはすごくイイわ」
ジングク「…。」
ソジョン「でもね、いつかここへ来るのもスッカリ忘れて、あぁやっちまった!って。そんな日が来るといいと思ってる」

ジングクは静かに首を横に振る。「そんな日は来ないさ」

ソジョン「やれやれ…」
ジングク「まぁ、年食ってモウロクしたらわからんがな。そうでもなきゃ忘れちゃダメだ、俺は」
ソジョン「…。」
ジングク「俺がイム・ユリに自首させたかったのはなぜだと思う?」

ジングクは自分の胸をポンと叩く。「俺みたいになってほしくないから」

ソジョン「どういうこと?」
ジングク「俺のせいで人が死んだのに、どうすりゃいいかわからなかった。死ぬことも考えたさ。でも、出来なかったんだ」
ソジョン「…。」
ジングク「父さんもいないのに、ジニはまだ高校生だ。それに母親も…。だから、生きなきゃいけないのに、人生あまりに長すぎてな…」

そう言ってジングクは苦しそうに顔を歪める。

ジングク「でも、その頃は年月がこんなに早く過ぎるとは思わなかった。たかが24歳だからな」
ソジョン「…。」
ジングク「一番辛いのは何だと思う?牢に入れないことだ。最小限の償いもできないのが、こんなに辛いとは」
ソジョン「牢なんて!私、イ・ギョンチャルの言う通りだと思うわ。あれはあなたのせいじゃない。自殺にしろ足を踏み外したにしろ、あなたは犯人を捕まえるために最善を尽くしたのよ」

「自殺じゃない」ジングクは絞り出すように言った。「足を踏み外したわけでもない」

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ムヨンとジンガンは、お互いを慈しむように身体を重ね合った。
これまで生きていた中で、一番愛に満ち、温かい時間だった…。

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「崖から転落したわけでもないんだ」ジングクの声が低く響く。

ジングク「はなから逃げてなんかいないんだから」
ソジョン「…。」
ジングク「俺が銃で撃った」

「!」衝撃で硬直したソジョンの、目だけがグラグラと動いた。

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ここでエンディングです。

ムヨンたちが一線を超える温かい映像と、ジングクの衝撃の告白を合わせてある効果が凄い。
結ばれることで戻れない道へ踏み込んでしまう感が生まれますね…。

 - 空から降る一億の星

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