空から降る一億の星(韓国版)あらすじ&日本語訳 10話前編
ソ・イングク、チョン・ソミン、パク・ソンウン主演、tvN韓国ドラマ【空から降る一億の星】、10話の前半、詳細なセリフの日本語訳を交えながら、あらすじを紹介していきます。
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それぞれの長い夜が明けた。
ジンガンが外へ出ると、兄が車の前で待っていた。「乗れよ」
昨日激しく言い争って以来、顔を合わせるのは初めてだ。
ジンガンは黙って車に乗り込んだ。
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沈黙を破り、先に口を開いたのは兄だ。
「あぁエアコン」手元のエアコンのスイッチを切る。「なんだか寒いと思ったんだ」
妹「エアコン?」
兄「風が出てるのに気づかないとは。鈍感め」
妹「(送風口に手をかざし)お兄ちゃんの方も出てるよ」
兄「こっちは出な… いや、出てるな」
ジンガンは思わずフッと笑った。「どうしたの?送ってくれるなんてさ」
兄「嫌なのか、嬉しいのか、どっちだ」
妹「嬉しいわよ」
兄「あと1分遅かったら先に行ってた。ユ・ジンガン、今日は運がいいぞ」
「ラッキーデイ~」ジンガンはピースサインをしておどけてみせる。
兄「来週の木曜日、どうする?」
妹「はっ!そうだ。来週はもう11月だわ。はぁ、あっという間に1年経っちゃう」
兄「大丈夫。俺なんか今年が何年かも知らんぞ」
妹「ふふふ」
兄「キンパ作っていくか?いや、そこまでしちゃ大袈裟かな」
妹「ううん、持っていこうよ。遠足みたい」
「そうしようか」二人は笑って顔を見合わせる。
妹「あ、そうだ。それとお兄ちゃん、登山靴新しいの買いなよ。ボロボロだから」
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妹の職場前の角で車を停めると、ジングクは降りた妹を呼び止めた。
兄「昨日は… 俺が言い過ぎた」
妹「…。」
兄「お前ももう大人だ。自分のことは自分で出来ると信じて、これ以上は何も言わない。OK?」
「…。」ジンガンは頷いた。「OK」
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仕事中、ムヨンの携帯が短く着信を告げた。
NJグループのチャン・セランからメッセージが入ったのだ。
『Yes or No? 結論は出たかしら?』
「…。」ムヨンは短く二文字だけ入力し、送信した。
『No』
そして、さらに彼女の連絡先を削除した。
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「チャン・セラン専務、美術専攻だったわよね」ファン代表の言葉に、ジンガンは頷いた。
ジンガン「えぇ、インタビューを探してみたら、特にインスタレーションに興味があるみたいなんです」
※インスタレーション=Installation art. 設置美術。オブジェや装置で空間を構成し、空間全体を作品として体験させる芸術。
ジンガン「草間彌生の作品も個人的に集めてるらしくて。だから、平面よりも立体的なグラフィックで進めたほうがいいと思うんです」
ファン代表「(うなずく)」
イム代理「キム・ムヨンさんの趣向は?」
ジンガン「…。」
イム代理「チャン常務の趣向も大事だけど、直接運営するキム・ムヨンさんの趣向を考慮したほうがいいんじゃないですか?」
「違うみたい…ですけど」ジンガンは躊躇いながら二人を窺う。
ファン代表「え?」
イム代理「何が?」
ジンガン「昨日近所で会って… 偶然近くのスーパーで… 家が近所だから。それで訊いてみたんですけど、やらないみたいです」
ファン代表「やらないみたい?」
ジンガン「…。」
ファン代表「訊くならハッキリ訊きなさいよ。まだ悩んでる最中なのか、やらないって決心したのか、どっちよ?」
ジンガン「決めた… んだと」
二人「…。」
ジンガン「いや、決めたそうです。やらないって、ハッキリ」
そう言って、ジンガンは微笑んだ。「ふふ」
ファン代表「あんた今笑った?こんなショックなニュースで?」
ジンガン「私が?笑ってませんよ」
ファン代表「(唖然)」
ジンガン「あんまり残念で… 笑ったのかも」
イム代理「さっき言ったでしょ。今日、ジンガンさん凄~く変ですよ」
ファン代表「そうよね。もう2時間も鼻歌うたっちゃって」
ジンガン「鼻歌?私が?」
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『No』素っ気ない返信に、セランは首を傾げた。
セラン「チェ室長はどう思う?」
秘書「率直に申し上げると、無礼が過ぎるのではないかと」
セラン「そうね。優しくしすぎたかしら」
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今回の逮捕劇において班内で行き違いがあったことで、強力3班は責任を問われる事態となっていた。
ジングクが情報を共有せず、単独でユリの自白を得たことと、チョロンたちがムヨンの緊急逮捕に踏み切ったタイミングが重なってしまったことが大きな原因だった。
幸い捜査課長の計らいで、イ班長はじめ全員が懲戒処分を免れることとなった。
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ジングクはチョロンを中庭へ誘い出した。
ベンチで彼が差し出したのは、チョロンが調べていたムヨンの通信記録だ。
ジングク「ありがとな。その性格じゃ気が引けただろうに」
チョロン「後悔はしてません。悪いとわかっててやったことだから」
ジングク「キム・ムヨンとイム・ユリのこと、黙ってて悪かった」
チョロンは静かに頷いた。「えぇ。それはユ課長の責任なので」
「そうだな」ジングクはふっと笑う。
チョロン「それはもういいんですけど…」
ジングク「…どうした?」
チョロン「いいんです。とにかく懲戒を免れて良かった」
立ち上がったチョロンに、ジングクはポケットから出した紙幣を握らせた。「ヘサンの先輩がくれたんだ」
ジングク「ジンガンにお菓子を買ってやれとか何とか」
チョロン「…。」
ジングク「お前が買ってやってくれ。ジンガンに美味いものを」
チョロン「…。」
ジングク「戻れよ。俺はもう少ししてからにする」
「はい」チョロンは一度背を向けたものの、そこで立ち止まった。「…。」
最後に会った日のジンガンの思いつめた横顔が蘇る。
やはり黙っているわけにはいかない。
チョロン「あの… ユ課長」
ジングク「?」
チョロン「僕、ジンガンさんとは上手くいきませんでした」
ジングク「!」
チョロン「やっぱりお話ししておいたほうがいいと思って。未練を残すのも嫌だし」
ジングク「…。」
チョロンは一度受け取った紙幣をテーブルに戻す。「せっかく紹介してくださったのに、上手くいかなくてすみません」
ペコリと頭を下げ、チョロンは背を向けた。
ジングク「オム・チョロン」
チョロン「?」
ジングク「一杯やるか?」
チョロン「いえ、また今度」
ジングク「…。」
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仕事を終え、ジンガンはまだ明るいうちにそわそわと会社を出た。
角の向こうに見えたのは、待っているムヨンの姿だ。「!」
#今まで私が見た電柱とのツーショットの中でダントツのナンバーワン
ムヨンは階段の上の彼女にメールを送った。
『バスに乗ろう』
そこへファン代表たちが出てくる。「行こう~」
ムヨンは小さく微笑み、そっと背を向けた。
ファン代表「(ジンガンに)私、今日ホンデに行くから、近くで降ろしてあげる」
ジンガン「いえ、私バスに乗りますから。混むだろうし、わざわざ遠回りしなくても」
ファン代表「?」
「バスって…」なぜかまだジンガンの話は続く。「専用車線だから意外と早いんですよ」
ジンガン「バスに乗りますね。”公共交通を愛しましょう~”」
ファン代表「そう?」
イム代理「それじゃ、地下鉄の駅まで乗せてもらっていいですか?」
ファン代表「ホンデに行くって言ったでしょ。反対方向じゃない。歩きなさいよ」
「じゃあ」ファン代表と別れ、ジンガンはイム代理と歩き出した。
イム代理「あー面倒くさい。私もバスに乗るわ」
ジンガン「そうする?」
ジンガンは慌ててメールを送る。
『イム代理、バスに乗るって』
バスの停留所にいたムヨンがさっと身を潜める。
イム代理「いや、きっと混みますよね。やっぱり地下鉄にします」
『イム代理、地下鉄に乗るって』
二人はこうして仲良くバスに揺られた。
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「歩くと気持ちいいわ~」そう嬉しそうに声を上げるのは、ジングクと並木道を歩くソジョンだ。
ソジョン「1年のうちで今が一番好き。センチになるのが許されてる気がしない?」
ワクワクするソジョンの隣で、ジングクは心ここにあらずだ。
ソジョン「ねぇ?」
ジングク「え?何て?」
ソジョン「どうした?もうすぐ11月だから落ち着かないの?」
ジングク「そんなわけないだろ」
ソジョン「何をそんなに考え込んでるのよ?」
ジングク「いやさ… チョロンとジンガン、ダメになったらしい」
ソジョン「本当?!」
ジングク「あぁ。チョロンがさっき言ってた」
ソジョン「わぁ、残念ね。チョロンみたいな子、なかなかいないのに」
「全くだ!」ジングクは大きくうなずく。「こんなことになるなら、朝あんなこと言わなかったのに」
ソジョン「どんなこと?」
ジングク「ジンガンに言ったんだ。よし、お前を信じよう、もうあれこれ言わないってな」
ソジョン「あらまぁ、よく言ったわねぇ。残念だけど仕方ないわ。自分たちが判断したことなんだから。口出しせずに、気長に待ちなさいよ」
ジングク「…。」
ソジョン「で、どうして別れちゃったの?あの子たち」
ジングク「さぁな。どうもあいつと関係あるみたいだ」
ソジョン「あぁ、キム・ムヨンね」
ジングク「何か知ってるのか?」
「いや、そういうわけじゃないけど」ソジョンは少し困ったようにジングクを見上げた。
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店に入ったジンガンとムヨンは、向き合って肉を焼いていた。
ジンガン「ソンス洞のパブ、やらないって言った?」
ムヨンは無言のまま、火の通った肉をジンガンの皿に入れてやる。
ジンガン「言ってないの?」
「どっちだと思う?」ムヨンがニヤリとしたのを見て、ジンガンはホッとして微笑んだ。「言ったのね」
ジンガン「実は、うちの代表、あんたにやって欲しがってたの。あんたを後ろ盾に仕事を取りたくて」
ムヨン「俺がやってたら、100%お前の会社を選んだのにな」
「ふぅ」ジンガンは困ったように顔をしかめる。「気が咎めるわ」
ムヨン「俺があの仕事やるの、なんでそんなに嫌なんだ?今より箔がつくし、稼げるのに。金、嫌いか?」
ジンガン「私が?まさかぁ。お金が嫌いな人なんていないわ。稼がなきゃダメよ」
ムヨンが笑った。
ジンガン「お金は大好きだけど、あの人たちとつき合ってほしくないの」
ムヨン「…。」
ジンガン「何だって出来る人たちでしょ」
ジンガンは箸を置き、彼の顔を覗き込んだ。「気になることがあったら何でも訊けって言ったよね」
ジンガン「本当に全部訊くから。訊きたいことも多いし、訊かなきゃいけないことも多いけど、今はイヤ」
ムヨン「…。」
ジンガン「あんたに会うと、腹が立つばかりだった。怒って泣いて、心配して…二度と会わないってダメ押しして。笑ったことないでしょ」
「だから、笑ってからにしたいの」そう言ってニッコリ微笑みかけるジンガンに、ムヨンは照れたように目を逸らす。
#ジンガンにニッコリ見つめられたときは照れて目を逸らしたけど、彼女が下を向いた瞬間、嬉しそうにチラ見するムヨン^^
しきりに可愛い笑みを見せるジンガンに、ムヨンはとうとう観念した。「笑うなよ」
ジンガン「なんで?」
ムヨン「怖いから」
ジンガンがおどけたように笑ってみせるのを見て、ムヨンも吹き出した。
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いつもの帰り道。
マートの近くまで歩いて来ると、ジンガンは別の道を指差した。「あっちに行かない?」
ムヨン「…。」
ジンガン「一度あっちに行ってみようよ」
ムヨンは黙ってジンガンの指した方へ歩き出した。
ジンガン「バレた?」
ムヨン「まぁな」
ジンガン「なるべくお兄ちゃんに気を遣わせたくなくて。お兄ちゃんがあんたに神経尖らせてるの、知ってるよね」
「あぁ」そう言って、ムヨンは歩きながらそっとジンガンの手を握った、
ムヨン「俺はおじさんのこと好きだけど。いや、好きかどうかはわからないけど… 面白い。ちょっかい出したくなるっていうか。喧嘩したくもなるし。じゃれつきたくなるんだ、おじさんといると」
ジンガン「うちのお兄ちゃん、可笑しいでしょ」
「あ」ムヨンはふと立ち止まる。「お前、笑ったことあるぞ」
ジンガン「え?」
”あんたのこと、まだ好きになれそうにない”以前ジンガンに言われたことを、ムヨンは繰り返してみせる。
初めて一緒に食事をした日の帰り、猫に彼女の名前をつけたと話したときのことだ。
ムヨン「そう言ってキッカリ3秒後に笑ったんだ。お前」
ジンガン「そんなこと覚えてるなんて」
彼女の小さな微笑みを、ムヨンは背中で感じ取っていたのだ。
ジンガン「あ、そうだ。猫は?探した?」
ムヨン「見つからないんだ。でも、メールは来てた。可愛い彼女が出来て忙しいって」
「…。」ジンガンは呆れたように彼を見つめた。「やっぱりあんたのこと好きになれそうにないわ」
ムヨン「せいぜい頑張れ」
笑い合って顔を上げると、そこに花屋があった。
ジンガン「花屋だ!いつ出来たんだろ」
「行ってみようよ」ジンガンは彼の手を引っ張った。
嬉しそうに花を選ぶ彼女の笑顔はとても眩しくて、ムヨンはただ彼女を目で追い、顔をほころばせた。
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翌朝。
仕事に行こうと玄関を出たジングクは、見慣れぬ黄色い花の鉢が置いてあるのを見て、反射的にジョーロを手に取った。
#思わず水やりをする勤勉なお兄ちゃん。どこもかしこも人柄が出ていてニンマリします^^
そこへジンガンも出てきた。
兄「用意できたか?」
妹「うん」
兄「秋はやっぱり菊だ。いいなぁ」
妹「キレイでしょ。偶然見かけて」
兄「へぇ」
妹「そこに花屋が出来てたの」
歩き出した兄をさっと捕まえ、ジンガンは上目遣いに覗き込んだ。「今日も乗せてくれるのかな?」
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「お送りしないと」ジングクはスキップしてついてくる妹の先に立って、車へ向かった。
妹「あ、今日残業だから先に寝て」
兄「?」
妹「キンパの材料、お兄ちゃんに買っといてもらわないと」
兄「明日キンパを作ったら、オム・チョロンにもちょっと…」
そう言ってしまってから、ジングクはハッと言葉を飲み込んだ。
兄「お前の会社、残業多くないか?」
妹「お兄ちゃんと遠足行こうと思ったら、先にいろいろやっとかなきゃいけないのよ」
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本日、イム・ユリは予定通り送検となった。
護送車を見送ると、チームの捜査官がジングクに声を掛ける。「帰宅なさるとき、もうひとりの方、様子を見に行ってくださいませんか?」
ジングク「え?」
捜査官「キム・ムヨンです。明日取り調べなんですが、ずっと話し中で。雲隠れされたら面倒じゃないですか」
ジングク「…。」
捜査官「取り調べ、明日の2時です」
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「あぁ」ムヨンは電話で話しながら会社を出てきた。「バッテリー切れそうだ」
「今日残業なの。会社の前に来ないでね」話しているのはジンガンだった。
ムヨン(電話)「行かないって。あぁ、もしうちの家に行くことがあったら、黄色い菊の花の下を見てくれ」
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仕事を終えたムヨンは、高級なバーのカウンターにいた。
セランに呼び出されたのだ。
#こんなデカいスツール、初めて見た(笑)
「断った理由は?」セランが切り出す。
ムヨン「ちょっと勉強したいことがあるんだけど、その障害になりそうで」
セラン「勉強したいことって?」
ムヨン「善人になる術」
セランが思わず笑う。「らしくないわね」
ムヨン「らしくないから挑戦するんです。説明はこれで十分ですよね」
セラン「私は一目で見抜いたのに、キム・ムヨンさんはまだわかっていないのね。私たちが同族だってこと。私たち、どうせ人間としては失敗作よ」
ムヨン「…。」
セラン「私を育てたのは倦怠感だった。生まれてみたらここにいたわ。面白いものもなければ、欲しいものもない。たまにキラッと光るものが見えて、必死で追ってみたら… 騙される。どれもこれもくだらないことばかりだった」
ムヨン「…。」
セラン「だからって損をしたとは思わないわ。過ぎたことだから」
ムヨン「…。」
セラン「今、私の目に一番光って見えるのが、あなたよ」
ムヨン「…。」
セラン「あなたならどうする?確かめないと」
「そのうち私に会いに来ることになるわ」セランは自信を持って頷いた。「賭けてもいい」
ムヨンはカクテルを一口すすり、立ち上がった。「不味い」
ムヨンと入れ替わりに、秘書がやってくる。
セラン「(秘書に)送検はいつ?」
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ジングクが電話してみるも、ムヨンとは連絡がつかなかった。
自宅にも誰もいない。
ただ、見覚えのある黄色い菊の鉢が、ムヨンの家の前でひっそりと彼を迎えた。
ジングク「…!」
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すっかり夜になっていた。
買ってきたキンパの材料を冷蔵庫に移しながら、ジングクは不安に襲われた。
ジンガンは本当に残業なのだろうか。
ムヨンが逮捕されたとき、電話してきたジンガンの様子が変だったと、ソジョンから聞かされていた。
『万が一、ユ課長の探している子がキム・ムヨンなら、他はともかくジンガンとつき合っちゃいけないわ』
「もしもし」居ても立ってもいられずキム・ムヨン宅へ向かう途中、ジンガンとはようやく電話が繋がった。
彼女の言ったとおり、本当に残業中だったのだ。
とりあえず良かった。ジングクはホッと息をつく。
「うちの家に?」
いつの間にか後ろにムヨンが立っていた。
ジングク「あぁ。留置場を出るとき、注意事項を聞かなかったのか」
ムヨン「警察からの電話には出ること。出られなかった場合、確認次第折り返すこと。首都圏から出るときは、事前に申し出ること。連絡がつかなくなったときは手配される。このことですか?」
ジングク「それだけわかっていながら、なぜ1日連絡がつかなかったんだ?」
ムヨン「バッテリーが切れてて。充電してから連絡するつもりだったんです」
ジングク「…。」
ムヨン「なにかあったんですか?」
「…。」杞憂に終わった不安を、ジングクは心の中にぎゅっと封じ込めた。「明日午後2時。取り調べだ」
あまりにジングクが深刻なので、ムヨンは怪訝な顔で首をかしげる。「OK」
ジングク「お前、妹に会ってるだろ」
ムヨン「…。」
ジングク「妹とは会うな」
ムヨン「なぜ?資格がないから?」
ジングク「資格じゃない。お前だから反対してるんだ」
ムヨンの目に滲んでいた笑みが、冷たく引いていく。「…。」
ジングク「もう会うなよ。頼みじゃなくて警告だ」
ジングクはその場を足早に立ち去った。
+-+-+-+
ここで一旦区切ります。
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