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師任堂(サイムダン)、色の日記11話あらすじ&日本語訳~前編

   

イ・ヨンエ、ソン・スンホン主演SBSドラマ『師任堂(サイムダン)、色の日記』11話をセリフの訳を交えながらご紹介します。

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「あれは何をしているんだ?」道端で紙を売り始めたサイムダンを見て、キョムは従弟フに尋ねた。

従弟「直売しているみたいですけど」
キョム「直売?力仕事では飽き足らず、通りで直売まで始めたのか?!」

フィウム堂の指示で、すぐに屈強の男たちがやって来た。「誰の許しを得て紙を売ってるんだ?!」
彼らは有無を言わさずサイムダンたちを排除しようとする。
乱暴に突き飛ばされたサイムダンをさっと抱きとめたのは…キョムだ。「大丈夫か」

こうなればそのまま引き下がることはできない。
「お前たち!」キョムは輩の前に立ちはだかった。

キョム「白昼騒ぎを起こすとはどこの輩だ。捕盗庁へ連れて行かれたいのか!」
男1「お構いなく、お偉い両班殿」

「お行きなさいって」男がキョムの胸をドンと叩く。
次の瞬間、その場は大乱闘となった。

そこへふらりとやって来たのは、山を下りてきたウォンスだ。「おっ!喧嘩が達者だなぁ」
のんきに見物していた彼は、騒ぎの中にサイムダンを見つける。「夫人!」

一味がとうとう刀を抜いた。
武器を持たぬキョムが取り出したのは、いつも肌身離さず持っている扇子だ。
さっと広げると、顔の前にかざす。

男2「(仲間に)40本以上の骨に黄漆、王族の扇子に間違いありません」

そこへ捕盗庁の笛の音が聞こえてきた。
一斉に逃げていく人々に混じり、ウォンスがサイムダンを連れて逃げるのを、キョムは静かに見届けた。「…。」

一部始終を見ていた男が一人。
ミン・チヒョンは喧騒の中でキョムをじっと睨みつけた。「お前を野放しにはしておけぬな」

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サイムダンの危機に、自ら一肌脱いだキョムを目の当たりにし、フィウム堂は半狂乱となった。

フィウム堂「通じ合っていたんだわ!20年もの長い間ずっと!!!

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サイムダンが現場に残していった紙を、キョムは比翼堂へ持ち帰った。
「どこでこんな色紙を?」あっという間に人だかりができる。
キョムは彼らの前で、サイムダンの色紙に一心に絵を描いた。

サイムダンが苦しい生活に耐えていることへの苛立ちと、彼女に手を差し伸べられない歯がゆさ。
一体何があったのかわからないこと、自分が何も知らずにいる怒り。
悶々とした思いを、キョムはひたすら筆に込めた。


風のように生きたかった 永遠に
何ひとつ残さぬように
けれどあの人が私をとらえるんだ
傷だらけの私を抱きしめてくれる あの人
それはまさに君

愛することさえできるなら
見つめていることさえできるなら
一夜で消えてしまう夢だとしても
私には君しかいない

黒い天が私たちを引き離しても
決して諦められはしない
誓うよ
この世のどこにいたとしても また君を見つける

一気に絵を描き終えると、キョムは立ち上がった。「今日の題目はこの色紙です」

キョム「この色紙に絵を描くなり、詩を書くなり、ちぎって貼るなり、思う存分活用してください」

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家へサイムダンを連れて帰ってくると、ウォンスは彼女のために布団を敷いてやる。「ほら、出来たよ」

ウォンス「横におなりなさい」
サイムダン「…駄目だわ。行かないと」

サイムダンはふらふらと立ち上がる。

ウォンス「もう暗いのに一体どこへ行くんです?」
サイムダン「流民たちのところへ行かねばならないのです。こうしているわけにはいきません」

部屋を出ようとして、サイムダンはあまりの心労にその場に倒れ込んだ。

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比翼堂のあちらこちらに、美しい色紙が舞っていた。
芸術家たちが作り上げた作品が並び、それを見て回る彼らの会話も弾んだ。

従弟フ「紙本来の色がいいから、つられて作品も良く見えますねぇ」
キョム「そうだな、ははは!(周囲に)市場で売っている色紙とは微妙に色が違って、いいなぁ、いい!」
従弟「なんて高級感があるんだろう」

「ははは」2人はわざとらしく声を上げて笑う。

キョム「どこでこんな良い色紙を見つけたのだ?」
従弟「あっちの山に新しい紙工房がありましてね」

「ちょっと!」近くにいた男が割って入り、作品を指差した。「よく見てください」

男「色は実に独創的ですが…」
キョム「(嬉)そうだろ?」
男「紙の質はそれほど良いものでは…」

キョムは思わず扇子でパシッと男を叩く。「気が利かないな」

キョム「紙を造るのにどれだけ手間がかかるかご存知か?自分で造ってみろって。体中が溶けるほどの火に耐えながら樹皮を茹でて!(両手を出し)このヒリヒリ痛む手で!冷たい川の水で洗って一つ一つ選り分けねばならない!腰が曲がるほどの重労働なのです!」
男「が、画家として紙の質を評価しちゃいけないんですか」
キョム「それくらい大変だってことですよ、紙を造るのが。知りもしないで…」
従弟「造ってみなきゃわからないさ」

「おぉ~!」後ろで叫び声が聞こえる。「?」
「美しい色紙!」向こうで躍り上がる勢いなのは、詩人のモンリョンだ。「この綺麗な色をご覧あそばせ~!」

キョム「(唖然)」
モンリョン「宜城君様~!この綺麗な色紙、どこへ行けば買えるんです?」
キョム「(ニコニコ)」
モンリョン「一年分まとめて買います~!」
キョム「あいつ、今日は気に入ったぞ」

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朝。

「菊花茶だよ」ウォンスは妻に茶を差し出した。「驚いた心を鎮めるにもいいし、疲労回復にもいいらしいから、ごくんと飲み込んで」

ウォンス「一晩じゅう苦しんでいましたよ。どれだけ驚いたんだか。ほら」

「…。」サイムダンは茶に手を伸ばすことなく、代わりに溜息をつくばかりだ。

ウォンス「なぜ飲まないんだい?」
サイムダン「今度はなぜ山を下りていらしたんですか」
ウォンス「あ、それは… 紙を造るために眠れずにいると噂を聞いてね。これも皆、無能な私のせいではありませんか」
サイムダン「…。」

ウォンスは妻の横顔を眺め、舌をチッと鳴らす。「白磁のように白く美しかった肌が…」

サイムダン「…。」

「そうだ!」ウォンスはパッと顔を輝かせ、お土産を取り出した。「帰り道の居酒屋で買いましたよ」
「どうぞ」自慢げに妻の手に握らせたのは、小さな壺だ。

サイムダン「何です?これは」
ウォンス「今、話題のお粉ですよ。楊貴妃が使っていたという”玉紅膏”だって。これを使えばお肌がパッと上気して…」

受け取った壺を乱雑に床に置き、サイムダンは立ち上がった。「結構です」

サイムダン「今日はここでお休みになって、明日から山へ戻る準備をなさいませ」
ウォンス「どこへ行くんです?そんな体で」
サイムダン「工房へ行かなければ。約束したのです。色紙を売って等しく配分すると。流民たちが待っています」

「えぇ?!」ヒャンがすがるように声を上げる。「紙が売れずに帰ってきたって、みんな待ち構えてるはずですよ!」

サイムダン「事情を説明して納得させないと」
ヒャン「!」
ウォンス「わかった。私がやろう。ついておいで」
サイムダン「(即答)結構です」

「早く行きましょう」ヒャンの手を引き、サイムダンは部屋を出た。

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じっとしていられず、ウォンスもサイムダンを追って工房へ向かっていた。「あんな体で…。夫人の意地っ張りは誰も止められないな」

ウォンス「それにしてもどこなんだ?心配だなぁ。とにかく行こう」

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「おわかりか。あんたが俺たちにどんなことをやらかしたのか」口を開いたのは大将だ。
サイムダンを取り囲む流民たちは、すっかり意気消沈した様子だった。

サイムダン「100回話したところで、今は言い訳にしかならないわ」
女性「あんな女を信じたのが間違いだったんだよ」
男性「これだから顔がきれいな女は信用ならないんだ」

サイムダンはその場にひざまずいた。
「お嬢様!」ヒャンも迷わず隣にひざまずく。

大将「人をたぶらかす話しっぷりだけでなく、演技まで一級品だな。二度目は騙されないぞ」
サイムダン「私を信じ、ついてきてくれた皆さんに、今私ができる感謝と謝罪は…これだけです」
大将「言ったよな。女一人埋めちまうくらい何でもないって」

「約束を破ったのは紙商の店主なんです!」ヒャンが慌ててひれ伏した。

ヒャン「「信じてください!本当に注文を受けたんです!店主が替わっていたんです」

「そうだよ、大将」そう言ったのは、色紙の納品に店までついて行った若い衆だ。「この人が俺たちをわざと騙したわけじゃないみたいだったぞ」
「そうだ」もう一人も加勢する。「この人も俺たちと一緒に紙を一生懸命売ったんだ」

「うるせえ!」一人が大声を上げる。「どっちにしたって紙は売れなかったんだ!」

男性「死ぬほど働いたのに、結局もっと腹が減ってるんだ。犬コロの訓練じゃねぇんだぞ!」
男性「もしやとは思ったが、この女のせいで無駄な夢を見ちまった」
男性「だから両班なんか信じられないと言ったろ!」
男性「埋めちまおうぜ」

皆が騒ぐ中、大将は黙ったままじっとサイムダンを睨んだ。
隠れて状況を見守っていたウォンスは、いよいよ愛するサイムダンを助けようと、棒きれを握りしめて立ち上がる。

と、そのとき!
突然場違いな集団がなだれ込んできたのだ。「紙だ~!」「ここにあったのか~」
比翼堂の連中だった。

#「紙の質はよくない」と言ってた人も混じってる^^;

モンリョン「すごく綺麗!この紙」

モンリョンは唖然としている流民たちを振り返った。「何?この雰囲気?お客が来たのに、何黙って見てるの?商売しないのかい?」
若い流民が慌てて駆け寄った。「はい、ただいま!」

そうして、持ち帰った色紙は突然の来客に無事売れたのだ。

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色紙が売れていく様子をしばらく見守ったウォンスは、そっと背を向けた。

ウォンス「…。」

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比翼堂を若い官僚たちが訪れていた。

キョム「おや、龍頭会で会った首席合格者ではないですか」

「ご無沙汰しております」頭を下げたのは、龍頭会で民の苦しみを訴えた新人官僚だ。
彼は他にも2人、若い官僚を連れている。

キョム「こちらは?」
官僚1「吏曹正郎チョ・ヒョンナムと申します。初めてお目にかかります」
官僚2「吏曹正郎キム・チャンウクです。比翼堂の名声を聞きつけ、もしや招待してくださらないかと首を長くして待っていたのですが、(首席官僚を指し)彼にせがんで押しかけました」

「ははは」と笑い、キョムはすぅっと息を吸いこむ。「だが…」

キョム「比翼堂は芸術家でないと入れない場所です。隠し持った才能でもおありですか?ないと困るんですが」

「…。」官僚たちが困って首を傾げる。

キョム「ははは、冗談ですよ。歓迎します」

皆が安心して一斉に笑う。

首席官僚「宜城君大監にお目にかかったことがあると言ったら、一緒に行きたいとせかされまして」
官僚2「何を言ってるんだ。君が先に自慢したんだろう?宜城君大監に会ったって」
従弟フ「”宜城君に会える券”でも作って市場で売れば稼げそうだぞ!」

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ミン・チヒョンの元を若い官僚が訪れていた。
「比翼堂へ出入りする芸術家のうち…」ミン・チヒョンに報告しているのは、比翼堂に来ていた首席合格の精鋭ではないか!

首席「これまでのところ注視すべき人物はいないようです。その上、宜城君は他の芸術家たちと同様、新人官僚である我々を分け隔てなく受け入れました」

「…。」じっと黙っていたチヒョンは、手に取っていた最高級の銀貨を乱暴に箱へ転がす。

チヒョン「分け隔てなく…。新人官僚たちに警戒されぬよう、悠然と振る舞うのだ。いつか役に立つはずだ」
首席「はい」

「男ならば当然大きな抱負を抱くべきだ」チヒョンは銀貨を詰めた箱を差し出す。「そうは思わぬか、吏曹正郎」
「もちろんです」首席官僚は箱を迷うことなく受け取った。

※これまでぼんやりしていてミン・チヒョンの役職を『礼曹参議』と書いていました。今頃ハッと気付きましたが、『吏曹参議』の間違いです。すみません。要するに、首席のホープは部下なわけですね。『正郎』は『参議』の直下にあたる役職名です。

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一人ずつ流民の名前を呼び、サイムダンは自ら彼らに分前を配った。「ご苦労様」

女性「(金を貰い)私は棒で叩く仕事しかやってないのに…」
サイムダン「それが一番大事なんですよ、紙には」

流民たちは大喜びだ。「お嬢さんのお陰でお金が拝めるなんてねぇ!」

「まだ貰っていない人は?」サイムダンが名簿を確かめる。「大将?」
皆が振り返り、後ろでポツンと背を向けている大将を見た。

大将「…。」
サイムダン「(貨幣を差し出し)ご苦労様でした」
大将「俺はいいよ。他のみんなにやってください」
若い衆「何言ってるんですか。一緒に働いたんだから一緒に貰わなきゃ」

どうにもキマリが悪く、大将は逃げるようにその場を後にする。
「偏屈だなぁ」皆がまたドッと湧いた。

サイムダン「今回は安く売ったから収益が少なかったわ。次は頑張りましょう」

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ウォンスは一人、居酒屋にいた。
ひと匙、口へ運びかけては、ふと切なくなり、はぁっと溜息をつく。

ウォンス(心の声)「やはり私は夫人に何の役にも立たないんだな…。申し訳ない」

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「兄貴!」イム・コッチョンが懸命に駆けてくる。「お変わりありませんか?」
待っていたのはキョムだ。

キョム「わかったか?」
コッチョン「家もなく放浪している人で、行方を突き止めるのは難しいです。雲平寺で生き残り、首に大きな刃傷のある男、開京で見たという者もいれば、漢陽で見たという者もいて。おそらく流民の群れと一緒に放浪しているんでしょう」
キョム「流民の群れ?」

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山中。見晴らしのいい崖の上で、サイムダンは細やかな祭祀の用意をしていた。
「何をしているんです?」声を掛けたのは、流民の大将だ。「祈祷でも?」
「…。」何も言わず、サイムダンは準備を続ける。

大将「その… 何で戻って来たんです?手ぶらで戻ってくれば、どんな目に遭うかわからないのに、何で戻って来たんです?」
サイムダン「償うべき負い目がたくさんあるのです」
大将「負い目?」
サイムダン「ずっと昔、大勢の人があの世へ行きました。…私のせいで。彼らも流民でした。あなた方のように」
大将「…。」
サイムダン「故郷の裏山にあった雲平寺の境内では、高官大爵たちが宴に興じていて、そのすぐ後ろにはボロをまとって飢えている流民たちがひっそり暮らしていました。あまりに違っている二つの世界に驚いて、私は絵を描き、詩を一つ残しました。それが…彼らを死に追いやったのです」
大将「…。」
サイムダン「今年でちょうど20年になります」
大将「20年間、ずっと贖罪の祈祷を?」
サイムダン「生涯… 償いながら生きていくつもりです。セドルと出会い、あなた方と出会ったあのとき、わかったんです。償うために天から授かった尊い人たちだと…」

「…尊い人たち?」思いがけない言葉を頭に巡らせ、大将はふっと柔らかく笑った。

#귀한 사람들 (尊い人たち)という言葉に、思わずじわっと来ました…。

岩の後ろで話を耳にし、嗚咽を堪えている人影があった。
流民の群れでずっと病を患っていた、あの老人だ。

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明国からの使臣が、ミン・チヒョンの取り仕切る紙店を訪れていた。
紙を見て回り、通訳になにやら評している。

通訳「(チヒョンに)量よりも質を重視すべきだと」
チヒョン「どういう意味でしょう」
通訳「数十年前に送って来た高麗紙の方がむしろ良かった、最近ミン様の送られる高麗紙はなぜ前より質が悪いのかと、そうおっしゃっています」
チヒョン「!」
通訳「こちらから納品された高麗紙で作った本はすでに色あせ、がさついているそうです。これまでミン様の紙店と取引してきましたが、このままでは実に困るとのことです」
チヒョン「朝鮮全国で造られる最高級の紙はすべて私の管理下にあるのに、我々の品で満足いただけないなら、どこのものでも満足なさらないはずです」

通訳が使臣に伝える。「自分の品が最高級だと言っています」
「…。」使臣の渋い表情を見て、フィウム堂が進み出た。「こちらの紙をご覧ください」

フィウム堂「漆をまとった紙です。漆を8回塗り、5年間寝かせてました」

使臣は紙を眺め、匂いを嗅ぐと、表情を和らげた。「香りは淡白だが高級だ

チヒョン「(フィウム堂に)帰国の際、1万枚ほどご用意するのだ」

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「明も朝鮮も賄賂が好きだとは片腹痛い」屋敷に戻ると、ミン・チヒョンは妻に言った。

フィウム堂「そうですわね」
チヒョン「今日はご苦労だった。夫人のお陰で面目が立った」
フィウム堂「当然のことをしたまでです」
チヒョン「そこで、贈り物を一つ用意した」
フィウム堂「贈り物…ですか?」
チヒョン「開けてみなさい」

卓上に両手に収まるほどの木箱が一つ、置いてある。
蓋を開けた途端、フィウム堂は小さな悲鳴と共に腰を抜かした。「!!!」

そこに入っていたのは…爪が黒ずんでいる指だ。

チヒョン「指の持ち主がわかるか?こやつが宜城君に我が紙店の機密情報を渡そうとしたのだ」
フィウム堂「!」
チヒョン「紙店がそんな管理でどうする?」

前店主の爪が黒くなっていたのを、フィウム堂は思い出した。「!!!」
彼女は即座に夫の前にひれ伏す。「旦那様、申し訳ございません」

チヒョン「…申し訳ない?」
フィウム堂「信じてくださいませ。もう二度と…」
チヒョン「そなたのことは信じる。だが、信じてくれという誓いなど信じはせぬ」
フィウム堂「…。」
チヒョン「肝に銘じるのだ」

#フィウム堂のお陰で実際面目が立ったのに、褒美だと期待させておいて、わざわざ箱におさめておいた指を見せて責めるなんて、ぞっとするほど悪意に満ちてますよね…。

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サイムダンは一人、一心に贖罪の祈祷を続けていた。
「お嬢さん」聞きなれない弱々しい声に、サイムダンはふと目を開ける。「?」

そこに立っていたのは、病を患っていた老人だ。
彼はサイムダンの前にがくりと膝を落とすと、そのまま泣き始めた。

老人「お嬢さんのせいじゃありません」
サイムダン「…?」
老人「お嬢さんのせいではないのです。雲平寺の流民が皆殺しにあったのは…」
サイムダン「それは…どういうことです?」
老人「雲平寺で受け継がれてきた高麗紙の秘法を奴らに渡したんですが、秘法さえ手に入れば、最初から全部殺す魂胆でした。お嬢さんが何を描こうと関係なかったのです!」

そう涙ながらに訴えたのは… 雲平寺で紙匠として働いていたチェ・パルボンだった。

#お前か!

パルボン「奴ら、高麗紙の秘法を奪って、技術を知っている物全員、その家族まで全部殺すつもりだったのです。そんなことも知らず秘法を渡してやるなんて… 罪を犯したのはこの私です!」
サイムダン「!!!」
パルボン「お嬢さんのせいなんかじゃありません!」

何ということか…。
罪の意識に苛まれて生きてきた20年間が、彼女にどっと押し寄せる。
爆発しそうな頭を押さえ、彼女は絞り出すように叫んだ。

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従弟フが慌てた様子で駆けてくる。「紙店の店主、あの日以来消えてしまったようです」

キョム「何だって?」
従弟「それに、店主も替わっていました」
キョム「店主が替わった?」
従弟「えぇ。口では地方に移ったと言ってますが、何だか変です。調べて家を訪ねてみたら、我々に会った3日前、あの日から帰っていないそうなんです。どこかでくたばっちまったみたいですよ」
キョム「…。」

~~3日前~~

前店主ク・ヨンテは店の記録の一部をキョムに提供した。

キョム「平昌の県令に過ぎなかったミン・チヒョンが、領議政に取り入って漢陽入りし、破竹の勢いだ。実に20年になる。あの2人の間にどんな秘密があるのだ?」
ヨンテ「この世で一番思い通りにならないのは、”我が子”ですよ」
キョム「我が子?」
ヨンテ「領議政の息子ですよ」

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ここで区切ります。

 - サイムダン(師任堂)色の日記

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