空から降る一億の星(韓国版)あらすじ&日本語訳 2話後編
ソ・イングク、チョン・ソミン、パク・ソンウン主演、tvN韓国ドラマ【空から降る一億の星】、2話の後半、詳細なセリフの日本語訳を交えながら、あらすじを紹介していきます。
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スクーターを盗んだ犯人はすぐ判明した。
署へ連行した若い男を、ジングクがデスクで取り調べる。「つまり…」
ジングク「誰かがお前のスクーターをパクったから、お前も同じように他人の物をパクったって?」
男「他人のをパクったんじゃなくて、同じのを持って帰っただけですよ」
「僕のスクーターと同じものを」男は全く物怖じしている様子もない。
ジングク「やれやれ。おい、オ・バルン。”正しい”って名前をつけるなんて、お前のご両親はよっぽど正しく生きてほしいと願ったんだろうな」
※올바르다(正しい)。犯人の名前、오바른(オ・バルン)と似ています。
オ・バルンが呆れた様子で笑う。「僕だけ損しろって?」
ジングク「こいつ、計算は公平だな」
「セコいヤツめ」そばで聞いていたファン捜査員がボヤく。「自分のが無くなったら通報すべきだろ。なんで他人のを盗む?」
パルン「(パン!と手をたたき)通報しますよ」
刑事たち「…。」
パルン「そいつが盗んだのが先なんだから、まずそいつを捕まえてください」
ファン捜査員「呆れたな。よく聞けよ。お前がスクーターを盗んだ日、人が死んだんだ。殺人犯とスクーター泥棒、どっちを捕まえるのが優先だと思う?」
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パルンの取り調べからやっとのことで脱出に成功したチョロンは、ジンガンと並んで映画館にいた。
楽しい場面で爆笑するジンガンに、チョロンは顔を綻ばせる。
上映が終わり、ジンガンは涙を拭いながらロビーへ出てきた。
チョロン「笑ったり泣いたり、泣いたり笑ったり」
ジンガン「”無脳児”だって」
チョロン「?」
ジンガン「兄がいつも言うんです。人が笑えば私も笑って、人が泣けば私も泣くって」
チョロン「純粋だからですよ」
ジンガン「そんなことないけど… そういうことにしましょうか!褒め言葉だし」
チョロン「そうしましょう」
向こうから若いカップルが歩いてくる。
ムヨンと… 隣で彼の腕に絡まっているのは、20歳そこそこの若い女だ。
その女を見て、チョロンが顔をしかめる。「全く…」
ジンガン「…?」
チョロン「何でもないですよ」
ジンガン「…。」
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ジンガンたちとすれ違ってから、若い女が吐き捨てるように言った。「ヤな感じ」
ムヨン「何が?」
女「今すれ違ったダサ男」
ムヨン「知り合い?」
女「この間来た警察」
ムヨン「死んだ友だちのことで?」
「…。」女は立ち止まり、恨めしそうにムヨンを睨む。「何が友だちよ」
女「友だちなんかじゃない。死んでからも面倒くさいばっかじゃん」
「知らない」女は苛立って歩きだした。
ムヨン「…。」
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ジングクは車を家に走らせていた。
絶対にシワになってはいけないブラウスが洗濯機の中に入ったままだと、可愛い妹に言われたのだ。
運転中だからと電話を切ったその瞬間、彼は慌ててブレーキを踏んだ。「!!!」
危ういところで人を轢いてしまうところだったのだ。
猫を抱いた青年が、車の前でペコリと頭を下げる。
ジングク「…。」
またあいつだ。
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成り行きで、ジングクは猫を抱いたムヨンを後部座席に座らせていた。
ジングク「大丈夫ですか?怪我はない?」
ムヨン「すみません。こいつが急に飛び出して」
ジングク「怪我してないならイイさ。やれやれ、ハハハ」
ムヨン「あのときの… 妹さんでしょう?イテウォンのパブで」
ジングク「あ、あぁ、どうしてわかったんです?」
「ただ… 何となく」ムヨンは視線を窓の外へ流した。
ムヨン「ってことは、あのとき妹さんの後をつけていらしたんですね」
「えぇ?!」ジングクは、狼狽えて笑い飛ばす。「ワハハ」
ジングク「後をつけてたっていうか、あいつが… 」
言い訳しようとしてジングクは諦めた。「記憶力いいな」
ジングク「どっちだ?直進?右折?」
ムヨン「あ、そこで降ろしていただければ」
ジングク「家まで送りますよ。ご近所さんだし、荷物もあるんだから」
ムヨン「えっと… それなら真っ直ぐ行ってください」
ジングク「あぁ真っ直ぐね。OK」
「すごく親切ですね」ムヨンが言う。「警察だからかな」
ジングク「警察は”市民の杖”だからね」
ムヨン「僕も子どもの頃は警察官になるのが夢だったんだけど」
ジングク「おぉ、そうなのか」
ムヨン「父が警察官だったから」
ジングク「へぇ!どこの署におられたんだい?」
ムヨン「ヘサンです。ヘサン警察」
「ヘサン…?」バックミラー越しに、ジングクの目から笑みがスーッと消えた。
ムヨン「…どうしたんです?ヘサン署に知り合いが?」
ジングク「いや、いないよ」
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「そこで止めてください」ムヨンに言われたとおり、ジングクはウォニョン印刷所の前で車を止めた。
「おじさん」ムヨンが言う。「銃、持ってるんですか?」
「銃?」ジングクが後ろを訝しげに振り返る。
胸元にゆっくり手を差し込むと…
サッと指でピストルの真似をしてみせた。「うっかり忘れてきた」
ジングク「冗談。持ち歩いたりはしないさ」
ムヨン「撃ったことありますか?」
ジングク「めちゃくちゃ撃ったぞ。今だって年1度試験があるんだから。バン!」
ムヨン「そういうんじゃなくて」
ジングク「?」
ムヨン「人に向かって撃ったことは?」
「…。」短い沈黙が流れる。
ジングク「あぁ、それはだな、人生で一度でも人に向かって撃った警察官はどれくらいいると思う?10%にもならないんだ」
「撃ったじゃないですか」ムヨンの声は不思議なほど静かだ。「おじさんは」
「…。」懸命に作っていたその笑みが、ジングクの顔から波のように引いていく。
彼はゆっくりと後ろのムヨンを振り返った。「そんなことに興味があるんだな」
ムヨン「えぇ、すごく。けど、ホントに撃ったことあるみたいですね。適当に言ってみただけなんだけど」
ジングク「…。」
ムヨン「どうなったんです?その人。死んだんですか?」
ジングク「…。」
ムヨン「どんな感じなんですか?自分のせいで人が死ぬって」
ジングク「…そんなに知りたいか」
「…。」ジングクは静かに前を見つめた。「全てが終わった気分だ」
次の瞬間、ジングクは笑う。「冗談だってば!」
ジングク「想像するだけでそんな気分だってことだぞ」
「違うと思うけどな」ムヨンがポツリと言う。
ジングク「!… どんな気分だと思うんだ?」
ムヨン「妙な感じです。とても」
ジングク「…。」
ムヨン「殺人犯がそう言うじゃないですか。神になった気分だって。ホントかな」
ジングク「神?殺人者になっただけだ」
ムヨン「?」
ジングク「人を殺せば、神じゃなく悪辣な殺人者だ」
「えぇ」少し間をおいてムヨンがうなずく。「殺人者だ」
ムヨン「明快ですね」
「ありがとうございました」ムヨンが車を降りた。
ジングク「訊いてもいいか?名前は?」
ムヨン「キム・ムヨンです」
ジングク「どこかで会ったことは?」
ムヨン「えぇ、イテウォンで会ったじゃないですか」
ジングク「そうじゃなくて、もっと前に」
「ないと思いますけど」ムヨンがあっさり首を横に振る。
ムヨンが立ち去ってもなお、ジングクはまだスッキリせずに考えを巡らせた。
この妙な感覚は一体何だろうか。
#車の運転席と後部座席という配置がすごく効果的だと思う。ミラー越しの会話で直接顔が見えず、相手の感情や意図が読み取りづらいですよね。不安感がぐっと増していると思います。
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アーツのプロダクトデザインは、結局ジンガンのデザイン&ルック社に発注されることが決まった。
彼女はさっそくアトリエにいるスンアにお礼の電話を入れる。
スンア(電話)「ううん、私のおかげなんかじゃないよ」
スンアがつけているイヤホンを、後ろからムヨンが片方外し、自分の耳につける。
スンア(電話)「実は渡せなかったの。ウサンさんに会えなかったから」
ジンガン(電話)「そうなの?ならむしろ良かった。ちょっ気にしてたから」
「だよね」後ろからムヨンにじゃれつかれ、スンアはクスクスと笑う。
ジンガン「うちの代表には秘密にして、二人で美味しいもの奢ってもらおうよ。明日の晩はどう?」
「明日?」そう言ってスンアはムヨンを見上げる。ムヨンが首を横に振った。
スンア(電話)「明日はちょっと」
ジンガン「デートね」
スンア「うん」
「うふふ」幸せそうなスンアの声が電話の向こうから聞こえてくる。
ジンガンの頭の中に、映画館で見かけたムヨンの姿が浮かんだ。「…ねぇ、スンア」
ジンガン(電話)「あの人のことなんだけど」
スンア「ムヨンさん?ムヨンさんがどうしたの?」
スンアはムヨンの耳からイヤホンを抜き取り、彼の腕の中をすり抜けた。
スンア(電話)「ホント?どこで?」
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電話を切って戻ってきたスンアは、怒りのこもった目でムヨンを見た。「ジンガン姉が見たって」
ムヨン「何を?」
スンア「やましいことない?」
ムヨン「…?」
スンア「まだわからないの?」
ムヨンがキョトンとして首を横に振る。
その表情に、スンア耐えきれず笑った。「何よ~。まだわからないわけ?」
ムヨン「何だよ?」
スンア「一人で映画観てたんだって?」
ムヨン「!」
スンア「ジンガン姉が見かけたって。超退屈そうだったって!」
ムヨンはふっと笑い、彼女を抱きしめる。「そりゃ退屈だよ」
スンア「何それ。そういうのは私と一緒に行かないと」
ムヨン「…。」
スンア「ごめんなさいは?」
ムヨン「うん、ごめん」
もう一度彼女を抱きしめ、ムヨンは考えにふけった。「…。」
#ジンガンは「他の女といるのを見た」って忠告しようとしたけど、結局言えなかったんですね。
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ジングクが刑事課に戻ると、捜査員たちが慌ただしく出かけていった。
「チェ・サンフンが捕まったそうです」チョロンが声を掛ける。
ジングク「そうか?」
チョロン「トロント近辺のスーパーでクレジットカードを使って、向こうの警察に逮捕。これから外事課へ行ってきます」
ジングク「カードを使った…?」
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ガランとした刑事課で、ジングクはじっとPCの画面を見つめていた。
チェ・サンフンに関する捜査資料だ。被害者と一緒の写真や、本人のアパートの部屋の写真も含まれている。
彼は殺害されたチョン・ミヨンの交際相手であり、彼女の転落直前に殴った犯人と同じ左利きだ。
ミヨンの爪から見つかったDNAと一致し、彼女の死後カナダへ出国している。
確かに疑わしいが、ジングクはまだ引っかかっていた。
ジングク「…。」
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「やっと来たわね」リビングへ下りてきたスンアに、母親が小言を言う。
食事でも、と誘いに来たウサンをもてなしながら、スンアが下りてくるのを待っていたのだ。
ウサン「お母さんも一緒に行きましょう」
スンア母「スンアにご馳走してあげてちょうだい。私は近頃食欲がなくて」
ウサン「何かあったんです?」
スンア母「主人がこの頃眠れないものだから、私まで。副社長なんて月給暮らしでしょう?サラリーマンは皆そうだわ」
スンアがキッチンで水を飲みながら、うんざりした表情を浮かべる。
ウサン「じきに良いお知らせができますから。心配なさらずぐっすりお休みになってください」
スンア母「あらまぁ、そうとは知らず」
ウサンに取り入ろうと熱心な母の前を素通りし、スンアは再び自室へ戻った。
スンア母「ちょっと、スンア!」
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ウサンがスンアの部屋へ顔を見せた。
スンア「お母さんには私から話すから。もう帰って」
ウサン「お前、最近誰と会ってるんだ?」
「…。」スンアは手元の本から顔をあげることなく、平静を装う。
ウサン「お前が一番可愛いのはどんなときだと思う?」
スンア「…。」
ウサン「こんなのいらない、私はそんなんじゃない、少なくともおたくらみたいな俗物とは違う、そう思ってるときだ」
「!」スンアが顔を上げ、冷たい目で彼を睨む。
ウサン「そう、それ!」
スンア「…。」
「可愛いな」ウサンは嬉しそうに微笑んだ。
ウサン「けどな、お前はそれじゃ耐えられない。俺と同じ俗物だから」
スンア「ウサンさんにどう思われようと関係ないわ」
「取り消しだ」ウサンが立ち上がった。
ウサン「許可したのは取り消す。ケジメつけろ」
スンア「…。」
ウサン「来週、親父が帰ってくる。正式に挨拶して結婚しよう」
スンア「私、ウサンさんの物じゃないわ。人間なの」
ウサン「物であれ人であれ、俺のだろ」
「キレイにして下りてこいよ」唖然とする彼女を残し、ウサンは部屋を出た。
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昼休みに行きつけのククス屋へ来たジンガンは、店の前で立ち止まった。
アーツのトラックが止まっている。
中を覗くと、見覚えのある背中が見えた。
ジンガン「…。」
カルグクスを頼むと、彼女はムヨンの向かいに腰を下ろした。
ジンガン「誰ですか?映画館にいた女の子」
「妹」そっけなく答え、ムヨンは再び箸を動かす。
ジンガン「女はみんな可愛い妹みたいなものってことね」
「いいや。可愛い妹は一人だけだ」そう言って、ムヨンは小さくジンガンを指した。
ジンガン「少なくともスンアは本気よ」
ムヨン「それで?」
ジンガン「おたくは本気なのか訊いてるの」
ムヨン「あんたはどうなんだ?少なくとも彼は本気みたいだけど」
ジンガン「話をそらさないで」
ムヨン「”警察官だからひとまず仕事は安定してるし、いい人そうだし。けど、純粋すぎて彼のこと愛せるかな…”」
「…。」ジンガンは呆れて黙り込んだ。
ムヨン「”まぁいいか。会うだけだし。とりあえず付き合ってみよう” そういうのは本気?」
ジンガン「…。」
ムヨン「どうだったら良かったわけ?」
ジンガン「何が?」
ムヨン「すごく可愛がってる後輩が男と付き合いだしたけど、そいつが本当に後輩を好きなのか気になるってことだろ」
ジンガン「えぇ」
ムヨン「けど、そんなことホントにそんなこと気になるかな。そいつが本気じゃなかったら、どうなんだ?」
ジンガン「怒るわ。すごく」
ムヨン「信じられないな」
ジンガン「何が?」
ムヨン「好きなのかもしれないだろ、密かに。本気じゃなかったらラッキーだ」
「…。」ジンガンは小さく溜息をついた。「おたくはそうでしょうね」
ジンガン「大事な人が傷つくのを、密かに楽しんでるんだわ」
「ひょっとしたらさ」ムヨンは少し声を低くし、身を乗り出した。
ジンガン「…。」
ムヨン「ひょっとしたら、おたく俺に気があるんじゃ?自分で気づいてないだけで」
ジンガン「… 悪いけど、私にそんな手は通用しないわ」
ムヨン「…。」
そこへ店員がカルグクスを持ってきて、彼女の前に置いた。
彼女が箸を取り出す間も、ムヨンはじっと彼女を見つめる。「本気だ」
ムヨン「スンアのこと本気かどうかってやつ」
ジンガン「…。」
ムヨン「うん。本気」
真意を探るように、ジンガンは彼の目を見た。
ジンガン「麺が伸びちまう。食いなよ」
大きく溜息をつき、ジンガンは袖をまくる。
肘の火傷が袖口から覗き、ムヨンの視線が思わずそこへ向かった。
ジンガン「火傷見るの初めて?」
ムヨン「いや」
ジンガン「食べ終わったなら帰りなよ」
ムヨン「そんなの薄情だろ」
下を向いて黙々とククスを食べながらも、ムヨンの目が肘に向かっていることはわかる。「気になるの?」
ムヨン「気にしてるのは自分じゃないの?すごく焦ってたろ、彼の前で」
ジンガン「お見合いだから」
ムヨン「俺は?」
ジンガン「あんたが何?」
ムヨン「気にしないのか?」
ジンガン「さぁ。なんでかな。全然気にならないわ」
ムヨン「…。」
彼女が食べ終わるまで、ムヨンはただ黙ってそれを見守った。
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ジングクはソジョンと二人で寿司屋にいた。
「それのどこが変なわけ?」ソジョンが言う。
ソジョン「現金がなくなったらカード使うでしょ」
ジングク「人を殺してカナダまで逃げたにしては、お粗末すぎるだろ」
ソジョン「そうかも」
ジングク「家だってそうだ。男の部屋はそんなものだが、整理整頓ってものを知らん」
ソジョン「あぁ、50個のスノーボールを同じ順番で並べるような人じゃないってことね」
ジングク「なんでわかった?」
ソジョン「オム・チョロン」
ジングク「お喋りめ」
ソジョン「そいつ、確かに珍しいわよね。本当に一度見れば全部覚えるのかしら」
ジングク「どうだろうな」
しばらく食べたところで、ソジョンが3枚の資料を差し出した。
ジングクに言われ。警察のデータベースから【ウォニョン洞に住む30歳くらいのキム・ムヨン】をピックアップしたのだ。
3枚の資料に添付された写真を見て、ジングクはすぐ視線を外した。「違う」
そこに彼の知っているキム・ムヨンはいない。
ソジョン「違った?じゃあ前科はないってことね。ユ課長の知りたいキム・ムヨンは」
「良かった」ジングクが小声で漏らす。
ソジョン「誰なの?何で調べてるの?」
ジングク「近所に住んでるヤツだ。どこかで見た気がして」
「何よ!」ソジョンがドンと彼の腕を小突く。「何の嫌疑もなしに民間人を?」
ジングク「けど… 妙なんだ」
ソジョン「何が?」
ジングク「滅多にあることじゃないんだが… 変にドキリとするんだ。そいつを見ると、妙に緊張する」
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シャワー室から出てきたムヨンは、携帯を掴んだ。
着信の後に、メールが届いている。「洗面所が詰まったみたい。水が流れないの」
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寿司屋を出て走るジングクを、ソジョンが追いかけた。「ケチ!お寿司奢ったのに、コーヒー1杯奢ってくれないの?」
逮捕されたチェ・サンフンが署に到着する頃だ。
ジングク「明日奢るから!」
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チェ・サンフンを乗せた警察車両が署の前に到着すると、待ち構えていた報道陣が殺到した。
「動機は何ですか」「遺族に一言」
入り口前で待ち受けたジングクは、群がっている野次馬の中に、ふと目を留める。
ムヨンがいたような気がしたのだ。
チェ・サンフンが隣を通り過ぎる。
それをさっと見送ると、ジングクは再びムヨンのいたところへ視線を戻した。
いない?
と、そのとき、隣でふいに声がする。「えらく普通だな」
いつの間に移動したのか、ムヨンがそこにいた。
ムヨン「あの人、ホントに殺人犯なんですか?」
ジングク「…。」
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詰まった洗面所と格闘しながあ、若い女… イム・ユリはムヨンに電話を掛けた。
ユリ(電話)「今どの辺?」
ムヨン「行くとは言ってない」
ユリ「ホントに詰まったんだってば。顔も洗えないだから」
ムヨン「洗わなくてもキレイだろ」
ユリ「何してんの?何で来られないのよ?」
ムヨン「お前のこと見てるんだ」
「ホント?!」ユリはパッと顔を輝かせ、キョロキョロと辺りを見回す。「どこ?」
ユリは大喜びで外へ出た。「どこ?見当たらないけど」
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食い合わせが悪かったのだろうか。
ジングクは署に戻るなりトイレへ向かい、しばらくこもってからようやく出てきた。
ジングク「?」
ロビーにいたはずのムヨンの姿はない。
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「お前のこと見てるんだって」ムヨンが繰り返す。
携帯電話を片手に、ムヨンは壁に貼られた写真を眺めていた。
ここは刑事課だ。
鏡の向こうに、廊下をジングクが近づいてくるのが見える。
「何してんだ?ここで」ムヨンを見るなり、ジングクが怪訝な顔で尋ねた。
ムヨン「あ、ドアが開いてたから」
ジングク「勝手に入っていい場所じゃない。行くぞ」
ムヨンが素直に外へ出ていく。
彼が立っていたところをチラリと覗いて、ジングクは後に続いた。
壁に貼られていたのは…
ジングク「トイレの前で待てって言ったろ。人の仕事場に…」
ムヨン「入っちゃいけないと思わなくて。すみません」
ジングク「何を夢中で見てたんだ?」
ムヨン「殺人犯です」
ジングク「殺人犯?」
ムヨン「えぇ、壁にあったから」
ジングク「壁?あぁ、写真か。チェ・サンフンの」
「えぇ」少し間をおいて答えると、ムヨンは人知れずニヤリと笑みを浮かべた。
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ここで2話終了です。
セリフの間をたっぷり取って表情をおさえたり、カメラをゆーっくりパンしたり、スリリングだけど派手じゃない演出具合がちょうどいいですね。
ジンガンが「デザインとはそのモノが何なのか皆が気になるよう仕向けること」と言ってましたが、脚本と演出、そして登場人物もデザインされてるなぁと思ったりします^^
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Comment
こんばんは✨
何ターンしてるか分からないほど見ています。
観ながら、止めて!
こちらを読みながら!
そうそうこんな気持ちかな〜とか考えながら!